グレート・リセット―新しい経済と社会は大不況から生まれる

  • 早川書房
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091888

作品紹介・あらすじ

本書では、不況下でくすぶっていたイノベーションが実用化されるにつれ、インフラが整備されて新しいライフスタイルが生まれ、それにともなう人の移動が都市を生成・改変して繁栄を築いていくしくみを豊富な事例から解き明かし、都市にとって何がうまくいき何がうまくいかないのかを見極める。また、開放性と自由を求める「クリエイティブ・クラス」をひきつける必要性を説きつつ、同時に、ブルーカラーや就労人口の大半を占めるサービス業の仕事を魅力的でよりクリエイティブなものにする必要性をも力説する。世界が注目する都市経済学者による刺激的な社会・経済再生論。

感想・レビュー・書評

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  • 地域の経済格差をその地域に住むクリエイティブな人たちの集積度合いで計って比較するなど、独特の切り口で都市の魅力や盛衰を分析。リーマンショック以降もその震源地だったニューヨークが発展していること、デトロイトが衰退していえる一方、同じ経済圏にあったピッツバーグが復活していること、シリコンバレーの活況はいつまで続くのか、など。また、停滞が大きくて傷が深いほど、そのあとのジャンプが大きいと言う主張。これは日本の都市の発展、地域活性にも参考に当てはまることが多いと感じた。ただし、ジャンプできるかどうかは、まさに変化への対応にかかっている。「都市」と「企業」という対象が異なるだけで、前述の「未来企業」と共通することも多い。

  • クリエイティブクラスになって、
    グレートリセットできるのだろうか
    無理)

  • かつて大阪の「殿」が好んで使っていた言葉の原著。行政を都市経営の視点で描き、不況から再生が生まれると説く。アメリカではそうだろうが、果たして大阪では……?

  • グレート・リセッション(大不況)かーらーのーグレート・リセット(大再起動)ということで、主に工業の需要で人口と消費が膨らみ、そして萎んでいくという都市の代謝を経て、立ち上がった都市(例えばピッツバーク)と、立ち上がれないでいる都市(例えばデトロイト)は何が違うかというテーマが展開される。 大先輩からのリファレンス。

    これは、皆で実行する都市のブランディングの在り方を指していると思う。

    ニューヨークといえば何を思い浮かべますか?東京は?
    京都は?あなたの住む街は?

    もちろん分かりやすさもありますが、観光資源だけでは十分とはいえず、やはり安全面・消費層の流入と定着をセットで考えなければいけない。 そういった都市のトータルプロデュースの枠を見せてもらえたと感じました。

  • 割と読みやすく、斜め読みしながら、サクサク進められた。
    アメリカのこれまで二度のリセットでの転換事例、リーマンショック後の今何が起きてるか、これからの予測がまとまっていた。
    その中には、日本でも同じ傾向にあるもの、すでに日本では整ってるインフラなどもあり、対比すると面白い。

    動物は大きい程遅いのに、都市は大きい(人口が多い)ただそれだけで速く進化するという点が特に印象に残った。
    発展し続けるであろう都市の未来形を予測していきたい。

  • いいフレーズ!私たちは長い時間をかけて、一方で仕事をやりながら、もう一方に楽しい気晴らしを分離したが、幸福のカギを握っているのは仕事だ。挑戦的で興奮をもたらす仕事があれば、それが生き甲斐をもたらしてくれる

  • アメリカの視点で書かれた「リセット」。交通システムでは日本はポスト・リセットなので、果たしてどうなるのか?アメリカが、この本のようにリセットされるかは多少懐疑的の思うが、そのチャンスはあるだろう。日本は、バブル後リセットできてないな…。

  • 不況後の社会変化について書かれた一冊。都市の発展には人材の多様性が大切とか、不況後の変化は構造的な変化であるとかなるほどなぁと。ここでうたわれている人々の消費の動向も今の日本の若者のライフスタイルの変化にも現れていると思った。本書に書かれている全てが納得行くわけではないが、今後の社会の流れを見る上でも手元において置きたい本でした。

    可動性と柔軟性大切!!

  •   この本もFBのお友達の推薦。

     金融不況の出口は新しい都市政策のリセットにあるという点は、そもそも視点として元気づけられる。

     日本と同じだなと思って同感できる点。

    ①リセットの第一の原則は、人のクリエイティビティを引き出すこと。(p284)

    ②そのための火急の課題として、好ましい働き口を大量に作り出すこと。(p284)

    ③住宅政策(持ち家政策)を転換すべき時期にきている。(p277)

     自分もそうだが、家をもつと、自然と発想が保守的になり思い切った転換がしにくくなる。

     アメリカはそうかなと思うが、日本はどうかなと思う点。

    ①都市の方向転換に必要なのは信頼できる高速鉄道サービス。(p264)

     アメリカはあまりに幹線都市間、大都市内の鉄道サービスが貧弱だからそういえるが、日本の場合には、大都市内、新幹線とも相当に整備されているので、都市政策のために必要か? あえていえば、日本では、むしろ軽量な通勤用の路面電車のようなものが必要かもしれない。

     高速鉄道というと、日本では、リニアをJR東海が自己資金でつくるといって計画がどんどん進んでいるが、あのような国家プロジェクトを私企業ができるという収益構造自体に問題はないのか。

     もっと、簡単にいえば、旧清算事業団に大量の国鉄債務を負わせて最終的に国民が追わなければいけないのに、一方で、大量の黒字を出し続けるJR東海というシステム自体に見直す必要がないのか、素人からみて、疑問に思う。

  • 「都市にとって何がうまくいき何がうまくいかないのかを見極める。」とありますように、この本は都市と人が逆境を繁栄に変えていく仕組みを解明したものです。非常に読みやすくて、またためにもなる本です。

    この本は結構読みやすくて面白かったです。自分たちがたどってきた道はかつて人々が送ってきた道であることを痛感させられましたね。そんなことを考えさせられる本でした。サブタイトルの「新しい経済と社会は大不況から生まれる」というのにも非常に惹かれたというのがこの本を手にとって見たきっかけの一つではあったのです。

    それにしてもこの本に書かれているとおり製造業でかつて栄えた町が衰退の一途をたどっていくという話は地元が第一次産業が中心で栄えていた町で、現在は衰退の一途をたどり、見るも無残に荒れ果てたという現実を踏まえると、なるほどなぁ、と感じずにはいられませんでした。

    で、2008年の金融危機でウォール街に代表されるニューヨークは壊滅的な打撃を受けたはずなのに、どこの先進都市よりも経済的に回復の度合いが早く立ち直っている。ここに関する考察には興味深いものがございました。

    そして、「クリエイティブ・クラス」というものにも言及していて、開放性と自由を求める彼らを以下に都市に引き入れるかと言う箇所には、僕もクリエイティブ・クラスなのかどうかはともかくとして、開放性と自由は大いに求めるところなので、どうか、地元の人間もこの本を熟読して、クリエイティブ・クラスの人間をいかに引き入れるのか?それをぜひ考えてほしいものです。

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