スイッチ!

  • 早川書房
4.17
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091505

作品紹介・あらすじ

会社のしくみ、自分の習慣…大変化を起こすのに、「権限」も「我慢」もいらない。必要なのは、環境にくわえるちょっとの「工夫」だけ。本書では、大きな権限や強固な意志の持ち主ではない「ごく普通の人たち」が、会社や国を動かすような変化を生み出した例を豊富に挙げながら、それらに共通する「変化のしくみ」を明かしていく。アメリカのビジネス界で大人気の兄弟による目からウロコの最新作。

感想・レビュー・書評

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  • 大企業から病院、学校法人まで様々な団体で成功を導いた「変化」の数々を分析した本。考え方を養うHowto本の構成にもなっている。心理学的な裏付けは巻末の参考文献の数々を参照してもらうとして、本書では一家庭でも応用が利くような実践的なことが書かれており、また言葉遣いも簡潔で理解しやすく、自分も真似してみようという気になる。

    実際、これを読んですぐに職場で少し変化を促してみた。悪くない感触だった。今後も読み返してお世話になりたい。

  •  自分にとっては良書だった。
     人間の感情は象、理性は象使いである、という比喩がとてもわかりやすい。
     また、実例が多く載っていて、ただの理想論ではないことがわかる。
     巻末の「さあ、スイッチしよう」と「問題解決Q&A」が、うまくまとめられていて、これを何度も読み返すことでノウハウが身に付きそうに思う。

  • 本書は「いかに変化を起こすか」ということをテーマにした本である。
    変化のためのスイッチを「象使い(理性)」「象(感情)」「道筋(環境)」の3つのフレームに分け、これらが整えば変化を引き起こせると述べている。

    本書はいくつかの実践的な成功例を基にまとめられており、事例を読んでいるだけでも面白かった。特にベトナムの栄養不足改善プログラムの話と米国サウスダコタ州の過疎地域再興の話は、この項だけでも有用な示唆があるように思う。

    また、とりわけ印象深かったのは「人間の問題に見えても、実は環境の問題であることが多い」と述べている部分である。これを筆者は「根本的な帰属の誤り」と呼んでいたが、この考えは前から自分の中にあり、頭の中にあったことを文字にして整理してくれたようなすっきりさがあった。

    色々な人にオススメしたい良書である。

  • 仕事に活かしたい。小さな一歩を踏み出して、改善させたい。…でも頭が枯渇してて、何も思い浮かばない。日々考えよう。
    様々な具体例がとても面白かった!特に、最近立て続けに行動経済学の本を読んだこともあり、環境を変える章が興味深かった。

    ①象使い(理性)に方向を教える
    成功例を探してまねる、具体的な行動を定める、変化の目的や価値を理解させる
    ②象(感情)やる気を与える
    変わりたいという感情を生み出す、変化を細分化して少しずつ積み重ねる、アイデンティティや柔軟な考え方を養う
    ③道筋を定める
    環境を変えて行動の変化を促す、行動を習慣化させる、仲間を集めて行動を広める

  • 良い内容だが、明日からすぐ実践しようとは思わない。
    課題がはっきりしている組織に身を置いたときに再読しよう。

  • Amazonでオススメに出てきて手にとった本。これは…名著!!
    ・人に変化をもたらすにはどうすべきかが体系的かつ具体的に書かれていて勉強になる。
    ・具体的事例が紹介され、あるあると思う事例が多く文章も面白い。
    ・こちこちマインドセットとしなやかマインドセットという考え方を知ることができた。自分は完全にこちこち派だった。しなやか派になるべく意識改革も必要と思った。
    ⇒人は変われること。能力は筋力と同じで、練習すれば鍛えられると信じること。

  •  なぜ変わることが難しいのか、どうすれば変わることができるのかということを、理性を像使い、感情を像、環境を道筋にたとえて解説している。理性に訴えかけても考え込んでしまい行動に移せない。ところが、感情に訴えかけると行動につながるので変わるために進み始めることができる。しかしながら、ただ単に進めばよいというものではなく、しっかりと目的地を示してやらなければゴールにはたどり着けない。その目的地を決めるのが理性である。つまり理性と感情のバランスが大切である。
     そして理性と感情のペア以上に強力なのが環境。環境が変わってしまえば変わらざるを得なくなってしまう。自宅だと勉強ができないが図書館だと勉強ができる、というのが環境の持つ力のわかりやすい例かもしれない。そして環境が強力な変える力を持っていることは、新型コロナウイルスの流行によって多くの人が経験することになってしまった。つまりコロナ禍での生活の変化である。日本企業の多くはリモートワークに消極的であったが、コロナ禍でリモートワークが当たり前になってしまったし、普段の生活もニューノーマルという言葉が登場してしまうほどに変化している。コ
     変わろうとしなければ変わることはできないのであるが、変わり方を知らないから変わることができないということでもある。ロナ禍は極端な例ではあるが、環境を整えるのは変わるための近道かもしれない。

  • スイッチ!のきっかけは
    ・シンプルで具体的
    ・共感できる
    2点を備えた目標。

    メモ
    一筋の光明、ブライトスポット。
    象使いはそこかしこに問題を見つけ、多くの場合は「分析麻痺」に襲われてしまう。はっきりと方向が決まるまで、象使いはずっと頭を空回りさせ続ける。どこへ向かうのか、どう行動するのか、どんな目標を追い求めるのかを伝える必要がある。ブライト・スポットは変化を起こそうとしているとき、象使いに道を案内するこの上ない希望となる。

    とびきり明確な誘導を指し示す台本。
    大切なのは大事な一歩。「低脂肪乳に切り替える」「行動指針の4つのルール」
    具体的な目標だけでなく、心に響く目標。「目的地の絵はがき」

    やる気を引き起こす仕組み。「運動のスタンプカード」にあらかじめスタンプを2つ。

    変化を細かく。毎日5分間の掃除。「雪だるま式返済法」

  • 人の課題に見えて、実は環境の課題であることが多い。

    何か良いこと/悪いことが起きたとき、その原因や責任を人に求めるというのはよくある勘違い。
    勘違いを前提にしてしまうと、良いことは再現できず、悪いことは何度でも起きてしまう。


    おやつを食べすぎて不健康でおデブな人が居るとする。
    その人が愚かで自制心が弱い人間なのだろうか?
    その原因と責任は、その人にあるのだろうか?

    おそらく、その答えはノーだ。
    なぜ、そんなことが分かるのか?

    凄まじく不味いポップコーンを用意する。
    具体的には、5日前から作り置きして、バッチリしけさせる。
    これを映画の観客全員に無料で振舞うのだが、
    一方のグループには超デカいLサイズの容器で渡し、
    もう一方のグループにはデカいMサイズの容器で渡す。

    どちらの容器もデカいので、到底すべてのポップコーンを食べきることはできない。
    よって、容器のサイズ(環境が僅かに)が違うだけで何が起きる(変わる)かを調べられる。

    結果?

    容器がLサイズの人は、Mサイズの人の約1.5倍も不味いポップコーンを食べた。
    言い換えると、無意識に21回も多く容器に手をつっこんで、173kcal余計に摂取した。
    これは条件を変えて実験しても、いつも同じような結果に落ち着く。

    ちなみに体脂肪1gは約7kcalなので、173kcalは体脂肪にして約25gになる。
    これを1年続けると、体脂肪にして約9kg分の熱量を追加できるわけ。しかも無意識に。

    何よりやばいのは、被験者がこの結果をなかなか受け入れないこと。
    「いやいや、何をどのくらい食べるかなんで、自分で決めてます。
    容器如きに私の自由意思がコントロールされるわけないでしょ?」
    みたいな認識から逃れられないらしい。



    ある会社(製造工程で様々な可燃物質を扱う工場)のエピソードなどは悲劇的である。

    工場ではたびたび火災が発生したが、問題を解決しようと、
    その会社の社長は10,500名の全従業員に宛てて「火をつけないでくれ」と頼んだのだとか。

    これは甚だマズい。しかし気持ちは分かる。

    何がマズいかというと、火災は死傷につながるので、
    何はともあれ、従業員は相当に注意、工夫、対策しているはず。

    その上で、「火をつけないでくれ」とお願いするのは、
    工場という環境の問題ではなく、従業員という人間性の問題とみなしたということなので、
    従業員一人一人の耳元で大声で「放火魔さん!放火はやめてください!」というのに近い。
    せっかく問題解決に乗り出したのに、社長は信頼を失い、その言葉も力を失わざるを得ない。

    しかし、こんなお願いをしたからには、類似性のある他社では問題が少なかったのでは?
    また、環境の問題と認めることは、社長の責任(それを看過するような能力の低さと
    人間性の問題)という思い込みがあったのではないだろうか。
    同時に、誰かがこの問題で罰せられることを求める環境があったのではないだろうか。

    可燃性化学薬品とそれを取り巻く環境の問題として解決すること、
    それこそ、それができない環境だったからこうなったのだろうな。


    他人に問題を見出して矯正しようという思いは『根本的な帰属の誤り』から生まれる。
    『公平世界仮説』+『根本的な帰属の誤り』=『対人関係の破壊(友達の終了、会社の死因など)』
    という印象すら抱く。どうも嫌な、危険な匂いがする。


    しかし、環境の持つ力の凄まじさを知れば、これを活かさない手はない。
    『環境』=『アクション・トリガー』
    しかも、わずかな環境の違いが習慣を作り、人生が変わるという。
    なお、引っ越しすると環境を大きく変えられるので、習慣を再設計しやすい。
    部屋の模様替えも効果的である。

    習慣の先にある『目標』を達成するといっても、『簡単な目標』と『困難な目標』があるだろう。
    『アクション・トリガー(行動の支配権を環境に委ねる)』は
    『簡単な目標』と『困難な目標』のどちらにより有効だろうか?

    答えは、なんと『困難な目標』である!

    『簡単な目標』の場合はアクション・トリガーを設置しても、
    その成功率は 78% → 84% になっただけ。

    ところが、『困難な目標』については、その成功率は 22% → 62% なので、約3倍である。
    言い換えると、今年達成したい10の目標のうち、環境設計なしだと2個達成にとどまる。
    これが、うまく環境設計すると、6個達成できるということになる。


    とりあえず、試しに Nintendo DS に えいご漬け を入れて、枕元に出しっ放しにしてみた。
    4ヶ月ほど実験した結果、5文のディクテーションをほぼ毎日するようになった。
    で、これを引き出しにしまうと、、、一切やらなくなった。いずれも意志力はほぼ使ってない。
    これは、大事なこと/ものは出しっ放しにして、それ以外は仕舞うか捨てた方がいいかも。。。

    人を変えることは難しいが、環境を変えることは簡単である。
    そして、環境はアクション・トリガーとして、人の行動を変えてくれる。
    それも、困難な目標を3倍も達成できるようになるのだから、
    人ではなく環境に責任を求めるという思考の枠組みは魅力的だ。

  • <なんについて書かれた本か?>
    人間の気持ちを変化させるための仕組みについて書かれた本。人間は理性で理解し、感情で動く。その仕組みとスイッチの入れ方について多くの検証事例を引用しながら説明している。モチベーションについて書かれた書籍は多いが、環境について丁寧に書かれた本は珍しいと感じた。非常に参考になる一冊。翻訳のせいか若干の読みづらさがある。

    <どんな人が対象か?>
    PJマネージメントや管理職、研修講師など、集団をマネージメントし成果を出させる役割を担う人向け。


    <アンダーライン>
    ・像使いと像
    ・ブライトスポットを見つける
    ・大事な一歩の脚本を書く
    ・真実だが役に立たない
    ・変化は「分析して、考えて、変化する」の順序ではなく「見て、感じて、変化する」の順序で起こる
    ・やる気のない像を動かすなら「変化を細かくする」
    ・意思決定の2つのモデル「結果モデル」と「アイデンティティモデル」
    ・自分自身の行動を変えるときは、自分にセルフコントロールを課すよりも、環境を変えるほうが必ずうまくいく
    ・やる気を維持するコツは「失敗を覚悟する」こと
    ・理性、感情、環境

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