音楽嗜好症: ミュージコフィリア 脳神経科医と音楽に憑かれた人々

  • 早川書房
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本棚登録 : 522
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (502ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091475

作品紹介・あらすじ

落雷による臨死状態から回復するやピアノ演奏にのめり込みだした医師、ナポリ民謡を聴くと必ず、痙攣と意識喪失を伴う発作に襲われる女性、指揮や歌うことはできても物事を数秒しか覚えていられない音楽家など、音楽に必ずしも好まずして「憑かれた」人々を温かく見守りながら、時にしつこく人間の頭の中にまといついて悩ませ、時に障害を治療する効果を発揮する、人間にとって不可分の存在であるように思われる音楽に共感を馳せる。脳神経科医サックスの待望久しい本格的医学エッセイ。

感想・レビュー・書評

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    ミュージコフィリア。

    雷に撃たれてポロネーズやエチュードなどのピアノ曲を弾いたり音楽がだいすきになってしまう。
    ある音楽を聴くと発作を起こしてしまう。
    交響曲が常に細部まで頭の中に流れている。脳の虫ともいうべき。
    iPodが頭の中にあるかのよう。
    などなど。
    また、音楽の有効性も。
    自閉症の子が、発話ドリルを音楽にしたらこたえるようになったりとか、
    認知症の問題行動が、音楽を聴くことで落ち着くとか。
    パーキンソンには音楽?リズム?が有効で、乗馬もよいとか。
    知的だが会話や社交性の高い、人懐こくておしゃべりな性格とされているウィリアムズ症候群は、絶対音感を持つ人が多く、リズムだけでなく音楽的知能が高度、早期発達するようだ。
    とても興味深い。

  • 長編エッセイかと思いきやあんがい断片的な連作エッセイという感じで、あまり構造的な厚みは感じられなかった。それでも音楽と脳にまつわる興味深い事例を次々と紹介しながら卓抜な考察を加えていくサックス節は健在。

    音楽嗜好症を患う好事家の一人としていわせてもらえば、ところどころ記述に「あれっ?」と思うところもあったけど、総じて面白く読めました。長年趣味でピアノを弾いてはいても専門的に音楽に取り組んだことのないサックスさんの原文がやや曖昧なのか、翻訳に起因する問題なのかはわからないけど、まあ本書の日本語自体はとてもこなれてて読みやすいし気にしないのが吉かと。

    そうそう、注釈の多さと長さに悲鳴を上げるレビューを見かけたりもしたけど、「手話の世界へ」に比べたらこんなもん軽く読み飛ばせますよ。(笑)音楽家にも音楽好きにも、そうでもない人にも広くお薦めできます。

  • 疾患によって音楽の理解ができなくなること、音楽嗜好になること。健康な人でも起こりうる音楽の障害。認知機能が低下しても音楽の理解は残ること。テープ、MP3、ipodなどいろいろな時代のメディア、思想家や音楽家との音楽との関係など、幅広いテーマで音楽と人間との関係を、さまざまな局面で示してくれる素晴らしい書持。

  • 請求記号 493.7/Sa 12

  • ビリーミリガン的な小説に要素はないが、事実は小説より奇なりというのはまさにこの本に書かれたこと。突然音楽にとりつかれた人、音楽で急に自分らしさを取り戻す人…とまるでドラマのような事例が並んでいる。音楽は人間にとってどこまで重要なのか。改めて考えさせられ、そしてピアノの練習がしたくなる本だった。

  • ふむ

  • 映画「レナードの朝」をだいぶ前に観たけど、この本も原作者が同じだと気付いたのでこれも読んでみた。
    脳精神科と音楽って切っても切れない関係なのではないか、と。
    色んな人、それこそ病気だったり突然変異で異常があったりした人は
    「音楽」という一つの娯楽(と言っていいのかどうなのか悩むけど)に対し
    様々な変異を見せるのが面白い。もちろん解明されていないんだけど。
    音楽に今まで全く興味がなかった人が急激に興味を示したり(実際奏でたり)
    はたまた音楽家だったのにも関わらず全く興味を示さなくなったり。
    色んな人が色んな症状で出てくるのが興味深い。
    脳みその中で何故「音楽」なのか?と自分なりに考えていた際
    ふと「風の谷のナウシカ」原作でヴ王の長男と次男がシュワの庭でピアノをひたすら弾いていたのを思い出した。
    たぶんあんな感じなのではないだろうか、と。(関係ないけど)
    あと、この本で紹介されていた「The SOLOIST」の映画も見た。
    この本を読まなかったら観なかったであろう作品だった。

  • 音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々

  • 読みにくいのに、読み進んでしまう本。何が読みにくいかというと、注釈が各章毎、章の最後にあるのだが、場所を示す記号が本文の中で小さく見つけづらいので、それを見つけるのに一苦労。脳神経外科である著者の臨床経験や送られてきた書簡、同じ研究者からの報告を基に書かれたエッセイなのは分かるのだが、やたらと人の名前が出てくるので戸惑ってしまうことに・・・。しかし、この読みにくさに勝る興味深い内容が詰まった本。事故で突然音楽好きになる人や、音楽が引き金で癲癇を起こす人、失音症という音楽がただの雑音になる人がいる一方で絶対音感という特殊な能力を持つ人、様々な脳障害が、音楽で緩和するという話など、普段あまり考えることのない「音楽」の側面を、豊富な実例と、著者の脳神経というフィルターで解説してくれる。何気にというより、人より「音楽」については関心があるだけに、かなり特殊な事柄が書かれているにもかかわらず、好奇心を大いに刺激する内容。「音楽」には何かよく分からないけど、人間に役立つもの、チカラを与えるものだと考えていたが、単なる思い込みではないことが、この本には書かれている。しかも、脳の働きという科学的な理論を後ろ盾にしているのがありがたい。改めて、「音楽」とは何かを深掘りしたくなる本でもある。

  • <閲覧スタッフより>
    突発的に音楽にのめりこむ音楽嗜好症、ある特定の音楽を聴くと発作を引き起こす、2000曲以上のオペラを記憶している音楽サヴァン症候群、治療として使われる音楽療法のアプローチ…etc。脳神経科医である著者が音楽にまつわる不思議な臨床体験を紹介。unbelievable!な世界へと引き込みます。脳や精神に与える音楽の影響力ははかりしれません。
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    所在番号:493.7||サツ
    資料番号:10199550
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