幸せな未来は「ゲーム」が創る

制作 : 武山政直 
  • 早川書房
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本棚登録 : 845
感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (542ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092298

作品紹介・あらすじ

世界最高、最先鋭のゲームデザイナーによる刺激的社会改革論。

感想・レビュー・書評

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  • 仕事とか勉強とかゲームっぽい感じで取り組めたら熱中するし幸福度も増すのかなぁと思った。

    ゲームには以下の4つの特徴がある
    ゴール
    ルール
    フィードバックシステム
    自発的な参加

    いろんな種類のゲームがあるけどたしかにこの4つはベースになっている気がする(スポーツ、ギャンブル?とかでも同じかも)

    たまに仕事がおもんない時は次のことが原因なんだろう。ここは印象的だった。
    ・満足のいく仕事には明確なゴールとゴールに向けた次の具体的な行動のステップがある。
    ・明確なゴールがあっても次に何をすれば良いかわからない時は仕事ではなく問題となる。問題自体に没頭することは悪くないが、問題解決へのやる気だけでは実際に成果を出すには十分ではない。
    →本来の目的を忘れてしまうパターンに近いと思った。
    ・よくデザインされた仕事は着実に成果を出せるように練られている。
    →このようなデザインは一企業としては誰の役割なのだろうか。上司(仕事を持ってくる人)なのか、自分自身なのか。まぁすり合わせられたらいいのだけれど。

    最後に
    最初に世の中のことがゲームっぽくなれば良い(ゲーミフィケーション)と書いたけど訳者が後書きでレベルをあげたり能力を上げることそのものが目的になってはいけないのではないかと問うていた。
    ゲーミフィケーションの本質はその先にある、個人の幸福度を上げること、人類全体の発展だと思う。

    よく読めました。読解力 +200

  • 現実世界はゲームに比べると複雑で、自らの行為に対して明確なフィードバックが得られなかったりすることから、現実世界はゲームよりも退屈になものになってしまった(ゲームのが現実世界よりも魅力的である)。

    その中で、ゲームの効果を再確認し活用していくことで、現実世界をより良く変えることができるのではないか。
    というのがこの本の論旨。


    ■ゲームの特徴
    ①ゴール
    プレイヤーが達成すべき具体的な項目。プレイヤーに目的意識を与える。
    ②ルール
    ゴールに到達する上での制約をもたらすもの。プレイヤーに創造性を求める。
    ③フィードバックシステム
    ゴールにどこまで近づいているのか示すもの。
    ④自発的な参加
    誰もがゴール、ルール、フィードバックシステムを理解した上で、進んで受け入れること。



    ■ゲームの有効性
    「ゲームは悪影響」の言説が未だに世に蔓延っているが、ゲームは人間に良い影響を与える。

    ゲームがなぜ重要なのか、
    それはゲームが全世界に広がる広大なプラットフォームであるからである。

    例えば、21歳までにゲームをする時間は約1万時間(勉強時間よりも長い)
    →1万時間の法則から、この時間は活用次第で大きな財産になる。

    ——

    ■ゲームは現実世界を変えうるキーになる

    1) 取り組む必要のない問題や課題に自発的に取り組むようになる
    2) 感情の活性化
    3) より満足のいく仕事
    4) より良い成功への希望
    5) より強力な社会的つながり
    6) 壮大なスケール
    7) 心から参加すること
    8) 意味のある報酬を、それがもっとも必要なときに得られるようにする
    9) 見知らぬ人々ともっと楽しむ
    10)幸せハッキング
    11)持続可能なエンゲージメントエコノミー
    12)より多くのエピックウィン
    13)一万時間の協働
    14)大規模多人数参加型未来予想

    ---

    上記の14項目がこの本に於けるポイントなのだが、中でも重要だと思うのが、

    1) 取り組む必要のない問題や課題に自発的に取り組むようになる
    テトリスは進めは進む程どんどん難しくなるのに、プレイヤーはそれを進んで受け入れプレーし続ける。

    2) 感情の活性化
    フィードバックにより、自分がどれだけ上達したのかという報酬を受け取ることができる。
    それが繰り返されることで、どんなに難しい課題でもやればできると楽観的な状態になる。

    9) 見知らぬ人々ともっと楽しむ
    共通の関心を育み、それを元にした交流する機会を手段を提供することで、見知らぬ人同士でも楽しむことができる。
    例えば、オンラインゲームとそのwikiなど。

    11)持続可能なエンゲージメントエコノミー
    ゲームの自発性と広大なプラットフォームにより、魅力的なリソース持つエコノミーが出来上がる。
    例えば、
    ガーディアン紙が取り組んだ「地元選出議員の経費を調べよう」ゲーム
    http://tracpath.com/works/story/gamification/
    プレイステーション3のネットワークを使いたんぱく質の折りたたみを解析しようとした「Folding@home™」
    http://www.jp.playstation.com/info/release/nr_20070315_ps3_folding.html
    など

    ---

    これからの社会課題を解決する上で、特にソーシャルビジネスなどに於いてゲームの重要性と有効性は増してくるのではないだろうか。
    社会課題をわかりやすくゲーム化で解決しつつマネタイズ&利益をNPOなどに投資、みたいな流れが一貫してできると面白いと思う。

    あとはファンベースに考え方にゲームを取り入れて、既存ファンの囲い込みをゲームで行うと、より強力なコミュニティとプラットフォームができるのではないか。

  • フォトリ12冊め。ゲーム=現実逃避と認め、ゲームが現実社会より魅力的な理由を探る。それを利用して、現実世界を魅力的に変えていく。リアル世界から仮想現実を見るのでなく、仮想現実に軸足をおいて現実世界を見るというスタンスは、ゲームにはまっていない私にはかなり衝撃的。でもゲームネイティブ世代にとっては至極当然な感覚。子供達の世界観と私の世界観には大きなギャップがあるということですね。子供達がゲームにはまるのを理解するよすがになりました。

  • 「万国のゲーマーよ、集結せよ! 世界を変えるのは君たちだ」と、なかなかの煽りの言葉が帯に綴られている。ゲームにおける人の行動原理を現実世界へ適用して、世界を変えてしまおうとする野心的な内容で、かなり興味深いものがあった。実は期待していた内容とはかなり違った。表紙のカラーセンスがソーシャルゲーム関係の本と似ていたので、てっきりその仲間だと思ったのだが、大きく裏切られた。 "World of Warcraft" などのゲーマーの話から始まり、最後は地球が抱える問題すらも解決してしまおうというのだから、ケータイの中でポチポチやってる話とはスケールが違う!!

    ただ、ちと長いので、読了するのにけっこう労力がかかってしまった。正直、「くどい! (^^; 」とも思うのだが、書かれていることはとても大切なことだ。旧来の (生産性を下げるばかりでおもしろくない) 管理モデルに辟易しているオレとしては、人が能動的に行動するモデルを、ゲームシステムから学んで社会に組み込みたいと考えている。そのためには、本書のような内容が一般に認知されるようになるのが手っ取り早いので、ぜひ、一読されたい。

    ゲーマーは膨大な時間をゲームに費やす。今や世界中で週に 30 億時間がゲームに費やされているという。誰に強制されたのでもなく、自らの能動的な行動としてだ。「そりゃぁ、ゲームだからだろう。」では思考停止だ。人々の能動的な行動を促すために、現実をゲームのようにデザインするにはどうしたらいいか? …を考えれば、社会はもっと良いものに、そして面白いものになるではないか。原題は "Reality is broken" で、おそらく現実と仮想 (ゲーム) とを区別する意味が薄れていることを込めたタイトルなのだろう。実際に著者のジェイン・マクゴニガルはそのようなゲームデザインをいくつも手がけていて、本書に事例も登場する。ジェインがデザインしたゲームは、簡単で楽しく、そして遊んでいるだけなのに、大きな効用をもたらしているようだ。「注目すべきトップ 10 イノベーター」に選出された彼女の活躍が、これからも楽しみだ。

    ふっと気付けば、スクラムに代表されるアジャイル開発は、ゲーミフィケーション理論を活用した開発手法だ。アジャイル開発の本質を理解するためには、実は本書が近道かもしれない。

  • ゲームの社会貢献的な側面に注目して書かれた本。ゲームの持つ社会的価値、力を肯定。全てのゲームファンに読んで欲しいおすすめの本。

    ゲームは現実よりはるかに楽しい、現実はゲームに比べたらつまらないと思ったのなら、これはチャンス。現実はゲームのようにすばらしくなる可能性を持っている。いかに現実の世界を魅力的にするか? 優れたゲームに現実改革のヒントがある。

    ・ゲームに対する批判、差別的な意見は多い。しかし、私達はゲームからたくさんのことを学べる。
    ・優れたゲームにはプレイヤーの注意、好奇心をひきつけ続ける仕掛けがある。モチベーション維持の方法論は、現実の仕事、生活改善にも役立てることができる。
    ・ゲームは、現実では満たせない人間のニーズを満たすことができる。
    ・ゲームを長時間していると無駄なことをしたという気分によくなる。けれど、ゲームには現実に役立つアイデアがたくさん詰まっている。
    ・ゲームは失敗を楽しさに変え、私達に明確で、達成可能な目標を次々与えてくれる。もっと努力してレベルを上げようというやる気を引き出してくれる。
    ・ゲームは古代ギリシアの時代より、現実生活をよりよくするという機能を持っていた。ゲームでストレスを軽減することプラス、ゲームのアイデアを現実に応用することも可能。人類が直面している社会問題、環境問題、国際問題の解決にゲームのアイデアを応用可能。

    とにかく福音的な本。ゲームにはまってもったいないと思った後悔を、あれは学ぶ場だったんだと逆転的に解釈できるようになる。

  • ゲーマーでありゲームデザイナーである作者が、ゲームの効用について力を込めて賛美している本ですが、単に定性的な効用や可能性を説くのではなく、これまでにヒットしたゲームや、作者が意図的にデザインしたゲームが、実際にどのようにプレイヤーの社会性を高め、問題解決能力の向上に貢献してきたかを、豊富で具体的な例を挙げながら論を進めていることで、非常に説得力を感じました。

    面白いゲームは確かに非常に中毒性があるため、それをやりこむことでそのゲームを解くためのスキルは短期間で飛躍的に向上することは間違いないのですが、しょせんゲーム作者がコンピュータプログラムに盛り込んだ制約のある条件の下でしかそのスキルは成り立つものではなく、現実世界のきわめて複雑な問題解決への適用・応用には限界があるのではないかと思っていましたが、この本で作者が取り上げている例の多くは、ゲームで一番ポピュラーな単純1人対コンピュータ対戦型ではなく、人間同士の対戦型あるいはプレイヤー協働でのコンピュータ対戦型のものであり、また、モニタ画面の中だけで完結するものでさえなく、他人とのリアルなコミュニケーションによってそのゲームの解決を図らなければならないものであり、なるほどこれなら先ほどの「限界」は大きく超えているなと納得させられました。

    広告やマーケティングにゲーム的手法を導入して効果を高めるというのなら、これまでも広く行われてきたことで特別の目新しさはありませんが、作者の考えていることはそれをはるかに超え、エネルギー不足や貧困や気候変動対策といった、本物の巨大で長期の社会問題の解決に、ゲームの手法がなぜ、どのように役立つのかを真剣に検討しているところで、読んで本当に驚かされました。

    僕自身もゲームは好きで、シングルプレイヤータイプのものは気軽に楽しめるエンターテイメントとして今までいろいろやってきましたが、作者がこれから増えてくると予言する「社会参加型ゲーム」といったものの存在には、その発生にすら全く意識はいっていませんでした。今後は気をつけて注目してみたいと思います。

  • ここ4,5年で一番よかった本。
    脳が刺激される。僕もやってみたいと思ってしまう。ゲームを使えば本当に現在の人類の抱えている問題を解決できるかも知れない。より沢山の幸せを生み出すかも知れない。

    かもしれないという表現を使っているが、ほぼ確実にできると思っている。
    この本を読めばそう思えるのではないでしょうか。

    ゲームといってもビデオゲームだけを指すわけではない。
    この本ではネットゲームのそれを主に指し、
    壮大なゲームの世界を大規模な人数で協力プレイしたり競争したり。

    「ゲームなぜこうも人の心をつかむのか。」

    それを研究してきた著者が、心をつかむゲーム構築のノウハウを使って現実世界を良くしよう。良く出来る!

    いくつものゲームが紹介されているが、どれも興味をそそられるし成果も残している。

    ゲームで未来をつくるのは
    ゲーム業界の人の妄言でも希望でもなく、実現可能でかなり確実な方法なんじゃないかと思う。

  • ゲームの効用に関する大規模な詳細な研究の訳本。
    ゲームの教育的利用などについて多くの事例から学ぶことができる。現実を変えるパワーをもった驚きの「ゲーム」がすでにいくつもある!

  • ざっくりとした自分なりの解釈として



    現実にゲームの要素を取り入れれば、もっと世の中が良くなるじゃない?って内容。

    ゲーム固有の四つ特徴として

    ・ゴール

    プレイヤーが達成すべき具体的な成果のこと。
    プレイヤーの注意を引きつけ、ゲームへの参加を促し続ける。
    ゴールとは、プレイヤーに目的意識を与えるもの。

    ・ルール

    プレイヤーのゴールに達するうえでの制約をもたらす。
    ゴールに達するために1番わかりやすい方法を奪うか制限を加えることで、プレイヤーはまだ発見できていない方法を模索せざるを得なくなる。
    ルールは創造性を解き放ち、戦略的な思考を促す。

    ・フィードバックシステム

    プレイヤーがどこまでゴールに近づいているかを示すもの。
    得点、レベル、合計点、進捗表示バーなどの形で示される。
    あるいは、もっと簡単なかたちとしては、「このゲームは、…になったら終了です」と、単に具体的な成果として知らせるだけのフィードバックシステムもある。
    フィードバックが常時示されることで、プレイヤーはゴールに必ず到達できるという気持ちを保ち、プレイし続ける力を得る。

    ・自発的な参加

    ゲームをプレイする誰もがそのルール、フィードバックを理解したうえで、進んで受け入れることを意味する。
    それにより、共にプレイする複数の人々が共通認識を持つことができる。
    自分の意思で参加、または脱退できる自由があることは、ストレスが多くて難しい課題でも安全で楽しめる活動として経験できることを保証する。

    があるらしい。

    つまりゲームをプレイとは
    取り組む必要のない障壁を自発的にこえようとする取り組みである。

    そして、ゴールが魅力的で、フィードバックが十分に意欲をそそるものであるとき、私たちはゲームの限界に(創造的に、誠意を持って、熱心に)長い時間挑戦し付ける。

    こういった、ゲームの要素を現実の生活にも応用させていくことでより魅力的で幸福な社会を築き上げて行けるのでは?

    とのこと。


    感想

    ゲームってかなり人間的な活動なのかなと思った。
    無理矢理な制限、目的意識、ルールの共有などは頭が良くないとできないかなー。

    その考える脳みそがあるゆえに、こうした、ゲームの要素を駆使しないと幸福になれないなんて、皮肉なもんだなと思った。








  • ゲームがなぜみんなハマるのか、ゲームを今後実生活で役に立つものとしてどう活用出来るのかを理解出来た
    ゲーマーのリソースを使えば、なにか世の中の課題解決に使えるのではないかと思った
    また、日常の仕事などにもゲーム要素を取り入れて生産性、モチベーションを上げるような工夫が入ると良いと思った

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