オリクスとクレイク

制作 : Margaret Atwood  畔柳 和代 
  • 早川書房
3.61
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本棚登録 : 188
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (467ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091819

作品紹介・あらすじ

人類がいなくなった海辺で、スノーマンは夢うつつを漂っている。思い出すのは、文明があったころの社会。スノーマンがまだジミーという名前だった少年時代。高校でめぐりあった親友クレイクとかわした会話。最愛の人オリクスとのひととき-。誰がこんな世界を望んでいたのだろうか。そして、自分はなにをしてしまったのだろうか。カナダを代表する作家マーガレット・アトウットが透徹した視点で描き出す、ありうるかもしれない未来の物語。

感想・レビュー・書評

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  • マッドアダム3部作シリーズの1作目らしい。
    人類が滅亡しつつある近未来を舞台にしたかなりSFチックな小説。

  • SF

  • この物語は人類が滅亡した後から始まる。なぜ人類は滅亡したのか、それを知っているのは唯一の生き残りである「スノーマン」のみ。いま彼は緑色の皮膚で光合成する人間型の生物「クレイカー」達と森で暮らしている。現在と過去が交錯する彼の語りで徐々に明らかになるのは、行き過ぎた経済至上主義によってパンドラの箱が開かれ、世界が破滅した経緯だ。制約のない科学研究により、胴体だけの鶏や人毛を生やす羊が創られ、永遠の若さも金で買える…そんな世界を滅亡させたのはある天才の恋だった。人間と科学の関係を問う近未来SF小説 。
    (教員 推薦)
    (特集:「先生と先輩のすすめる本」)

    ↓利用状況はこちらから↓
    http://mlib.nit.ac.jp/webopac/BB00544112

  • 主人公スノーマンが生きる世界では、人間は彼以外残っていないらしい。その代わり偽物がたくさんいる。豚じゃない豚っぽいもの、ウサギっぽいもの、そして人っぽい生き物。これらは何なのか、何故スノーマン以外の人がいないのか、過去と現在を交互に語る中で見えてくることは、絶望的な私達の未來だ。スノーマンの今いる世界を作り出したのは、彼とオリクスとクレイクかもしれないが、彼らがいなくても世界は破滅の道へ進んでいた。そして読者の住む現代のすぐ先に、同じ未来があるのかもしれない。恐ろしく無力感におそわれる話だ。

  • 人類がほぼ絶滅してしまうその前、スノーマンがジミーだった頃ですら、世界はどうかしている。格差社会なんてよく言われるけど、隔離社会だ。
    恵まれた人々が隔離された構内で暮らしている。
    そんな構図が今の社会の先にあるような気がして恐ろしかった。
    設定がなかなかつかめず最初は戸惑ったが、入り込めれば面白く、ページ数にしては割合サッと読めた。
    三部作だそうだが、第二部に手をだそうかどうしようかとちょっと悩む。

  • 『マッドアダム』三部作の1冊。
    アトウッドはepi文庫の『侍女の物語』を読んだだけだったので、本書の生々しさには驚いた。
    文明崩壊後の世界を描いたディストピアだが、何処か長閑というか、そこにある種の理想的な環境が成立しているような印象も受ける。

    ところで『洪水の年』が岩波から出るとか出ないとかいう話は何処に消えたのだろうか……。

  • 初めは、主人公が人間かどうかもはっきりしなかったのだが、”何があったのか”が明らかになるにつれ、面白くなった。
    遺伝子組み換えやその他もろもろの、人間の傲慢さが行き過ぎ、世界が歪み、そして破滅する。
    『12MONKEYS』みたいな世界観。

  • 文明が消滅し、かつてのブタや犬、スカンク、ヒトによく似た生物がうごめく世界のなかで、たったひとり残された人類の男、スノーマン。いったい地球に何が起きたのか――。
    世界の滅亡という壮大なテーマを描きながら、物語はほぼ、スノーマンと、鍵を握るクレイクとオリクスの3人だけをめぐって語られる。それは語り手のスノーマン、かつてのジミーが、まさにそんなふうに生きていたからだ。とりかえしのつかない変化が目の前で起きているのに、目の前の愉しみ、目の前の仕事、ただ一人の友人、ただ一人の愛人にしか目を向けなかった。いや、ほかのことに目を向けまいとしていた。私たちの多くと同じように。
    かつて「侍女の物語」において、生殖のための女性身体の徹底した管理体制を描いたアトウッドは、この作品で、狂ったアダムによる生殖の暴走を描く。しかしクレイクが何を考えていたのかは、最後まで明らかにされないし、それは本当はどうでもいいことなのかもしれない。狂ったアダムが登場したのは、狂った世界の背中を押す最後のひと突きにすぎなかったのだから。カタストロフが起きるまでの「ノーマル」な世界――拡大し続ける需要にこたえる資源が枯渇する一方、ゲートに守られたひとにぎりの人間たちが富と安全を独占し、利潤のために生命操作にいそしむありさまは、私たちにとって、すでにあまりになじみ深い。
    スノーマンが半ば死を予期しながら生き残りたちのもとへ歩み寄るラストシーンは印象深い。この破壊された世界はなお美しく、すべてはなお未決定である。

  • いや~面白かった。
    『マッドアダム』三部作と称されるシリーズの一作目のようだけれど、
    なんとも気を持たせる終わり方で、続きが気になって仕方ない。

    沖合いに高層ビル群を望む海岸に一人佇むスノーマンとは何者なのか、クレイカーと呼ばれる人々は何なのか・・・・・
    謎めいた世界の姿が、徐々に明らかになっていく面白さ。

    この世界に存在している動植物も、たとえば腿だけ特化して成長するように遺伝子操作された鶏だのなんだの、もしかしたら現実世界でもそのうち・・・と思えるようなものもあって、寒気を感じたりもする。

    たとえ細心の注意を払って設計されたものであっても、それが生あるものであるならば、設計図通りにはいかない、独自の生を歩み始めるものだ、ということも示唆されているようで、さてさて今後の2作の展開が楽しみ。

      Oryx and Crake by Margaret Atwood

  • うーーーーーん?近未来の破滅的な世界の物語りですが、正直かなりてこずりました。どこに面白みを見出せばよいのかわからずにとうとう最後まで「うーーーーーん?」のままでした。残念。

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著者プロフィール

Margaret Atwood 1939年カナダのオタワに生まれる。オンタリオ北部やケベックで少女時代の大半を過ごし、トロント大学に入学、ノースロップ・フライのもとで英文学を学ぶ。その後、ケンブリッジ、ラドクリフ大学で英文学修士号を取得。さらにハーバード大学大学院で学んだ後に、カナダ各地の大学で教鞭を執る。処女詩集『サークル・ゲーム』でカナダ総督文学賞を受賞。詩、長編、短篇小説から評論、児童書まで幅広く活動する。詩集『スザナ・ムーディーの日記から』(1970)、小説『食べられる女』(1969)、『浮かびあがる』(1972)、『侍女の物語』(1985)『Alias Grace』(1996)などで世界各国の文学賞に輝く。最新作『The Blind Assassin』(2000)でブッカー賞を受賞。評論集『サバイバル』(1972)ではカナダ文学とは何かを正面から問いかけた。邦訳書に『キャッツ・アイ』(マーガレット アトウッド 著、松田雅子、松田寿一、柴田千秋訳、開文社出版、2016年)、『負債と報い――豊かさの影』(マーガレット・アトウッド著、佐藤アヤ子訳、岩波書店、2012年)『死者との交渉―作家と著作』(マーガレット アトウッド著、中島恵子訳、英光社、2011年)『オリクスとクレイク』(マーガレット・アトウッド著、畔柳和代訳、早川書房、2010年)『またの名をグレイス 上・下』(マーガレット・アトウッド著、佐藤アヤ子訳、岩波書店、2008年)『ペネロピアド(THE MYTHS)』(マーガレット・アトウッド著、鴻巣友季子訳、角川書店、2005年)『良い骨たち+簡單な殺人』(マーガレット・アトウッド著、中島恵子訳、北星堂書店、2005年)『カンバセーション アトウッドの文学作法』(マーガレット・アトウッド著、加藤裕佳子訳、松籟社、2005年)『ほんとうの物語』(マーガレット・アトウッド著、内田能嗣 訳、多湖正紀・山本紀美子 共著、大阪教育図書、2005年)『昏き目の暗殺者』(マーガレット・アトウッド著、鴻巣友季子訳、早川書房、2002年)『闇の殺人ゲーム』(マーガレット・アトウッド著、中島恵子訳、北星堂書店、2002年)『寝盗る女 上・下』(マーガレット・アトウッド著、佐藤アヤ子・中島裕美 共訳、彩流社、2001年)『マーガレット・アトウッド短編集』(マーガレット・アトウッド著、Alan Turney編、久慈美貴 注釈、ロングマン・ジャパン、1998年)『食べられる女』(マーガレット・アトウッド著、大浦暁生訳、新潮社、1996年)『サバィバル』(マーガレット・アトウッド 著、加藤裕佳子訳、御茶の水書房、1995年)『Sudden fiction (2)』(「ハッピー・エンド」 Happy Endings 収録。ロバート・シャパード 著、ジェームズ・トーマス 訳、柴田元幸 著、文芸春秋(文春文庫)、1994)『ファミリー・ポートレイト—記憶の扉をひらく一枚の写真』(「偉大なる叔母たち」 Great Aunts収録。キャロリン アンソニー (Carolyn Anthony)編、松岡和子・前沢浩子訳、早川書房、1994年)『浮かびあがる』(マーガレット・アトウッド 著、大島かおり訳、新水社、1993年) 『青ひげの卵』(マーガレット・アトウッド 著、小川芳範訳、筑摩書房、1993年)『スザナ・ムーディーの日記』(マーガレット・アトウッド著、平林美都子 他訳、国文社、1992年)『侍女の物語』(マーガレット・アトウッド著、斎藤英治訳、新潮社、1990年→ハヤカワepi文庫(早川書房)2001年)『ダンシング・ガールズ マーガレット・アトウッド短編集』(マーガレット・アトウッド著、岸本佐知子訳、白水社、1989年)『描かれた女性たち 現代女性作家の短篇小説集(SWITCH LIBRARY)』(「急流を下る」 The Whirlpool Rapids収録。マーガレット・アトウッド・アリス マンロー・アン ビーティ 他著、岸本佐知子 他訳、Switch編集部編、スイッチ・コーポレーション書籍、1989年)などがある。

「2001年 『寝盗る女 (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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