- Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152092182
感想・レビュー・書評
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〇競輪がわからなくても楽しめる、選手各々の奮闘と高めあい
競輪とは、どんなスポーツだろう。
9人の選手が、専用のバイク(自転車)を駆って行うレースのことだ。
競馬や競艇と同じで、見学する側はスポーツにお金をかける。
しかし、ほとんどの人は競輪をはじめとして、彼ら選手が並々ならぬ努力をつぎ込み、絶体絶命の中結果を出そうとしていることを知っている。
競輪雑誌記者の蘭子は、まだ駆け出し。競輪の「け」の字も知らず、選手の綾部のところへ取材に行くも、撃沈。近くにいた選手の八十嶋に助けをもらう。そして瀬戸、帆刈、舘、草壁など、様々な競輪選手と出会う中で、自身の競輪雑誌記者としてのスキルも上げつつ、それぞれが込めようとしている思いを理解しようと奮闘する――。
それぞれプロだが、最も取り上げるべきは八十嶋だろう。一度は取り損ねた賞に再びチャレンジする資格が与えられたのは、彼が生活と競輪とのバランスの中でもがき苦しみ、自分なりの答えを出せたからではないか。
また、帆刈のチャラさも努力家・真面目な競輪選手の中にあってひときわ目立って、いい。
あまり競輪が良く理解できないという人がいるとしたら、競輪の出走後からゴールするまでの鍔迫り合いの描写に、競輪を理解するヒントがあるだろう。それぞれがお互いの思惑を読みあう中でどのように位置取りするか、そして誰が誰の後に着いていくかということにより勝負が決まる。
一般的なレースではあまり考えられない思考をめぐらすことになろう。
しかし、それ以外は一般人だ。競輪という特殊な舞台に置かれた選手たちがどのように自分の願いを変化させ、また実現させようとするのか。それがまた見ものである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
競輪は人間関係のスポーツだ!
楽しめましたが、みんないい人で勝負に対して熱いものは持ってるんだけど、もっとどろどろした感じもあっていいのかなと思ってしまいました。
個人的には瀬戸石松の師弟愛、綾部光博の親子愛に、べただけどじんと来てしまった。
最後は途中からこうなるだろうと思ってました。
それで満足。 -
前作ヒルクライマーが良かったので、自転車ものとして読みました。一年間の競輪をG1一開催ごとに主人公を変えるオムニバス形式で辿ります。自転車や競輪選手の知識をちりばめながら人間ドラマとしており、最後まで楽しめました。
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勝負には必ず勝者がいる。
でもこの本には勝者が書かれていない。
書かれているのは一人の敗者。
そこに、高千穂センセのケイリンへの愛を感じました。 -
高千穂遙の自転車小説だというだけで読んだのですが、いやいやいやいや、競輪、面白すぎます。
選手の名前を覚えるのは大変だけど、覚えなくても読めるし、人間ドラマとして十分楽しい。
当たり前だけど、選手一人一人に家族や友人がいて、彼らが選手を支えている。
選手は自分を支えてくれる人たちのために勝利を目指す。
年末に開催されるKEIRINグランプリへの出場を目指す競輪選手たち一人一人にスポットを当てた章立て。
途中までは短編集かと思っていましたが、最終章「KEIRINグランプリ」で彼らが一堂に会する構成にヤラれてしまいました。
ただ、選手全員に感情移入してしまい、誰を応援したものやら(笑)という悩みはありましたけど。
とりあえず八十嶋が勝てなかったのはわかったけど、誰が優勝したんだろう?