ウルフ・ホール (下)

  • 早川書房 (2011年7月8日発売)
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本 ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784152092069

感想・レビュー・書評

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  •  イギリスのトマス・クロムウェルについて描いた歴史小説の後半。難解さは前半に引き続いてのこと。最後になってようやく少し話が分かりやすくなって気はするけど、それでもそれまでに比べたらのこと。やはりこの時代のイングランドの歴史の最低限の知識は持ってから読み始めた方がいいように思う。高尚な雰囲気のする物語ではあるが、なぜいろいろな賞を取るほど評価が高かったのかは、私にはわかりにくかった。日本人にはわかりにくいのかもしれない。例えば明智光秀の物語を読むには、少なくとも織田信長に関する最低限の常識は持ち合わせていなくてはならないような感じで。

  • 上巻に続き、登場人物の争いが激しさを増す。結婚、信仰、裏切り、謀略、暗殺、処刑、忠義などが絡み合う。勝利者となった者も、最終的には君主の気まぐれに翻弄される。イギリス版徒然草的な要素。

  • 15,6世紀の人たちは何故にこれほど名前のレパートリーが少ないのかと文句言いたいほど、トマスとメアリにあふれていて初めはこんがらがった。
    親切な状況説明もなく、主人公トマス・クロムウェルの思考のおもむくままあっちこっちに話が飛び、分かりにくいことこの上ない。だけど読むのが止められないのだ。
    クロムウェル始め、彼の一族やヘンリー王、王を取り巻く貴族や聖職者。そして王の意向に翻弄されまくる女性たち。みんなが歴史上の人物ではなく、良心も欠点もある一人の人間として生き生きと描写されていて、作者も楽しく書いてるんだろうなって思えるのがよい。
    プロテスタントを容赦なく弾圧するトマス・モアを憎みつつ、イングランド王よりも教皇が上という考えを捨てられないで処刑されるモアの命を助けようとするクロムウェル。自分の信じることに過大に重きを置かず、どんな考えの人間でも権利を尊重する彼の姿勢に好感度大。早く「罪人を召し出せ」を読まねば。

  • 英語で読むと文章自体の面白さや文章のテンポを楽しめそう。歴史の知識があった方がより楽しめそう。両方とも乏しいので読了するのに努力がいりました。でも物語の時代の雰囲気を映像のように感じることができました。

  • ●素晴らしい。
    「え、クロムウェルって清教徒革命の人だっけ??」
    ・・・とか最初思ったわたくしごときが言うのもなんですが、これは大変結構な小説です。
    《世界名作全集》的な物の端に並んでいても、特に文句はない。結構結構。

    ●……とかのたまいつつも、根っからのジャポネーゼとしてはとりあえず一言問いたい。
    ヘンリー8世の“あの”大騒ぎは、日本人に取っての忠臣蔵と同レベルのメジャースキャンダルなん???? 
    本作のアン・ブーリンは、ナタリー(注:ポートマン。『ブーリン家の姉妹』をご覧ください。いやあスカヨハとあわせるとつくづく美人姉妹だなあ。似てないけど。)とは(更に)いっこも似てへんで~! 少なくともこのアンは、超☆美女ではないと保証する。
    でも面白く読んでしまったのは、たぶん主人公のおかげ。
    そう、本作のトマス・クロムウェルは、アン・ブーリンと結婚したい一心でイングランド国教会を立ち上げたヘンリー8世の超クレバーな陪臣&ものすごく地に足の着いたかっこいい中年男性と言う設定なのでした。
    どのへんがカッコいいかは本編を読んで頂きとう存じますが、あとがきを読んだ限りでは、若干特殊な描写かもしれませんね。
    そういうことも(とてもよく)あります。

    ●頭のいいひとは苦労するかもしれないが、なにかにつけて落ち着いてるのはカッコいいことなので、自分もああなりたいわー!で賞。
    まあ無理やな……………………。

  • 16 世紀イングランドを少し勉強してから読むと良いな。
    中世の宮廷、宗教、政治って結構怖い。
    だから物語の素材として魅力的なんだろうが。

    2009 年 ブッカー賞受賞作品。
    2009 年 全米批評家協会賞受賞作品。

  • 著者がその時代を生きていたのかと思うほど、当時の人々の生活や心情が丹念に生き生きと描かれている。また節々に見える情景描写はどれ一つとして同じものがなく、短文ながらまざまざと心に浮かび美しい。様々な思いが含まれる会話も巧みで思わず舌を巻く。

    ただ起承転結のコントラストがあまりなく単調で、文脈も箇条書きに感じる様な…独特すぎてなかなか世界観に入り込めなかった。それ故に舞台の台本を読み解くかの様に俯瞰してしまい、主人公へ感情移入しどきどきしながら心を寄り添わせて読むことが最後まで出来なかった。後とにかく同じ名前の人物が多くて大混乱。当時の名前の選択肢狭くないか?

    好みの作風と真逆なので自分の中に賛否両論ありつつもやはり惹かれる。続きも読もう。

  • 教会から王へ権力が変わる流れ、王様や貴族の暮らし、当時の人々の暮らしぶりがわかる。

    クロムウェルが法のもとに教会の権力から王も人民も裁く政治を整えていく、これが民主主義の基盤を作っていったのかも。

    タイトルにまだピンと来ていないので、まだ十分に理解できていないのだと思う。

  • なんだろう。多分知識不足で理解しきれていないことも多々あると思うのですが、目まぐるしく変わる場面転換に振り回されるのが最初は辛かったのに、どんどん楽しくなっていく!サラリーマンであり、役人であり、父親であり、男である。張り詰めっぱなしの彼の人生をずっと並走しながら見届ける。言葉、言葉、言葉ばかり。

  • 話の展開はまどろっこしいが、主人公トマス・クロムウェルの人物造詣は見事。

    気紛れな国王に振り回されてたせいで実年齢より老けて見えていた師匠とは違い、ある意味では冷酷なくらい腹が座ってるお陰で(この辺りは粗暴な父親に小突き回された幼少期がむしろ幸いしてる?)、次から次へと訪れる難局(と、当時の因習やら階級やらに縛られた、貴賎を問わず面倒な人たち…)を一つひとつ乗り越えて、中世英国の歴史を地道に紡いでくれる。
    若き大司教がドイツから連れ帰った、妊娠中の奥さん・グレテの為に、自宅で養っている経産婦を即日付き添いに連れていくような、優しい一面もあった。それなのに、愛おしくて泣きそうな愛息に、人殺しのように見えると思われていた、哀れな父親。

    幕切れがトマス・モアの処刑後になるとは幾分座りが悪いけど、続編がある前提ってことで。

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