- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152091734
感想・レビュー・書評
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残すところあと2冊。事件の背景はなんだか映画にでもなりそうなスケールの話で、スペンサーシリーズとしては珍しい。スーザンはユダヤ人だったけど、その背景が話題になることはなかったと思う(結局あまり関係ないけど)。背景はともかくスペンサーの仕事の仕方はいつも通り。全然映画になりそうもないやつです。安心のスペンサー印。そしてスーザンとサックスの話ばかりしている。当時作者パーカーはいくつだったんだろうと想像すると微妙な気持ちになるがまあよし。これも含めて「いつもの」だから。
そしてベルソンカッコいいな。
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ロバート・B・パーカーが2010年に他界して以来、作品に手をつけていない。翻訳作品のほぼ全部を読んでいる。残すは4冊。とりわけパーカーのファンというわけではない。最高の作家とも考えていない。主人公にのめり込んでもいない。むしろ相手の方から距離を置くタイプの主人公たちが多いように見える。素っ気なく気取って、しかもタフガイであったりする。もしかしたら平和ボケした日本の片隅で読むストーリーではなかったのかもしれない。
しかし名作と言われる『初秋』で、スペンサーは男というものをある意味で定義づけ、少年に示して見せる。あの時間と風景は忘れ難い一幅の絵のように心に残る。多くのパーカー・ファンは、ああいう純情にやられてしまったところもあるのではないか。
パーカーの他界を知っても、新訳本を買い、4冊は書棚に読まれることなく残った。ぼくは、きっとパーカーに別れを告げることがなかなかできなかったのだ。そして30年もの間、さして愛読というほどの思い入れはなかったにせよ、彼の主人公たちとの時間を共有してきた。長期読者ならではの、哀悼の想いに包まれていた、としか言いようがない。
最近ロバート・クレイスのハードボイルドに接して、彼も決して最新の作家ではないにせよ、ハードボイルドという形式の探偵小説が持つ禁欲と逞しさを改めて思い知った。クレイスは、マージというジャーマン・シェパードとともに復活を遂げ、ぼくは今日にも届くかもしれない新作を待っている。そして、今、パーカーをこのままぼくの地下に埋没させるのではなく、しっかり弔鐘を鳴らそうと心に決めることができたのだ。
本書はスペンサー・シリーズ最終二作の一作目。ボストンという気位の高い都市を背景に、大学のキャンパスや、重厚な美術館を巡る、タフで料理上手で警察との関係も悪くない私立探偵が動き回る。事件は美術品の取引現場でスペンサーがガードをした大学教授が爆殺されることに発する。スペンサーも命を狙われる。
本書の特徴は、ホークを初め、凄腕のガンマンたちが誰一人登場しないことだ。ホークは不在だし、他のガンマンは、スペンサーが寄せ付けず、自分でやると決めた一件。失敗した仕事。プライド。そういうことである。
美術品の行き着く先が、ドイツの歴史の闇であることも興味深い。アウシュビッツの闇から繋がるが歪んでしまった歴史の罠に、歴史と学問の街ボストンが身をよじらせ苦悶に呻いているかのような内容の物語である。本シリーズにしては珍しい視点だと思う。
本書を書く時に、作者は自らに残された時間を知っていたのだろうか? そんな問いかけも、まるで永い時を経た書斎に舞い立つ埃のように、ただただ消えてゆく。 -
「貴婦人と小鳥」という名画が盗まれ、その身代金を持ったプリンスの護衛を務めるスペンサー探偵だったが、目の前で依頼人を殺されてしまう。プライドを傷つけられたスペンサーが、自ら事件の調査をしていくお話。ハードボイルド小説らしい、アクションとサスペンスが盛りだくさんの作品。初期の作品らしい勢いがあり、面白くて引き込まれるものだった。
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いつもの・・・
いつもの・・・
安心して読めました -
スペンサーシリーズ最終作かと思い、大事に読もうと読んでいたけど、もう一冊あるらし。
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これが最期のスペンサーとはなんとも残念。この作品の一つ前に書かれたというスペンサーの幼少期を描いた作品がとても気になるが、商業的にそれを最後にもってくる、というあたりに早川書房の商魂を感じる。
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取り巻きの出演が無いのがいいです。出来ればスーザンもどっかにいってもらいたい。
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ロバート・B・パーカー描くボストンの私立探偵スペンサー・シリーズ第38作。17世紀の名画『貴婦人と小鳥』が美術館から盗まれた。犯人からは絵に身代金を払えとの要求があり、美術史教授プリンスが受け渡しに向かうことになる。その護衛を務めることになったスペンサーだったが、受け渡しは悲惨な失敗に終わった! 絵は戻らず、プリンスは命を落としてしまう。 スペンサーは依頼料を美術館に返し、自らの手で事件に片をつけるべく動き出した。調査の糸口を探し、美術館の顧問弁護士、絵の保険を受けていた保険会社の請求担当者、さらにプリンスの教え子らに聞き込みを試みるものの、事件の全容は杳として知れない。そんな中、スペンサーのオフィスを武装した男たちが襲撃する。間一髪、スペンサーが撃退した彼らの腕には、奇妙なことにアウシュヴィッツの強制収容所でユダヤ人捕虜に彫られたものと同じ刺青が……。点と点とをつなぐ線、それは『貴婦人と小鳥』のたどってきた激動の来歴そのものに隠されていた――。 シリーズ初期を思わせるアクションとサスペンスに満ちた注目作 というのがあらすじの引用。ホークだけでなくいつもの面々がまったく出てきません。警察側は別ですが・・・。それだけ、スペンサー自身が解決したいという強い意思が感じられます。いよいよ次が最終作だとか。お別れですね。
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