華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

著者 :
制作 : 山本ゆり繪 
  • 早川書房
4.22
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本棚登録 : 836
レビュー : 152
  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091635

感想・レビュー・書評

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  • 初、上田早夕里作品。
    自分と同じようで同じではない海洋民と地上民。
    近未来を思わせるようなアシスタント知性体。ともて興味深く読むことができました。
    世界観も好みのものでしたし、物語に登場する人物たちが魅力的だったのも良かった。
    でも、結構なボリュームで疲れてしまったのか、どっぷりのめりこむことができなかったのが残念でした。

    【ホットプルームの活性化による海底隆起で、多くの陸地が水没した25世紀。未曾有の危機と混乱を乗り越えた人類は、再び繁栄を謳歌していた。陸上民は残された土地と海上都市で高度な情報社会を維持し、海上民は海洋域で〈魚舟〉と呼ばれる生物船を駆り生活する。
    陸の国家連合と海上社会との確執が次第に深まる中、日本政府の外交官・青澄誠司は、アジア海域での政府と海上民との対立を解消すべく、海上民の女性長(オサ)・ツキソメと会談する。両者はお互いの立場を理解し合うが、政府官僚同士の諍いや各国家連合の思惑が、障壁となってふたりの前に立ち塞がる。
    同じ頃、IERA〈国際環境研究連合〉はこの星が再度人類に与える過酷な試練の予兆を掴み、極秘計画を発案した――。
    最新の地球惑星科学をベースに、地球と人類の運命を真正面から描く、黙示録的海洋SF巨篇】

  • ―――陸地の大半が水没した25世紀
    人工都市に住む陸上民の国家連合と、遺伝子改変で海に適応した海上民との確執の最中、この星は再度人類に過酷な試練を与える。
    最新の地球惑星科学をベースに、地球と人類の運命を真正面から描く、黙示録的海洋SF巨篇


    ベストSF2010 国内第一位の作品を新規開拓
    単行本 × 上下二段組み × 586ページ の超ボリューム!

    数百年前に激変した地球環境に加え、従来どおりの暮らしを営もうとする「陸上民」と、海の中で縛られず生きようとする「海上民」の価値観の違い。さらには組織の上層部と現場
    それらから生じるトラブルを言葉と論理と熱意の力で解決する外交官が主人公

    利害が交錯する駆け引きの描写だけでも魅力的なのに
    世界観の下敷きになっているのは、現在でも議論が分かれる最新の地球科学理論
    もうたまらんよね

    ものすごいスケールの物語が、細部まで緻密に動くことの喜びを感じられる作品だと思う。




    これは人類にとっての、ある種の夢なんだよ

    人間の傲慢さは、夢を生む機関にもなり得る

  • 図書館から借りた本。始めは私が聞いたことがない筆者名だったので、あまり期待してなかったが良い意味で期待を裏切る内容。

    とても壮大なテーマで、ここまで構想出来るのは凄い。

    もっと筆者の本を読んでみたいと思う。

  • 著者には大変申し訳ないのですが、
    何の期待もなく読み始めました。

    しかし、壮大かつ緻密な設定にただただ圧倒され、
    重厚なテーマを掲げながらも、
    ぐいぐい引き込むストリーテリングに、
    ページを手繰るのももどかしく読みきりました。

    ご自分の好みをうんぬんする前に、
    ぜひこの本を手に取って読んでほしいと思います。

  • SF要素よりもヒューマンドラマの要素のほうが大きいようにおもった。
    読みながら、仕事に深く関連する交渉とか調整という心構えを教えられた気がする。そこまで緻密にできないし、この小説の内容ほど壮大な案件でもないけれど。

    知性のある生き物ができることは何か。どうあるべきなのか。
    人間とそうでないものの違い。
    人間が生み出してきたものの意味。
    人間の夢。
    そんなことを考えた。
    あとアシスタント知性体が本気でほしい。

  • 遅ればせながらSF大賞の本作をやっと読むことができた。流石に賞をとっただけあり、物語の中でセンスオブワンダーをプンプンと感じさせる世界を濃密の構築しておきながら、その世界で生きる人を人として描ききった重厚なSF作品である。また、その描ききった新しい世界観に安住した物語としないため、濃密に描いた時代も人物も潔く結末を与えて物語を進め、読者の期待を裏切らず、また、決して物語を破綻させない筆力は素晴らしいものがある。更なる未来への思いを馳せさせる結末も、人類滅亡を扱った重いテーマでありながらも、爽やかな読後感をもたらし、本当に良い物語を読むことができたことを感謝したい。様々に登場するSF感いっぱいでありながら、東洋的なガジェットも素晴らしい。これだけで多くの物語が紡ぎだせそうであり、リリエンタールの様な世界観を共通する物語を今後も期待したい。戦舟変性体の何たるかとか、ツキソメの遺伝子データは役に立ったのか等、未だ語られていない話も多そうなので。

  • 滅びの中、環境の変化を受け入れ、どう最善を尽くし、未来に託すか。

    こんな世界観や生命のバリエーションを生み出せる作者名に素直に凄い、と思いました。そして突拍子もないストーリーではないところも。

    ぶ厚い物語ながら、苦なく楽しめた。そして考えさせられた。他人事ではない、温暖化、地震、原子力…危機がやってくることにどう備えるのか。

    マキと青澄のコンビにも好感が持てた。

  • ・ただのSF小説かと思ったけれど、そうではなかった。

    ・もし地球上で天変地異が起こったら、
    人間はどう対処するだろうか。

    本書では遺伝子操作をして天変地異を乗り越える。
    ただ、果たしてそれは、人間と呼べるのだろうか。

    色々な事を考えさてくれる本でした。

  • む、難しい…
    ストーリーも登場人物も設定も全部魅力的だけど、私には難しかったです…
    SF好きな人は頭良いんだな~(若しくは変わり者)

  • 人類滅亡の壮大な海洋SFながら、あくまで一外交官の視点を大事にしているのが良い。予備知識なしで読み始めたので、短編「魚舟・獣舟」と同じガジェットだと分かった時は、嬉しいというより「あ~、これかぁ」とがっちりする気持ちの方が近かった。出世はしていないが現場志向で実力のある役人が国家(どころじゃない)規模の災害に立ち向かう点は小川一水「復活の地」を思い出させた。魚舟というアイディアも短編で読んだため初めて合うガジェットではなく、自然災害による人類滅亡と自らの権益を守ろうとする機関というのもよく見る構図で、過去にそんな作品を読んだことがあるために、新鮮な面白みとはならなかった。そのジャンルの作品をそれなりに読んだことがあるために、新鮮みが薄れたのは残念だ。
    人類滅亡、海洋生物、新しい文化、自然災害、知性機械によるパートナー等、色々な要素が詰め込まれているが、地球規模で人類全体の問題だけど、政府高官の高みからのやりとりでなく、あくまで一外交官、一海上民の物語であるのが良かった。人類滅亡という大惨事があるとしても、ヒトにとっては生きている瞬間の想いと行動があるし、その方がぐっと身近に感じる。

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著者プロフィール

兵庫県生まれ。2003年『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞し、デビュー。2011年『華竜の宮』で第32回日本SF大賞を受賞。同作は「SFが読みたい! 2011年版」国内篇第1位に選ばれ、『魚舟・獣舟』『リリエンタールの末裔』の各表題作、『華竜の宮』の姉妹編『深紅の碑文』と合わせて《Ocean Chronicleシリーズ》と呼ばれ、読者からの熱い支持を集めている。近著に『妖怪探偵・百目』シリーズ、『薫香のカナピウム』など。

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