これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091314

感想・レビュー・書評

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  • マイケル・サンデル教授による「哲学」に関する本。
    正直かなり難しく、読むのに時間もかかった。
    書かれた内容をどれだけ理解して読了できたのか?甚だ疑問。
    334P以降に書かれているまとめを読むことで、分かった気にはなれるが、
    それにしても難しい内容だった。

    自分の考えだけで物事を判断することの危険性は感じたが、
    何を持って正義と判断するのか正直分からなくなった。

    もう一度読んだら、理解が進むのだろうか・・・

  • 読了。やっと読了。購入本。

    これからの「正義」の話をしよう。

    この『ハーバード白熱教室』という番組日本でも放送されたようですが、私かれこれ5年ほどTVを見ない生活(実家帰省時は除く)をしておりまして、家にテレビがないわけです。なので『ハーバード白熱教室』はちょっと見たかったんですけど、見てないのです。

    『これから「正義」の話をしよう』だと思ってたんですけど、『の』があるかないかでは全然違いますよね。正義とはなんぞや!とか正義とは信念である!とか、そういうわかりやすい方向なのかと読む前は思ってまして、読んでみたら、そんな簡単なことではない!政治哲学だったわけです。
    でも正しい行いとは?というのを各方面から見た部分でもあるので間違ってはいないんですけど

    哲学ってあれですよね。
    読むの疲れますよね。

    功利主義と自由主義から見る正義
    カント、ロールズ、アリストテレスが言う道徳・正義
    でもってさらに別視点からの正義

    二章三章の功利と自由読んでたら、
    ミルの自由論も思わず買ってしまいまして、“積んで”あります。

    私は比較的自由主義側で生きてるのではないかと思える感じです。
    尊厳死も認めてもらいたいですし、自殺をしたい人は自ら死を決めたのなら尊重して止めないですしね(悩んでるならやめときって言いますけど)

    日本でも大いにありえる問題で、貧富の差、生活保護がらみ、反原発の話もいろんなところから正義を見ると、一方的には否定できないし、もう一方からすると肯定できる部分もあったりと、いろいろと考え直すことはできますね。
    諸外国より宗教がらみの問題は少なそうね。モンペという部分では道徳感は宗教的な価値観がほしいのかもという痛し痒しですかね。
    しかしまぁ、底辺を這いつくばっているような私には考えたところで、どうもこうも手も足も出ない部分もありますが、考えること(思考あるいは妄想)は自由にできるわけです。
    ともあれ、政治関係は専門家がんばっていただきたいものです。

    たいへん勉強になりました。

  • ちょっとダラダラ読みすぎてしまった。
    犯罪に関わった兄弟を守るか、警察に告発するか、の件がとても興味深かった。

  • 全く進まない。
    哲学も経済学と同じで、設定ありきの思考を求められたりもするんですね。
    むずかしい(゚ν゚)

  • 私達が社会で生活する上で、世の中が報道する情報や、世間の常識に溺れている日々に【?】を投げかけ『正しいこととは何か』を徹底的に考える本。

    読む前と読んだ後では物事の捉え方が
    変わった。今までの指針が崩れ、裸ん坊で右往左往してる状態。急ピッチでの指針再構築が必要だ。

    功利主義やリバタリアニズムを引き合いに正義の答を出そうとしている。
    読んでいる中でふと手元を止めて、自身でも考えてみるが、どうやっても答えは出ない。矛盾が産まれ纏まらない。これはアリストテレス、ルソー、ロックらの賢人達も答えが出せていない。
    しかし、賢人達は自由・権利・良き善の切り口から全く違う答えを導き出す。それぞれの意見は分かったが、全体として見たとき全く分からず結果、睡眠時間を多く取ることができた。

    またチャレンジするべき書物。

  • テレビで一時やってた「白熱教室」の元ネタ。

    とにかく面白い。「5人の命を救うために、1人の命を犠牲にすることは許されるか?」などの疑問をいろいろな角度から議論していく。

    まさに「考える」入門だ。

  • iphoneで読んだ。

    4ヶ月くらいかかった。

    ものごとをロジカルに突き詰めること、中立的に見直してみること、本質を探ること。

    手法を学んだ。

    「物語」というのがキーワードだった気がする。

    やはり、電子書籍より紙の方がいい。

  • 自分が築いてきた「正義とは」をぶっ壊してくれる本。

    そして再構築しにくくしてくれる、ありがた迷惑な本。

  • 主旨;「正しい行い」とは何か?
    社会に生きるうえで私たちが直面する、正解の無い-にも拘らず決断を迫られる-問題である。哲学は、机上の空論では談じてない。金融危機、経済格差、テロ、戦後補償といった、現代世界を覆う無数の困難奥には、常にこうした哲学・倫理の問題が潜んでいる。この問題に向き合うことなしには、良い社会を作り、そこで生きる事はできない。

    要約;
    第一の考え方★正義は、功利性や福利を最大限にする事(最大多数の最大幸福。全体の幸福量を最大化する事)
    ×①正義と権利を原理ではなく計算の対象としている。
    ×②人間のあらゆる善をたった一つの統一した価値基準に当てはめ、個々の質的な違いを考慮しない。

    第二の考え方★正義は選択の自由の尊重を意味する
    ×②上記に同じ。個人の嗜好や欲求について疑問や異論を些細挟む事はしないため、共同体に生きるものとして共有する生活の意義や、道徳的価値の追求や模索もなされない。

    第三の考え方★正義には美徳を涵養することと共通善について判断する事が含まれる

    ◆P335『公正な社会は、ただ効用を最大化したり選択の自由を保証したりするだけでは、達成できない公正な社会を達成するためには、善良な生活の意味を我々が共に考え、避けられない不一致を受け入れられる公共の文化を作り出さなくてはいけない。』

    ・共通善に基づく政治
    【物質的欠乏を無くすため行動するにしても、より大きな課題がある。それは満足との戦いだ】単なる物質の蓄積に夢中になっても、心は満足しない。

    1、市民道徳を育てるには、市民道徳を直裁に教える場ではなく、多種多様な出身・背景を持つ人々が同じ教育機関などに集まった際に自然と行われる公民教育が有効なのではないか。

    2、市場原理では量れない生活領域の問題を、市場という経済的指標で図ろうとしない方がいいのではないか。P341『善の価値を判断する方法について、対立する様々な考え方を公に論じる事が必要だ。市場は生産的活動を調整する有用な道具である。だが、~我々は市場の道徳的限界について公に論じる必要がある。』

    3、不平等、連帯、市民道徳
    貧富の差があまりに大きいと、民主的な市民生活が必要とする連帯感が損なわれる。富者は私的なサービスを求めるため公共サービスを利用しなくなり、自分たちの税金で支える気力を無くす。公共の施設で多種多様な人々が出会い学びあう機会が減り、コミュニティ意識・公共道徳が育ちにくくなる。

    4、道徳に関与する政治
    多元的社会の市民は、道徳と宗教に関して意見が一致しないもの。行政府がそうした不一致について中立性を保つのは不可能だとしても、相互的尊重に基づいた政治を行うよう努めるべきだ。(不一致について中立性を保つのが難しいのは、殊にアメリカが人種の坩堝となっているから、と解釈する。カトリックと無宗教、イスラム原理主義の全員が納得する『中立』は残念ながら存在しない。しかし、宗教的習慣的思考をとっぱらって、ただ、他者の行動と選択の自由を尊重する・寛容する、『人間らしい生活』を誰でも選択でき実行できるような法整備や税金の徴収と分配を行っていく事、はできるはず。)


    感想;この政治哲学は、アメリカの学者らしいなと思う。日本での問題で特に共通するのは、貧富の格差をどう捉えていくか。
    公共サービスの空洞化は、一層深刻になってきつつある。
    社会の連帯感が薄れてきた今、学校給食の未払いなんかが問題になってくる始末。
    日本にはもともと武士道とか、高い公共道徳があった。行き過ぎた時代もあったけど。道徳観念が薄れ、公共意識が希薄化したせいなのか、上司に諫言したり部下を叱っていいのかすら迷う時代。
    そもそも政治が信用できない。
    効用の最大化を目指しているのかすら、非常に怪しい行状。
    そんな中、この本の言わんとするところ、
    「市民道徳、とりわけ共通善に対する認識を涵養するような社会構築に努め、公共の連帯感が高まっていくような<正義>に基づいた政治的選択を行っていかないと、いずれ富める者たちを含む自分たち全員の生活基盤となる社会そのものが悪るくなる、という事をお忘れなきよう!!」
    と耳元で叫んでやりたい。


    ※実際の社会問題を解決できる現実的な方策は思い浮かびませんが!考え方、って大事ですよね。

  • タイトルにまず惹かれました。
    正義という言葉は危険だ。
    正義という名のもとに、人権や命までも奪う。
    それが許されてしまう。

    じゃあ、本当の正しさって何だろう。
    この本にはその明確な答えはありません。
    ただ、考えの「ものさし」になるものを提示してくれます。

    ●功利主義
    ●自由至上主義
    ●カントの正義論
    ●アリストテレスの正義論

    正直言って、後半くらいからは十分理解できませんでした。
    正義について思考して、人と議論を交わす。
    それが大事と言ってるんじゃないかと僕は勝手に解釈しました。
    とりあえず。

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著者プロフィール

1953年、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。アメリカ合衆国の哲学者、政治学者、倫理学者。ハーバード大学教授。

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