日本で「正義」の話をしよう〔DVDブック〕 サンデル教授の特別授業

  • 早川書房
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091796

作品紹介・あらすじ

コンサートのチケットを高値で転売する「ダフ屋」行為は許せても、医療や教育へのアクセスがお金で取引されることに、多くの人が抵抗をおぼえるのはなぜだろう?遺伝子操作でより優れた人間をつくる-こうした試みがはらむ、私たちが見落としがちな本当の問題とは何だろうか?2010年8月、東京・六本木で開かれた、ハーバード大学屈指の政治哲学の教授マイケル・サンデルによる一夜限りの特別授業。教授と読者500人が繰りひろげた活発な対話の先にある、「正義にかなう社会」の姿とは?日英対訳テキストと2カ国語音声DVDでおくる、英語学習にも最適な永久保存版ブック。

感想・レビュー・書評

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  • これはDVDに価値があると思います。

    内容としては「正義」というより「道徳や良心や倫理」について考えてみよう。
    という感じでした。

    議論の内容もさることながら、意見の引き出し方や、受け止め方はさすが人気講師という感じです。
    残念なのは、日本人が議論に慣れていないので盛り上がりに欠けたということでしょうか。

    本質的には、正義についての解答を教えてくれるのではなく、自分なりの意見が言えるようになりなさい!と導いてくれてるように感じました。

    この講義を見て、倫理感というものは立場によって変わるので、一方的に意見を押し付けるのではなく、色々な人の立場に立ち、広い視野で物事を考え、自分の意見を持つことが重要だと認識させられた。

    図書館で借りたので、値段に見合うかわかりませんが、いつも使ってない脳みその一部を刺激してくれたので、内容としては大満足です。
    オススメします。

    白熱教室のDVD を見たい!

  • 身近な例を使っていて、とてもわかりやすく話に入り込めました。
    しかし結論がわかりにくかったです。

  • 正義を考える際の3つの視点=功利主義(最大多数の最大幸福)、義務権利論(人間の尊厳と自律、個人の選択の自由と尊重)、目的論(美徳を養い、良き生を促すこと)。

    売買できる財の違い。コンサートのチケットと医療を受ける権利の違い。教育はその中間。

    遺伝子技術で子供のコントロールすることは、無条件の愛、あるがままを受け入れようとする姿勢、を損なう。
    親子関係が貴重なのはそこに統制が及ばないから。

  • 内容はサンデル教授の他の著書を読んでいたので少し物足りなく感じた。出てくる意見も以前どこかで目にした東大でのものに比べるとかなりレベルが低く感じた。
    しかしサンデル教授の話の運び方やまとめ方はさすがの一言、ほんと凄い。

  • パナソニック、楽天、ユニクロでの英語公用化のニュースにビビり(けっこう前ですが)英語の勉強しないと思ったんですが、toeic本はやる気がおきないので英語のスピーチ集でいいのないかと探したら、この本が見つかりました。
    英語+哲学の勉強になります。

    正義、公平、道徳とは?
    それを市場、バイオテクノロジーの分野から考えるとこが主題。
     (サンデルが講義をしながら聴衆者と議論し物語が進んでいく)



    彼は、3つの哲学から考える。
    ①最大の幸福(ベンサム)
    ②個人の自由を尊重する(カント)
    ③美徳、良い生を培う(アリストテレス)
     ※最大の幸福についての言及はないので、②③の構図になる。

    【市場】
    a:チケット(野球等)を高額にして売るダフ屋は道徳的に問題ないか?
    b:中国では医者に見てもらうために行列ができる。自分は並ばずホームレスの人に代わりに並んでもらってお金を渡すのは問題ない?
    c:学校にお金で入るのは問題ない?

     ⇒聴衆者:時間を使うのか金を使うのか個人の自由ではないか?


    ※サンデルは選択の自由に新たな判断基準を導入する。
      対象となるもので判断するべきではないか。
      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

      ⇒サンデル:医療、教育の分野では個人の選択自由(時間、金を選ぶか)は尊重されない。
            お金を選べない人が出てくるので、選択の自由とは言えない。
            娯楽分野ではある程度不平等(お金を選べない人が出てくる)でも道徳的には問題はない。

            ⇒⇒対象によって個人の自由かどうかが決まる。




    【バイオテクノロジー】

    親が赤ちゃんの性別を事前に選ぶのは問題ない?
    頭を良くしたり足を速くさせる遺伝子を事前に組み込むのは問題ない?

     ⇒サンデル:赤ちゃんは性別を事前に選べないから、親は赤ちゃんの選択の自由を奪ったとは言えない。
           ではどこが問題?

     ⇒サンデル:人間が唯一経験できる、あるがままのものを受け入れる経験をなくすことになる。
           車、家を買うのと同じに子どもをカスタマイズ出来るようになる。
           あるがままのものを受け入れることが、美徳の一つ。
           
           ⇒⇒美徳、良い生を培うというアリストテレスの考えに帰着する。

  • 3000円出しても著者の生講演を聴きに行きたいかが、購入判断の分かれ目
    http://www.amazon.co.jp/review/R25HLKW8SFPM4S/ref=cm_cr_rdp_perm

  • DVDを見ながら本を読みました。自分んだったらこう思うな、と考える事ができるので見ていて楽しかった。DVDに出ている人達は自分の意見を主張できてすごいと思う。大学の講義でこんな議論は全然無いのでこういう自分の意見を伝える訓練をしなければならないと思いました。やはり、英語がゃべれるってすごいなあ。教授の知識の多さすごい!

  •  日本語だけを読むとすると字数が少ないので短時間で読めるが内容はとても深い。

     私はマシャのコンサートチケットはどんなに行きたくてもオークションでは絶対買わない。だけど、嵐のチケットだったらオークションで簡単に手に入れようとするかもしれない。定価以上だと犯罪になるから気をつけないといけないけど。

     以前、来客にカツカレーを作ったら、「主婦なのにカツカレーとはもったいない。カレーとカツを分けたら2食分になる。」と諭されたことがある。この人の意見は正しいが、私も間違っていない(と思う。)

     この本では、このような生活の中のごく小さな出来事を取り上げているわけではなく、医療や教育、遺伝子工学、格差社会といった社会的な問題を取り上げている。正義を考えていく上で答えは一つにはならない。なぜなら良いと思うことは人それぞれだから。この本では、色々な答えを議論し討論する習慣を持つことが必要と締めくくっている。とても大事なことだと思うけど私はなかなか言えないなぁ。

  • DVDは見てなくて、書き起こした対話だけを追ったのだけど、やはりすごいですね、サンデル教授の話運びは。議論の骨子がものすごくわかりやすい。これを読んで/見てから「これからの正義の話をしよう」を読むと理解が早いかもしれない。 DVDも一緒に見たら英語の勉強になりそう。

  • 三重県立図書館。

    DVDも借用。

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著者プロフィール

1953年、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。アメリカ合衆国の哲学者、政治学者、倫理学者。ハーバード大学教授。

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