神の棘 1 (ハヤカワ・ミステリワールド)

  • 早川書房 (2010年7月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784152090546

感想・レビュー・書評

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  • 淡々と流れていく

    須賀しのぶさん3作目今のところ第一次世界大戦前後のお話ばかり
    第一次世界大戦前後というよりはアドルフ・ヒトラーの3周から4周外側の話と言った方が自分としてはピンと来るのだが伝わるだろうか

    対極に位置する場所でもがく二人の幼なじみでもある男たちに
    今からでは考えられないような状況や凄まじい大事件が次々と起こっているにもかかわらず淡々と流れていく
    その平坦な語り口がその特異すぎる状況が単なる日常であったことを印象づける

    そして最後に淡々に慣れさせられた読者に鋭利な刃物のような展開が突き付けられる

    2巻を用意せずに読み始めることは到底お勧めできない

  • 初読の作家さん。1935年ナチス台頭下のドイツ。ss保安情報員アルベルトとカトリック修道士マティアスを主軸に進むストーリー。この時代の話にしては凄く読みやすくてしかも面白い!しかもこんなところで終わるのか1巻は!続きが気になって眠れないわ。タイトルも秀逸。なんとなく結末が予測できるような…。

  • 感想は2巻で。

  • 2011年8月24日〜8月26日

  • ナチス政権下のドイツを舞台に繰り広げられる歴史ロマンである。紹介から引用させてもらえれば、
    『1935年、ドイツ。若く優秀な保安情報部員アルベルトは、党規に従い神を棄てた。そして上官のハイドリヒから、ヒトラー政権に反発する国内カトリック教会の摘発を命じられる。一方、アルベルトの幼馴染マティアスは、大恐慌で家族を失くし、修道士として静かに生活していた。道を分かたれた二人が再び出会ったとき、友情と裏切りに満ちた相克のドラマが幕を開ける』

    敗戦後屈辱的な不条理条約を結ばれたドイツは、ヒトラーの台頭によって返り咲く。一方で政府と教会の対立やユダヤ人の迫害、ゲシュタポや政府による異分子の排除などドイツにとっては後世に渡って歴史に刻みこまれた惨憺たる悲劇が相なす時代であろう。

    余談だが、私はアルベルトの方により感情移入させられた。彼の目的とは何か。次巻が楽しみである。

  • ナチス政権下のドイツを舞台にした歴史ロマン。カトリック弾圧を題材にエリート将校と修道士、幼なじみふたりの友情と裏切りが、重厚かつ繊細な文体でサスペンスフルに描かれる。かいまみえる神、信仰といった深刻なテーマも興味深い。
    さらなる激動を予感させつつ1巻終了。いざ2巻へ。

  • おいおいおいおい気になるよぉぉぉ

  • 登場人物たちの葛藤や思いが混在しているがとても読みやすかった。
    これを読んで自分の歴史の知識の浅はかさを知れたので、ほかのww2の本を読んでみたいと思った。

  • 障害者が、施設に送られる。
    この時代に生きていたら、私も送られていたなと感慨に耽る。
    すぐに、その方がいいなと考える自分は相当病んでいるなと再認識。

    ラーセンの盛衰ぶりがおもしろい。
    下巻でのマティスとの絡みに期待している。

    ■以下ライブ感想文
    読んでる最中に手のこぶしサイズのクモが壁を登ってた!くそっ!!出口が一か所しかない部屋で、勘弁してくれ!!寝れないじゃないか!!!28
    旧友殺しの物語か!36
    徽章 きしょうの意味がわからん43
    ■以下覚書
    KPD ドイツ共産党
    SPD 社会民主党
    NSDAP 国民社会主義ドイツ労働者党 ナチ党とも
    SD ナチス・ドイツの親衛隊(SS)SicherheitsdienstⅠ局(人事・管理)、Ⅱ局(1課的調査、2課法律や経済関係)、Ⅲ局(国外諜報)
    SD連絡員 入党せずに市中で活動する市民。SDの徽章をつけていない
    徽章 きしょう 身分・職業などを表すため、帽子や衣服につけるしるし。

    ゲシュタボ 国家秘密警察。プロイセン州の内相ゲーリングによって設立された政治警察。1934以降はヒトラーが実験を握った

    ナチ党の成り立ち&躍進  ドイツ労働党が1920に改名して成立。ヒトラーを指導者に力に訴える政治活動をしていたが、ミュンヘン一揆の失敗(1923)にあるように、初めはあまり支持されなかった。世界恐慌(1929~)が起こり、対策を行ったヒンデンブルグ大統領(1925~34)が失敗。ナチ党と共産党が勢力を拡大した。ナチ党は巧みな大衆宣伝で、人心を掌握。(恐慌の生活苦をヴェルサイユ体制にあるとした)労働者や中間層、軍部・資本家(共産党の隆盛に危機感を抱いてた)の支持をうけ、1932にナチ党が第一党に。翌33年にヒトラーが首相に任命された。
    独裁体制の成立 国会議事堂放火事件(1933)を共産党の陰謀と断定。共産党を弾圧。全権委任法(1933)で立法権を政府に移動。ナチ党以外の党を非合法とし、一等独立体制を樹立した。

    1932 ドイツ総選挙でナチス第一党に
    1933 ドイツでナチス政権樹立
    1933 国政連盟脱退
    1933 ライヒスコンコルダート(バチカンとコンコルダード締結)
    1935 再軍備宣言
    1935 英独海軍協定
    1936 ラインハルト進駐
    1936 ベルリン=ローマ枢軸結成
    1937 日独伊防協定
    1983 ドイツイタリア併合
    1983 ミュンヘン会議
    1939 第二次世界大戦(~45)
    1940 フランスドイツに降伏
    1941 独ソ戦争開始

  • 図書館で。
    着地点はどこなんだろう。ぐいぐい読ませてくれるけど、不快になるくらい基本的な変換ミス、主要人物の記載ミスが多い。校正したの?

  • 最後になってやっと面白くなってきた。
    興味ある内容の割には登場人物が生きてこないあたり「帝冠の恋」に通じるかな・・・。

    しかし、フィクションとは言え、当時の人たちはそれほど強い信念をもってSSやらSDやらに入っていなかったのか・・・と。お給料やら何やらを鑑みて入っていたりしたのか・・・と。それなのにあんなにひどいことができてしまう人間って一体全体どういう生き物なんだろう。

  • とても面白かったし、続きが気になるところで一巻が終わるので、手元に二巻を用意して読むといい。

    嵐の日のテオの言葉、亡命した少女の言葉が印象的。
    本が始まりすぐに裏切られる。

  • 文庫化前に読み返し。
    もう何度も読み返してますが、読む度面白いなーと思います。
    ナチスとカトリック、この作品を読むまで恥ずかしながら知らないことばかりだったので、読み終わったあと色々調べたりしたものです。

    幼い頃嵐に怯えるアルベルトにテオが言った台詞と、ベトケ先生の台詞がとても印象的。

    啓蒙なカトリックの信者であった少女が神を棄てるシーンもグサリときました。
    幼い少女が今まで生きてきた基盤を棄て去る覚悟と絶望ってどれほどのものなんだろう。
    それを強いられた時代があった、と思うともう言葉にならない。

    犯した罪は決して消えない、そんなアルベルトがたどり着く末を知っていても、読み返す度面白いと感じてしまう。この作品ほんとに好きなんだなーと改めて思いました。
    初めて読んだ時のラストの衝撃はもう味わえませんけれど、それでもやっぱり面白い。
    扱っている内容がとてもヘビーではありますが、それでも何度でも読みたくなっちゃうんですよね…作品パワーおそるべし。

    誤字が多すぎるのが残念なんですが、文庫は大改稿とのことなのできれいに直ってるといいなあ。

    因みに持っているのは初版の多田さん表紙のやつなのですが、ハヤカワで多田さん表紙!という安直な理由で手にしましたがほんといい出会いとなって感謝です。
    どうやら世間では、あの表紙は評判良くなかったみたいですけどね…。

  • ナチスの保安情報員であるアルベルトと、幼馴染でカトリックの修道士となったマティアスとの対立を描く。歴史的背景とテーマがテーマだけに、今まで読んだ須賀作品の中でも重厚。ナチスの政治体制vs信仰というのは初めて読む。SDとかSSとかVTとかナチス組織の名称がやたらと多く、説明書きも殆ど無いに等しいので知識がないと理解に一苦労するかもしれない。冷徹なアルベルトに変化は訪れるのだろうか…。Ⅱ巻へ。。。

  • 第二次世界大戦ごろのドイツ。
    ナチスのSSという部署の将校であるアルベルトは、同性愛者であり、後に修道士となった兄テオの事故死を調査するよう命じられます。
    上層部はスキャンダルをネタに、テオの所属する修道院を閉鎖しようという目論見でした。
    上層部の意思に添うため、アルベルトは兄と同じ修道院に属していた幼馴染のマティアスを騙し、期待通りの結果を導き出すことに成功します。
    その後もナチスの将校としてカトリック弾圧を続けていくアルベルトと、アルベルトを憎みながら修道士を続け、やがて反乱組織に加わっていくマティアス。
    二人の視点から物語は進んで行きます。
    ナチスのユダヤ人迫害は有名ですが、カトリック教会をこれほど迫害しようとしていたとは知りませんでした。
    ナチス狂信者ではない将校とその妻など、弱者の側ではなく、理性を失ってもいない人々からの視点で描かれるベルリンの様子は新鮮でした。
    話は非常に面白いのですが、誤植の多さには辟易します。
    作者の方に失礼なのではないかと思うほどです。

  •  とにかく誤植のオンパレード。それが低評価の理由。締切ギリギリだったのだろうか。何個あったかわからない。1700円も出して買った人はかわいそうだ。これが家ならとんだ欠陥住宅だ。
     誤植が多いということは、こういう史実・事実に題材をとった作品では致命的だ。気楽に読んでる人間が一読すれば気づく間違いを、仕事で読んでる出版社の人間が気づかないのならば、いわんや歴史考証をや……とわたしのような疑り深い人間は思ってしまうわけですよ奥さん!!
     この作品に限ったことではないが、得た知識を人に話す前にはウラをとったほうがいいと思う。

     話は面白いし、アルベルトのようなナチス側の人間を書いた話はたぶんはじめて読んだので、彼らの普通の生活の様子は興味深くもあったが、なにしろナチスだし、なかなか好きになれないのが辛いところ。
     貴志祐介『悪の教典』を読んだとき、主人公の蓮実は悪いやつなんだけど、その敵も多少なりとも悪いことしてるやつらで(最初のほうに限る)、それで蓮実をかっこいいと思ってしまう、というような感想を書いたんだけど、アルベルトが弾圧しているのは基本的に無辜の民ばかりなわけで……。うーん。何が正義で何が悪かっていうのは難しいけどね。
     マティアスは、がんばれ。次巻につづく。

     私が読んだ表紙はマンガちっくな絵だったけど、こっちのほうがいいな。

  • ナチの将校である、アルベルトはある面すごく非人道的に思えるけれど、彼の考え?言葉を見ていると、決してそうではなく。ただ、あの時代本当に、それだけの影響力をヒトラーは持っていたんだなと。第一次大戦前、のドイツ史に詳しくないのでアレだけど…その敗戦の屈辱からの第三帝国。だったわけで。
    ユダヤ人の排除の裏には、ある意味、キリスト教というか、宗教の排除もあったのだと、正直初めて知りました…だから故の、自己の神格化。それをしたヒトラーの愚かさ、と、熱狂した人々の愚かさ。

    兄の死の原因究明から、めきめきと頭角を現し、SDの中で着実に地位を固めてきたアルベルトだったが、妻イルザの行動で窮地に追い込まれ…

  • 未だ2を読んでいないので、総合的な評価は出来ませんが、
    文章も読みやすいし、主人公ふたりの運命のうねりが面白く
    早く続きが読みたいと思わされました。
    しかし、私が一読しただけでも誤植が6つもあり、しかもそれが
    後半50ページを切ったあたりから続々と出てくるので、少し興ざめしました。
    変換間違いは仕方がないとして、登場人物の名前が間違っている事が
    2度もあったのは、混乱してしまうので何とかしていただきたいです。
    恐らく、初版のみの欠点ではあろうと思いますが。

  • 最初のアルベルトの登場の仕方が格好良かったです。
    下巻まで一気に読んでしまいました。
    最後の退場の仕方まで格好良かったです。

  • 詳しい感想はⅡの方へ

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著者プロフィール

『惑星童話』にて94年コバルト読者大賞を受賞しデビュー。『流血女神伝』など数々のヒットシリーズを持ち、魅力的な人物造詣とリアルで血の通った歴史観で、近年一般小説ジャンルでも熱い支持を集めている。2016年『革命前夜』で大藪春彦賞、17年『また、桜の国で』で直木賞候補。その他の著書に『芙蓉千里』『神の棘』『夏空白花』など。

「2022年 『荒城に白百合ありて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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