夏への扉[新訳版]

  • 早川書房
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本棚登録 : 1544
レビュー : 248
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152090591

感想・レビュー・書評

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  • 高校生の頃からずっと、外国作品では一番好きな、『夏への扉』。

    尊敬するブクログ仲間さんが書かれた素晴らしいレビューに
    「大好きな福島正実さん訳で読んでくださってありがとうございます♪」
    なんてコメントして、ふと思ったのです。
    そんなこと言っておきながら、私ったら新訳版を読んでいないじゃない。
    『夏への扉』ファンとして、これはひょっとしてものすごく不公平な態度なのでは?!

    ということで、読んでみました、新訳版。
    読む前から、訳者さんのお名前になんだか見覚えがあるなぁと思っていたら
    なんと、あの『アルジャーノンに花束を』を翻訳された小尾芙佐さんではありませんか。
    新訳と銘打つのだから、もっとかなり若手の(小尾さん、ごめんなさい!)
    訳者さんの手に委ねられたのだと思い込んでいました。

    そんなわけで、福島版では「文化女中器」だった家事ロボットが
    「おそうじガール」と、かなり軽やかなネーミングになっていたりするけれど
    全体的には、ベテランの訳者さんらしい正統派の翻訳です。
    福島さんを訪ねるところからSF翻訳者としてのキャリアが始まったという小尾さんの
    福島訳への敬意が伝わってきて、胸が熱くなったりして。

    でもでも、欲を言えば、翻訳ものに馴染みのない少年少女にも
    コールド・スリープ中の資産運用や、ダンの発明品の部品の説明なんかが
    すんなり理解できるような新訳版であったなら、もっとうれしい。
    オススメの本を貸して、という生徒に喜び勇んで『夏への扉』を渡して
    文章に馴染めない、説明が頭に入ってこないからゴメンナサイと
    早々に返却されることが、今までどれほどあったことか。

    この本に描かれた未来を10年以上飛び越えてしまった今だからこそ
    ルンバもスイカも使いこなす若者たちが、すうっと作品世界に入り込めるような
    しなやかな新訳版の誕生を待ち望んでしまいます。
    だって、夏への扉を探し続けるピートとダンの勇姿を
    ひとりでも多くの人に見てもらいたいではありませんか♪

    • まろんさん
      nicoさん☆

      あのワクワクドキドキをnicoさんと共有できたかと思うと、とても幸せです!
      しかも、大好きな福島さん訳を読んでくださって。...
      nicoさん☆

      あのワクワクドキドキをnicoさんと共有できたかと思うと、とても幸せです!
      しかも、大好きな福島さん訳を読んでくださって。

      nicoさんはいつもとても素敵なレビューを書かれるので
      小さな頃から文学少女だったイメージを勝手に描いていました。
      高校生の頃はほとんど本を読まなかったというのは、とても新鮮な(?!)ニュースです!

      高校時代は遥か時の彼方に去ってしまいましたが
      nicoさんのように、大好きな本を一緒に楽しんでくださる方と出逢えた今に
      感謝しなくちゃ♪と思う今日このごろです(*'-')フフ♪
      2013/04/28
    • desicoさん
      読みました!
      初めて読みました!
      タイムトラベルものが大好きな私にとって、こんな小説を手にとってなかった不幸せを知ったこと、こんな小説を手に...
      読みました!
      初めて読みました!
      タイムトラベルものが大好きな私にとって、こんな小説を手にとってなかった不幸せを知ったこと、こんな小説を手に取らせてくれた幸せ、まろんさんに感謝です。
      2013/04/30
    • まろんさん
      desicoさん☆

      わあ!そんなにまで言っていただけて、私こそ感激です!
      もう、高校時代から好きで好きでたまらない本なので
      タイムトラベル...
      desicoさん☆

      わあ!そんなにまで言っていただけて、私こそ感激です!
      もう、高校時代から好きで好きでたまらない本なので
      タイムトラベルものをたくさんお読みになっているdesicoさんが気に入ってくださったのは、なおさらうれしくて♪
      desicoさんおすすめのタイムトラベルものも、またぜひ教えてくださいね(*'-')フフ♪
      2013/05/01
  • 夏に読みたい青春ねこSF。

    2000年がもう10年以上過去なのが驚きですが
    書かれた時代を考えると、こんなにいきいきと描かれている30年後の世界が楽しい。
    100年後にドラえもんは無理でも、万能フランクは普及してるかな?

    SFも翻訳ものも、あんまり手を出さない分野なのですが
    あんまり難しいところもなく無理なく読めました。
    構成的にはミステリーぽい。

    訳自体はそんなに新しいという感じもなく正統派な印象だけど
    いちいち注釈がなく英語を残した読み仮名が読みやすく思いました。

    賭けて過去に戻るところはハラハラするけど痛快です。
    ダンが2000年を好きだと言ってくれてうれしい。
    「夏への扉」が象徴するように
    未来はよりよく変わっていくと希望が持てます。

    • nico314さん
      tiaraさん、こんにちは!

      >書かれた時代を考えると、こんなにいきいきと描かれている30年後の世界が楽しい。

      いつからか忘れて...
      tiaraさん、こんにちは!

      >書かれた時代を考えると、こんなにいきいきと描かれている30年後の世界が楽しい。

      いつからか忘れていました。
      きっとみんなの夢がかなっているであろう未来を待ち遠しくおもったり、
      明るく想像以上の未来がやってくると信じていたことを。

      あらためて、この本を楽しんだ日が思い出されます!
      2013/08/22
    • tiaraさん
      kwosaさんへ

      一か八かの投げやりな気分で未来に行っても…と思っていたんですが
      そこからミラクルでしたね。
      1970年から生きなおすので...
      kwosaさんへ

      一か八かの投げやりな気分で未来に行っても…と思っていたんですが
      そこからミラクルでしたね。
      1970年から生きなおすのではなく、2000年でハッピーになって生きていくことを選択したところがすごく気に入ったんです。
      現代も捨てたもんじゃないですよね。
      2013/08/22
    • tiaraさん
      nico314さん

      2000年を未知の未来として描いた本を、過去として読むのって不思議な感覚でした。
      いまから30年後も、変わってない...
      nico314さん

      2000年を未知の未来として描いた本を、過去として読むのって不思議な感覚でした。
      いまから30年後も、変わってないところも想像もつかないようなことも、夢が現実になることも、きっとありますよね。
      その時も楽しく本の感想語り合いたいですね!
      2013/08/22
  • 出だしが少し読み辛く、どうしよう…と思いつつ読み進めていくと、どんどんハマっていきました。
    何十年も前の作品とは思えないほど、新鮮な感じでした。昔からタイムトラベル感はすでに出来上がっいたんだなぁ。

  • 未来は過去よりいいものだ。

    SFにおける古典的作品。正直今のSFと比べると、当たり前だが、斬新さはほぼない。それでも十分面白かった。

    恋人と親友に裏切られるいう最悪な状態で未来に飛ばされた主人公。しかも一文無しで。
    そんな最悪を最高のハッピーエンドにしていくストーリーは前向きでステキでした。

    私はちょっと悲観的すぎるのか、どこか話がうますぎるんじゃない…?と思ってしまったところもありました、、、

  • 海外SFは理解するのに時間がかかりそうな先入観がありなかなか手に取れなかったのだが、新訳版が気になり読んでみた。
    旧訳版も知らないのに比べようがないのだが、やっぱり翻訳独特の言い回しがなかなか頭に入らず、慣れるまでに苦労した。でも、主人公のダンが信頼してきた恋人と親友に裏切られ、大切な発明までも奪われてしまい、失意の底に沈んでしまうところから目が離せなくなってくる。中でも印象的なのは、相棒である猫のピートの活躍。特別猫好きではないけれど、本書が猫好きの人におすすめというのも頷けるほどにいいキャラクターだ。そうしてダンはコールド・スリープに入り、1970年から2000年の世界へ…。
    この作品の発表が1956年だがら、当時考える2000年像ってこんななのかと思うとなるほど、というか、実現できてなくてごめんなさい、というところもあり(笑)長い眠りから覚めて当然戸惑いまくりのダンが、どうにか気持ちに折り合いを付けながら2000年に馴染もうとしていく過程が健気で、ついつい応援したくなってしまう。ただ、私が本書を読む前に知り得ていた情報はこの「コールド・スリープ」までだったので…後半からの怒涛の展開はまさにSF。うわうわうわ!とばかりにダンの快進撃が始まるわけだが…まさかこんなにストーリーがうねりまくるとは。流れに乗っていくのに大変だったけど、どんなに時を超えようとも、「信じる」ことの大切さがすごく心に残りました。ちょっといい人すぎて、だから騙されてしまうダンなのだけど、人間不信に陥りかけても一方で手を差しのべてくれる人がいて…そんな出会いに恵まれたのは、彼の人柄なんだろう。そんな彼の心の変化…どんなに傷付いても、その経験をばねにして起死回生を図り、胆が太くなっていく過程も読み応えあるかな。

  • 言わずと知れた永遠の名作『夏への扉』。存在を知ったのは小学生の頃、実際に読んだのは中学生だっただろうか。以来何度か読み直しているが、読み友さんに新訳版の本書の存在を教えていただき早速手に取った。……素晴らしいの一言。原書が発表されたのが1956年、福島正実訳で出版されたのが1963年だから半世紀以上も前だ。にも関わらず、まるで新作SFを読んだような興奮を覚えた。改めてハインラインの凄さを感じた。残念なのは、文庫版で読めるのは未だに福島訳であること。若い人達には小尾さんの新訳をお薦めしたい。BGMは難波弘之版の『夏への扉』を。

  • あれ、この本、読んだことあるぞ。(でも、記録がないのと、記憶が曖昧)

    コールドスリープと、タイムマシンが出てくる話です、

    前半に、え?なんで?と思った付箋を、後半でちゃんと回収していきます。

    舞台は1970年代で、2000年までコールドスリープで寝るので、未来から見た2000年の様子が見れます。

    似たようなものがあると、驚いたり、それは無いなぁと思ったりするのも楽しかったです。

  • 現在、過去、未来、現在から過去に行ってまた現在に戻ってきて、、その時の自分は?どんどん未来が増えるのか?今いる自分もどこかの過去や未来からやって来たのか?宇宙の話しと同じくらい考え出すと寝れなくなる。面白い。タイムパラドックス最高。

  • ロバート・A・ハインラインの傑作。人生にはいくつかの扉(道)があるが自分には「夏への扉」はどこにあるのだろうとふと思った。

  •  福島正実訳の文庫版が出たのが1979年。その頃、翻訳されていて手にはいるハインラインの長編はほとんど読んだ。『夏への扉』も文庫が出てすぐ読んだのではなかったか。それから30年、もっとも原始的な時間旅行法で未来に旅してきたよ。その間に、「猫を愛するすべてのひとたちに」捧げられた本書の被献辞者にぼくもなった。30年後の未来では、新訳が出たのだけれど、これがバリバリの新人訳かと思いきや、ベテラン小尾芙佐訳。あとがきでは福島正実の傍らでSFの翻訳をはじめた頃の思い出が書かれている。
     52年過去に遡る。つまり1957年。本書の出版年、ハインラインはすでに50歳。われらが主人公のダンは30歳くらいだけれど、なんて若々しい小説なんだろうか。お話の舞台は出版から13年未来の1970年。これを読んだ当時、さらに9年未来にいたぼくは、たぶん恋愛小説として読んだんだと思う。恋人と親友に裏切られ、その陰謀で30年後に冷凍冬眠で送られてしまうダンが真の恋人を見出す物語。ダンの30年後は、2000年。今また、ぼくはそこから9年未来にいてこの小説を読む。
     新訳版はほぼ新書版の大きさ。旅行に持っていくのにちょうどいい。ぼくは急逝した親友の葬儀の行き帰りに『夏への扉』を読む。その親友とのつきあいも奇しくもおよそ30年。30年の旅すがら親友を失って、ぼくはもはやわずかに残った青春をも完全に失ったと思った。ぼくの胸には冬があり、しかし夏への扉を探す気にもならない。
     青春を失ったぼくにはダンを裏切る恋人は最初から魅力的ではないし(実際、最初からいかがわしい人物に描かれている)、真の恋人の登場はごく添え物的にみえる。圧倒的に本書を染め上げているのは未来、そして先へ歩んでいくこと、運命を切り開いていけることへの揺るぎない信頼だ。ぼくの頭の中では『夏への扉』はタイムトラベル小説として『マイナス・ゼロ』と同じカテゴリーに置かれていた。だが、ここには過去へのノスタルジーは皆無。裏切られた主人公が過去に戻るのは、復讐のためではなく、ちょっと不正を正すだけ。ダンは2000年に自分の生きる場所を見出している。
     ハインラインがこれを書いた黄金の1950年代、確かに夢と希望に溢れていたかも知れないが、冷戦が影を落とし、『夏への扉』でも限局的な核戦争は1970年以前にすでに起こっているし、『宇宙の戦士』が刊行されるのはこの2年後だ。本書の前向きさはもはや今の時代にそぐわないばかりか、当時の世相にもそぐわなかったのかも知れない。だからいつまでもこの小説は支持されるのだろう。
     ハインラインもたぶん夏への扉を探して『異星の客』や『月は無慈悲な夜の女王』へと進んでいく。夏への扉を探す気にならないぼくも、また次の30年の時間旅行を続けていくしかない。だから、ハインラインの歩みを再読して追いかけてみようという気になっているところなのだ。

    2009/08/15記

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