これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
- 早川書房 (2010年5月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152091314
作品紹介・あらすじ
哲学は、机上の空論では断じてない。金融危機、経済格差、テロ、戦後補償といった、現代世界を覆う無数の困難の奥には、つねにこうした哲学・倫理の問題が潜んでいる。この問題に向き合うことなしには、よい社会をつくり、そこで生きることはできない。アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ミル、ロールズ、そしてノージックといった古今の哲学者たちは、これらにどう取り組んだのだろう。彼らの考えを吟味することで、見えてくるものがきっとあるはずだ。ハーバード大学史上空前の履修者数を記録しつづける、超人気講義「Justice(正義)」をもとにした全米ベストセラー、待望の邦訳。
感想・レビュー・書評
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難解。
考えの違いこそが議論の核であり、定義付けは最も難しい行為だと思う。
普段は考えもしない設問が用意されている。自分の奥底にある正義感というものが、如何に曖昧であるかを突き付けられる。一見、公平な判断は突如として不公平に変貌する。何が正義か。
多数と少数。自由と制約。道徳や宗教、政治まであらゆる事柄を、正義というテーマで考える。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
考える良いきっかけになる。
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イマヌエル・カントとジョン・ロールズの章はかなり難解だったが、一冊を通して色々と考えさせられる本だった。本質をめぐる議論が交わされ、その名も「正義」と銘打った講義が大人気というのはさすがにアメリカだ。こういう論争に真剣に向き合う学生たちがたくさん居ることは本当に素晴らしいと思う。
究極の選択をわずかな時間で行わなければならない時、というのがある。その時に咄嗟に選ぶ一つの選択肢。その選び方のために、自分だったらこういう考え方でこちらを選ぶ、という訓練を行っておくべきなんだろうな。なぜそうしたか、という理由わ色々なことについて考える訓練。この国にはそういう大きな議論から身を遠ざける習性があるように感じることがある。自分たちで決めていく、という時代が来るのはいつだろうか? -
前半が面白い。後半は力尽きた感じ。
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# 「正義」という言葉の裏側にある、思想への手引
## 面白かったところ
* 索引の引用が他の書籍などではなく、新聞記事や判例などより具体的なモノが多かったこと
* それぞれのセクションについて取り上げる事実を、できるだけわかりやすい言葉で表現し、読者にも考えさせるような構成だったこと
## 微妙だったところ
* マイケル・サンデル先生自身の考えがあまり多くはなかったこと
## 感想
正直、僕にとってはかなり難しい本だった。5割理解できていたらいいかもしれない。
結論、この本を読んだからといって正義がわかるわけではない。
功利主義・リバタリアニズム・平等主義など、様々なポジションから見つめた正義がある。
あらゆる事象が史実として起きており、議論し、遥かに聡明な人々が苦渋の判断をしてきた歴史に触れることができる点はとてもいいと思う。
事実、僕は信じてきた正義はいい面もあれば悪い面もあることがわかった。
自分の正義が捻じ曲がるようなことがあれば、またこの本に縋り付くときがあるかもしれない。
己の、物事を判断する基準を知りたい人にはいい一冊なのではないだろうか。 -
以前に著者がテレビに出演していたことから気になり手に取った一冊。タイトルにもあるようにさまざまな「正義」がぶつかり合う難しい事例を著者は取り上げ、次々と読者に疑問を投げかける。提示される疑問について解きながら読み進めるうちに筆者は考え方を提案してくれる。この本を通して、複雑な現代を乗り越えるために必要な思考力を養うことができるであろう。
(エネルギーコース M2) -
良い
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特に難しい作品だと思います。
正義に哲学などがまじり、途中からやっとついていけた感じです。
日本語タイトルと外国語タイトルが合わないような考えです。
元々は大学の講義だからわかりにくいのか、今の私の理解不足かはおいといて、本当に苦痛だった。
ただ、分かる方には分かるのでしょう。
特徴
これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学 -
これからの時代においてAIが判断する際にも「どちらの選択が正義なのか?」という議論がされると思われます。 難しい、、(泣)