勇気の季節 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 早川書房
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091154

感想・レビュー・書評

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  • ヤングアダル向けに書かれただけにとても読み易く、でもパーカーの普遍なテーマである自尊心や本当の勇気といった内容が伝わってくる秀作。日頃忘れかけた頃にパーカーの書を読み大切な事とは何か思い起こしてきたけれど今回急逝とのことで残念でならない。

  • あのロバート・B・パーカーが書いたヤングアダルトものということで手に取った。
    主人公は15歳の少年・テリーで、3年前に父を事故で亡くしている。父の葬儀の時、弔問に来てくれた同学年のジェイソンが遺体で発見され、自殺と断定される。しかしテリーは不審を抱き調査を始めるが……。
    まあ、YAということでプロットも単純だしできることも限られるが、“ヤング・スペンサー”とも言うべきテリーがとても魅力的だった。ぼくはスペンサー・シリーズは途中放棄してしまったけれど。
    ……もうすぐパーカーの12回目の命日だ。

  • 男子は誰もが「強い男」に成りたいと思う。だが強いと言う意味は喧嘩のためのボクシングそのものではなく「我慢強く、いざという時誰かを守る時の技」だと悟った事で人生哲学を学んだ。素晴らしい発見と学びはどんなスポーツでもあるし「忍耐強さと守るべきものを知る事」は人生の成長に大きく影響したとさえ思える。

  • ライブカメラⅢ○レインハット:原文は「hard hat」なので,ヘルメットのことだと思う。
    9○二の腕:原文は「forearm」で,elbowから wristまたは指先までをいう。「二の腕」とは,肩からひじまでの間の部分。上腕,上膊。12章では前腕と訳されている。
    11○塵芥:12章にも出てくる。たぶん「ゴミアクタ」と読む。
    ライブカメラⅣ:○サリー・トレント:原文はGloria Trent.
    ○タフト(Taft)大学:著者の小説に登場する架空の大学。マサチューセッツ州にあるタフツ(Tafts)大学,コロラド州にあるWilliam Howard Taft Universityとは別。
    12○The Fighting Illini:イリノイ大学は全米屈指のフットボール強豪大学。
    40○Fauntleroy:この名前から想像されるのは,『小公子』(原題:Little Lord Fauntleroy)か。
    カメラⅦ○Big Ten:Big Ten Conference。スポーツ行儀の最高レベルNCAAディビジョンI所属校。

  •  スペンサー・シリーズではなく、ヤング・アダルト向けの青春ミステリーである。
     アマゾンの内容紹介を引用する。

    《15歳のテリーは母親と二人暮らし。同い年のガールフレンド、アビーとの仲は良好なものの、なかなか大人の関係に進展しないのが悩ましい。
     テリーがアビー以外で目下夢中なのは、黒人トレーナー、ジョージに教わるボクシングだ。まだ始めたばかりだけれど、ジョージのように強くなることを夢見てトレーニングに励んでいる。
     そんなある日、テリーと同じハイスクールに通うジェイソンという少年が浜辺で死体となって見つかった。学校はそれをステロイドの乱用からくる自殺だと説明した。だが、おとなしくてスポーツもしないジェイソンがそんなものを使っていたとは信じられない。テリーとアビー、そして仲間たちは学校と町にはびこる陰謀を探りはじめた…スペンサー・シリーズの巨匠が少年のまなざしを通じて熱く温かく描く、愛と友情、そして勇気の物語。》

     主人公の少年が大人の男に鍛えられていくという設定が『初秋』(スペンサー・シリーズの名作)を彷彿とさせたので、読んでみた。

     ヤング・アダルト向けだから大人の読者にはいささか物足りない部分もあるが、それでもパーカーらしさは全開で、面白く読めた。
     スペンサーも元ボクサーという設定だったくらい、パーカーにとってボクシングは大の得意分野。ゆえに、本書でもボクシングのトレーニングの場面などがすこぶるいきいきとしている。

     黒人トレーナーのジョージが、スペンサーと相棒ホークを足して二で割ったようなキャラクターで、魅力的。ジョージがテリーにボクシングを教えるいくつかの場面で、ボクシングについて語る言葉が逐一人生の比喩になっているあたりも、よくできている。たとえば――。

    《「冷酷になるのは試合のときだけだ。だいじなのはそういうコントロールができることだ。冷酷さに振り回されるようでは、いいボクサーにはなれないし、まともな人間にもなれないのさ」》

    《「おれがおまえにボクシングを教えてるのは、いいボクサーにするためじゃない」
    「じゃあ、いったいなんのために?」テリーはそう聞いた。
    「おれは、おまえにりっぱな人間になってほしいと思って教えてるんだ」
    「だけど、ボクシングができるからといって、りっぱな人間とはかぎらない」
    「そのとおり」
    「自分をコントロールできるようになれば、りっぱな人間になれるってこと?」
    「そういうことだ」
    「そうすれば、自分のプランを捨てずにやることができる……」
    「まずやらなきゃならんのは、プランを立てられるようになることだ。次に、そのプランにそってやっていくことをおぼえる。プランがまちがっていたことがわかったら、そのときは新しいプランをつくってやっていく」
    「なんだか、人生の話をしてるみたいだな」》

     こうした場面も、『初秋』でスペンサーが心を閉ざした少年を体を鍛えることで教育するシーンを彷彿とさせて、なんだか懐かしい。
     テリーのガールフレンドである聡明な美少女アビーも、まるでスーザン・シルヴァマン(スペンサーの恋人)の少女時代のようだし……。

     とはいえ、これが『初秋』級の名作かといえば、とてもそこまではいかない。私は『初秋』を少年時代に初めて読んで以来何度も読み返したが、本書は一回読めばもういい、という感じ。
     まあ、私自身が主人公と同じ15歳のころに読んでいたら、もっと好きになれただろうけど……。

  • やっぱりこれも2回目だった
    面白いけど

  • おじさんの心のなかを爽やかな風が吹き抜けた。

  • 2010年1月18日執筆中に心臓麻痺で死去。多分全作読んだと思う。この本の刊行間近だったとの事。スペンサー、ジェッシー・ストーンに会えないとおもうと寂しい。

  •  パーカーがヤングアダルト向けに書いた小説。主人公が現代アメリカで暮らす15歳の男の子であるということがポイントである。

     生きるということに対して前向きな気持ちが、たとえば初期のスペンサーシリーズでは料理というもの現れていたと思うし、もっと典型的には彼の作品すべてでセックスが前向きに明るく描かれている。15歳の男の子が主人公ってことになると、そのあたりがどうなるんだろうというのも気になっていた。

     驚いたことに、この小説でもセックスは重要な役割を果たすし、主人公も、その女友達である15歳の女の子も、人生におけるそういう要素について、前向きで健全な判断をしていく。なんだか、凄すぎて怖い。

     主人公がボクシングをやっているということもあるし、物語が基本的にはミステリの枠組みをとってるだけに、まさにスペンサーシリーズの子供版というしかないような雰囲気。捜査の方法までそっくりだったりする。そういう点で、ちょっと楽屋落ち的な楽しみでニヤニヤしてしまったのは事実。

     高校生くらいの男の子がこういう小説を読んだらどんな印象を持つのだろうか。話を聞いてみたい気がする。

  • 15歳のテリーは母親と二人暮らし。同い年のガールフレンド、アビーとの仲は良好なものの、なかなか大人の関係に進展しないのが悩ましい。テリーがアビー以外で目下夢中なのは、黒人トレーナー、ジョージに教わるボクシングだ。まだ始めたばかりだけれど、ジョージのように強くなることを夢見てトレーニングに励んでいる。そんなある日、テリーと同じハイスクールに通うジェイソンという少年が浜辺で死体となって見つかった。学校はそれをステロイドの乱用からくる自殺だと説明した。だが、おとなしくてスポーツもしないジェイソンがそんなものを使っていたとは信じられない。テリーとアビー、そして仲間たちは学校と町にはびこる陰謀を探りはじめた…スペンサー・シリーズの巨匠が少年のまなざしを通じて熱く温かく描く、愛と友情、そして勇気の物語 というのがアマゾンに出ていたあらすじ。亡くなった同級生が、かつて主人公の父親の通夜の席で言った一言が印象的でした。「われらがアウルズ」に続いてヤングアダルト向けの小説を執筆。でも、これがまさか日本での追悼出版になるとは思いもしませんでした。ご冥福をお祈りします。

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