夢幻紳士 回帰篇

著者 :
  • 早川書房
4.15
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本棚登録 : 354
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152090799

作品紹介・あらすじ

夢幻魔実也による怪奇物語の名篇の数々を著者がセルフリメイク。絵柄、構成、結末等を一新した、まさに幻想怪奇漫画ファン必携の一作。

感想・レビュー・書評

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  • 「怪奇篇」のセルフ リメイク・リテイク。
    なのでタイトルの「回帰篇」は「怪奇篇」の語呂合わせとなる。

    1,「蝙蝠」
    2,「首屋敷」
    3,「沼」
    4,「吸血鬼」
    5,「蛇」
    6,「夢魔
    7,「木精(すだま)」
    8,「鬼」
    9,「蜘蛛」
    10,「夜会「」
    11,「花火
    12,「幽霊船」(前篇、後篇)
    の全12話にプロローグとエピローグを収録。
    リテイクされているのが1~3,5~8,10,11。
    4,9,12がリメイクとなる。

    尚、「老夫婦」「幽霊夫人」「針女」「サトリ」「昇降機」「人形地獄」は如何なる理由か分からないがリテイク・リメイクされていない。
    個人的には一番好きな「老夫婦」を今の作者のペンタッチで読んでみたい。

    オリジナルでは24P(「針女」のみ12P)だったものが掲載誌がミステリーマガジンという事もありページ数が16P(扉も含め)に減らされた分、カットされた部分がありストーリーよっては良くなったと感じるものもあるのだが、逆に何故そこをカットしたのだろうというところもある。
    例を挙げるとカットして良くなったのは「沼」。
    沼の水を飲んだ友人に起きた異変にオリジナルでは一瞬驚き、その後冷めた目で見るのだが「回帰篇」では驚くシーンがカットされて更に魔実也の傍観者ぶりが際立った様に思える。
    逆に何故カットしたのだろうと思うのが「蝙蝠」と「木精」。
    「蝙蝠」ではラストの魔実也の台詞が、「木精(すだま)」では最初に魔実也と出会ってからの青年と木精のシーンがカットされてオリジナルと比べると物足りなくなった。
    まあ、ページ数を考えれば仕方無いと言ったところか。

    リテイク分はペンタッチ、カットされた部分があるといった違いしかないのでプロローグ、エピローグ、リメイク分について書きたい。

    プロローグ
    別作品の顔のない女が登場。
    一瞬「これって夢幻紳士だよな?」と思ってしまった。

    「吸血鬼」
    オリジナルでは吸血鬼を倒す為の道具を老婆(妖術師?)に作ってもらうのだが、こちらでは魔実也自身の能力によって倒すという展開に変更された。
    無言のまま吸血鬼を倒すオリジナル版。
    「お前に出来る事は僕にだって出来るのだ!!」の台詞を決める「回帰篇」。
    どちらも甲乙付け難いカッコ良さである。
    ラストはハッピーエンドの「回帰篇」もいいが、個人的にはオリジナル版の方が好み。

    「蜘蛛」
    オリジナル版の蜘蛛に「魅入られた」少女(さやか)の話から蜘蛛に「魅入られる」少女の話に変更。
    怪奇度はさやかのある意味異常な心理の分「回帰篇」の方が上か?
    さやか父娘を救おうとしていた筈がさやかが蜘蛛になる為の手助けをしたようにも見える魔実也の行動にモヤっとする。

    「幽霊船」
    オリジナル版と同じラストになると見せてそれ以上の展開となり後味の悪さを増している。
    ただ、そこからエピローグに繋がるのはちょっと残念というかいただけない。

    エピローグ
    全ての物語が顔のない女が見た一時の夢だったというオチなのだが、ラストに店を出て行く顔のない女の後に魔実也が現れ不思議な余韻(雰囲気)を感じる。

    今回、オリジナル・「回帰篇」を読み比べて解った事がある。(今更ではあるが)
    魔実也は人を救う・救わないをある定義よって決めているという事。
    それは「夢魔」や「鬼」のように本人が望まぬ状況での『死』からはその人間を救うが、「夜会」「幽霊船」のように本人が『死』を望んでいる場合は救いの手を差しのべる事なく傍観者でいるのだ。
    まさに「怪奇篇」での作者のあとがきにある「残酷な天使で優しい悪魔」の異名に相応しいキャラクターと言えよう。

    リメイク・リテイクという事で賛否・好き嫌いはあるかもしれないが個人的には「アリ」な作品。

  • この揺らめく不穏さは陶酔と幻想を誘う媚薬のよう。
    艶かしい肌を描く流線は快楽に触れる琴線のよう。
    耽溺性のある漫画です。病みつきなるな〜。
    旧作の怪奇編も読みます。

  • 改訂版らしく、タッチの異なるお姉様方多数。こういう優しい感じの繊細なペン入れよりも、いつもの力強くて元気のいい線の方が好きかも。

  • 「怪奇篇」を元に作られた「回帰篇」、文芸雑誌月刊ミステリマガジンで連載していた作品+@。
    後半の作品は映像作品の様な流れるようなコマ運びが好きです。
    10/31/09のサイン会、さやか嬢を描いて頂きました♪
    夢幻君は「禁煙しろ」とお茶目なイラスト色紙で高橋先生に言われてるみたいです(笑)

  • 初版 帯

  • いくつか読んだことがある話が混じっていたけれど、文庫版で読んだのかもしれない。
    妖艶だけど絵が雑じゃなかろうかと。
    エピソードとしては首屋敷が一番好き。

  • マンネリというものは決して悪くない。特に怪奇ものに関しては話の構造は使い古されたものであっても、それはそれで良し。高橋葉介の絵で語られるならまた良し。

  • 新作が出る度に色気が増す最近の魔実也さま。
    僕には出来るのさ!とか言ってちゃちゃっと解決してしまうちょっと強引な魔実也さまも素敵です。
    夜会は色気有りすぎでした。色気ばっか気にしてスンマセン。

  • おおおおおおおもうマミーには会えないと思ってた…うれしい!最初ふつうに新作だと思って大興奮して手に取ったら、裏にリメイクって書いてあってガクっと来たけど、ほんとにすべて書きなおしだったので十分楽しめました!このサブタイトルってやっぱりオリジナルの「怪奇編」とかけてるのかな?
    ほとんどは絵柄を変えてるだけでしたが、結末自体変わってたのが「幽霊船」でしたね…あと「蜘蛛」はオチ以外の部分がかなり変わってて、「吸血鬼」や「蝙蝠」は最後の方のセリフが違いました。
    全体的に、登場人物が少なくなってるのと、マミーの人間くさい部分が一切なくなってましたね。
    「蜘蛛」の最後でさやかに「永遠に一緒にいて!」って言われてドン引きして適当に嘘ついて逃げるマミーとか、人間くさくておもしろかったのですが…あ、あと「吸血鬼」でも、謎の老婆から買った水晶玉を使って吸血鬼を倒してたのが、実力で倒したことになってた。そして最後に妹に失礼なこと言って「あなたは酷い人です!鬼!」って言われるオチも好きだったのに、リメイク版ではいい人で終わってました。

    でもやっぱ今の高橋先生の構成力で描かれると幻想的な雰囲気が格段に増しますね…夢の世界やあの世の表現は全然昔のと違って、すごい眼福でした。マミーのエロさもすごいわ。
    個人的に「怪奇編」の中では「半人形」が好きなので、今の絵で見てみたかったけど、残念ながらリメイクされなかったみたいですね。

  • この人は正直上手ってよりは色気が凄い。旧作も今回のリメイクも美しい。

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著者プロフィール

1956年、長野県生まれ。77年「江帆波博士の診療室」でデビュー。『夢幻紳士』『学校怪談』、『もののけ草紙』などのシリーズで人気に。独自の「怪奇幻想マンガ」を描き続ける。

「2023年 『魔実子さんが許さない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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