- 本 ・本 (440ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152092380
作品紹介・あらすじ
サルの脳に電極を刺してロボットアームを思考で動かす実験の成功は世界を驚倒させた。それを可能にしたニコレリス博士自らが説き語る、身体の枷を飛び越え、無限の可能性を秘めた先端研究の全貌
感想・レビュー・書評
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脳と機械を、身体を介さずに電気信号でつなぐブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の技術は、今やサルの脳信号を地球の反対側に送り、ヒト型ロボットに歩行運動をさせるまでに進歩している。本書は、そのBMIの第一人者であり、神経科学のフロンティアをひた走る著者による最前線のレポートだ。
BMIは、主に医療分野での効果が期待されているが、著者が見る夢は医学的な実用を超えてはるかに深い。著者は本書で、我々の脳は道具の製作者であるばかりか、道具を自らの身体に同化してしまう能力を持つことを例証して見せるのだが(だからこそBIMは有効なのだ)、その延長線上で、BMIが「身体によって課せられる物理的制約から脳を開放できる」ことの意味までをも透視して見せる。
脳が「片時として動くことを止めない電気の海」であるとの認識から、「(脳は)誰も経験したことのない域にまで自己の境界を拡張する可能性を秘めている」と結論する著者の瞳には、SF作家ですら思い描けなかった未来が映っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
かなり難しいが、いまの脳神経科学の世界の雰囲気は何となくわかるような気がする本・・・。
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各章はサッカーや実験に協力したサルの逸話など脳とは一見関係ない逸話から始まり、そこから話をつなげてBMIに関するトピックや筆者の持論を述べていく形式。
脳機能分散論やブレイン・マシン・インターフェースなど新しい概念を紹介してもらって非常に面白かった。特に、多重電極記録からの信号を多変量線形回帰によって解析できそうであるというのは実に興味深かった。
斜め読みした部分もあるのでいずれまた読み返したい。 -
現在コンピュータを含む機械は手、足、視線などを使って命令を入力し作動させている。それを身体を介さず脳で直接操作をしてしまおうというのがブレイン・マシン・インターフェイスである。
文系の人間には少し難しい内容ではあったが、著者も分かりやすくする為に多いに頑張っている。読者の側としては多少の苦労は乗り越えたい所。特に身体論、認識論を扱っている人には必読と思われる内容であるので、少々の無理をしてでも読了を願う。 -
BMIが2010年までにどのように発展してきたかを詳細に記している本。神経生理学の分野から、動物と機械を繋ぐ、そして人間と機械を繋ぐステージに進むためにはどのような課題が残っているかが書かれている。基本的に侵襲的アプローチによる実験結果の紹介が主な内容であるが、このBMIという分野で新しいブレークスルーを起こすには、非侵襲的アプローチによって脳活動の良質なデータを手に入れる方法の開発が急務であると、著者は言っている。自分の研究分野の内容の歴史をざっくりとではあるが学ぶことが出来たので非常に満足。とっつきにくさはあるので、この分野に興味のある人にオススメする。
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Miguel Nicolelisによる自伝的科学書。神経科学のかなり立ち入った話題なので、一般読者よりも、ある程度知識のある読者向けである。主な話題はマルチユニット記録(複数の神経活動の同時記録)とBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)研究の紹介。
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貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784152092380 -
人類は古くから、馬、蒸気機関車、コンピュータと言った風に、外部のデバイスを使って身体の拡張を行ったてきたが、今後は脳と機械を直結して自らの生物的進化からの脱却を図ろうとしているのかもしれない。詳しくはブログで…
http://pinvill.cocolog-nifty.com/daybooks/2011/11/post-3b08.html
鍛原多惠子の作品





