グランプリ

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 103
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092182

作品紹介・あらすじ

いちばん速いヤツは誰だ!十二月三十日、G1優勝者、賞金王など九人の選手が賞金一億円をかけて争う「KEIRINグランプリ」が開催される。競輪に人生をかける選手たちが挑む、年に一度の決戦への道を迫真の筆致で描いた、心揺さぶる自転車小説。

感想・レビュー・書評

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  • 最後は予想通りでした。
    競輪が舞台という以外は何も無いという感じです。
    短編集という事でメインが多すぎて絞りきれない感じです。

  • 競輪をはじめギャンブルにはまったく興味はなかった。
    自転車を題材にした小説ということ。作者のファンであること。それが理由で手に取った。

    しかし、ずるいぞ。単なるレース小説かと思ったらどんだけ人間ドラマを盛り込んでるんだ。選手一人一人とそれを支える家族や友人。
    笑わされた、泣かされた、熱くなった。
    競輪選手に対するイメージもこの小説で随分と変わった。過酷な職業である。

  • 登場人物が多すぎて覚えきれないきらいはあるが、それを補ってなお余るストーリーの巧みさ。面白かった。年末のグランプリに向けてのトライアルとなるG?戦線。その勝者達の物語が代わる代わる語られる。悪役を配してと言うよくある構成でなく、それぞれに個性的なドラマを用意する丁寧な作りになっていた。子供だったり、親友だったり、バンド仲間だったりと選手達の周りの人物達が魅力的で感情移入しやすい。どの選手も応援したくなる。だからこそ勝者がわからないエピローグが逆に心地かった。

  • 自転車、中でも競輪にスポットを当てた作品。

    短編集なのでサクサク読めるのはいいのだが、対象が多いのか、感情移入しにくい。瀬戸や綾部の話は良かったのだが。

  • 〇競輪がわからなくても楽しめる、選手各々の奮闘と高めあい
    競輪とは、どんなスポーツだろう。
    9人の選手が、専用のバイク(自転車)を駆って行うレースのことだ。
    競馬や競艇と同じで、見学する側はスポーツにお金をかける。
    しかし、ほとんどの人は競輪をはじめとして、彼ら選手が並々ならぬ努力をつぎ込み、絶体絶命の中結果を出そうとしていることを知っている。

    競輪雑誌記者の蘭子は、まだ駆け出し。競輪の「け」の字も知らず、選手の綾部のところへ取材に行くも、撃沈。近くにいた選手の八十嶋に助けをもらう。そして瀬戸、帆刈、舘、草壁など、様々な競輪選手と出会う中で、自身の競輪雑誌記者としてのスキルも上げつつ、それぞれが込めようとしている思いを理解しようと奮闘する――。

    それぞれプロだが、最も取り上げるべきは八十嶋だろう。一度は取り損ねた賞に再びチャレンジする資格が与えられたのは、彼が生活と競輪とのバランスの中でもがき苦しみ、自分なりの答えを出せたからではないか。
    また、帆刈のチャラさも努力家・真面目な競輪選手の中にあってひときわ目立って、いい。

    あまり競輪が良く理解できないという人がいるとしたら、競輪の出走後からゴールするまでの鍔迫り合いの描写に、競輪を理解するヒントがあるだろう。それぞれがお互いの思惑を読みあう中でどのように位置取りするか、そして誰が誰の後に着いていくかということにより勝負が決まる。
    一般的なレースではあまり考えられない思考をめぐらすことになろう。
    しかし、それ以外は一般人だ。競輪という特殊な舞台に置かれた選手たちがどのように自分の願いを変化させ、また実現させようとするのか。それがまた見ものである。

  • まず一話ずつ競輪選手にスポットを当ててG1を勝って、最後のケイリングランプリに出場する選手がわかっていく。
    そして最後にグランプリ、誰が勝つのか、ここまで読んできて誰を応援するのかは読者次第ってのがいい。
    最後は誰が買ったのか・・・
    オイラとしては珍しい白黒ついてない終わり方でも納得できた小説

  • 競輪は人間関係のスポーツだ!
    楽しめましたが、みんないい人で勝負に対して熱いものは持ってるんだけど、もっとどろどろした感じもあっていいのかなと思ってしまいました。
    個人的には瀬戸石松の師弟愛、綾部光博の親子愛に、べただけどじんと来てしまった。
    最後は途中からこうなるだろうと思ってました。
    それで満足。

  • 前作ヒルクライマーが良かったので、自転車ものとして読みました。一年間の競輪をG1一開催ごとに主人公を変えるオムニバス形式で辿ります。自転車や競輪選手の知識をちりばめながら人間ドラマとしており、最後まで楽しめました。

  • 勝負には必ず勝者がいる。
    でもこの本には勝者が書かれていない。
    書かれているのは一人の敗者。
    そこに、高千穂センセのケイリンへの愛を感じました。

  • 高千穂遙の自転車小説だというだけで読んだのですが、いやいやいやいや、競輪、面白すぎます。

    選手の名前を覚えるのは大変だけど、覚えなくても読めるし、人間ドラマとして十分楽しい。
    当たり前だけど、選手一人一人に家族や友人がいて、彼らが選手を支えている。
    選手は自分を支えてくれる人たちのために勝利を目指す。

    年末に開催されるKEIRINグランプリへの出場を目指す競輪選手たち一人一人にスポットを当てた章立て。
    途中までは短編集かと思っていましたが、最終章「KEIRINグランプリ」で彼らが一堂に会する構成にヤラれてしまいました。

    ただ、選手全員に感情移入してしまい、誰を応援したものやら(笑)という悩みはありましたけど。
    とりあえず八十嶋が勝てなかったのはわかったけど、誰が優勝したんだろう?

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著者プロフィール

1951年、愛知県名古屋市生まれ。大学在学中から、アニメ、SFの企画に関わる。77年、日本初の本格的スペース・オペラ『クラッシャージョウ 連帯惑星ピザンの危機』で小説家デビュー。以後SF、格闘技、自転車など様々な分野でベストセラーを送り出している。代表作に『クラッシャージョウ』シリーズ、『ダーティペア』シリーズ、『神拳 李酔竜』シリーズ、『暗黒拳聖伝』シリーズ、『じてんしゃ日記』シリーズ(一本木蛮と共著)、『ヒルクライマー』など。07年から09年まで日本SF作家クラブ会長を務める。テニス、スキー、バイク、自転車など多彩な趣味でも知られる。40代で体重増加に伴う生活習慣病の症状に悩まされるが、齢50にして一念発起、ロードバイクに熱中する。その後、わずか2年で24キロもの減量に成功、体質改善にも成功した。その過程は『自転車で痩せた人』『ヒルクライマー宣言』などの著書に詳しい。今も週に200キロを越える距離を走り、レースに参戦する現役ヒルクライマーである。現在の愛車はスペシャライズドSワークス ルーべSL3 Di2仕様。

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