それをお金で買いますか――市場主義の限界

制作 : 鬼澤 忍 
  • 早川書房
3.82
  • (103)
  • (235)
  • (132)
  • (21)
  • (7)
本棚登録 : 1873
レビュー : 232
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092847

作品紹介・あらすじ

あるものが「商品」に変わるとき、何か大事なものが失われることがある。これまで議論されてこなかった、その「何か」こそ、実は私たちがよりよい社会を築くうえで欠かせないものなのでは――?
私たちの生活と密接にかかわる、「市場主義」をめぐる問題。この現代最重要テーマに、国民的ベストセラー『これからの「正義」の話をしよう』のサンデル教授が鋭く切りこむ、待望の最新刊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 組織としても個人としても向き合うべきテーマだと思う。
    まだ途中だが、お金を払う事で様々な事が腐敗していくという点は、共感する。

  • タイトル通り、世の中にこれをお金で買うものなのか?何が問題なのか?
    考えさせられる。
    需要と供給という経済観点だけで片付かないことが多すぎる…

  • 値段がつかない、つけられないものにも広告や先物としての価値を見出だし、間接的に値付けされ始めている現実を問う。
    「ランナーがホームイン。セーフです。
    安全と安心の、ニューヨーク・ライフ」
    興ざめしてしまう中継中の広告が、当たり前と感じる世界になるのか。

  • 生命保険まで証券化してしまうアメリカの現状は驚きだが、
    全般的に読みづらい。翻訳者のせい???

  • お金で買えるものは何か、お金で買うべきでないものはあるか、あるとすればそれを決めるのは何か、そんなお話。
    世界では突拍子もないものに値段がついている。驚くような例がたくさん出てきた。

    一番印象に残っているのは、「薬物中毒の女性が不妊手術か長期の避妊処置を受ければ、300ドルの現金を与える」という慈善団体の話。その目的は不幸な赤ん坊の誕生を未然に防ぐこと。
    当然ながら、猛烈な批判の声がある。では何が問題なのか?と議論を深めていく。

    また、値段を設定することで、意図した効果の真逆になることもある。
    ・(イスラエル)保育園の迎えに遅刻する親が多い問題に対し、罰金制度を設けた結果、遅れる親が増えた。お金を払うことで後ろめたさが消え、延長料金で延長する権利を買っている感覚になっている。
    ・(スイス)ある山村で、核廃棄物処理場の建設を受け入れるか?というアンケートを取った。条件なしの場合と、村民への補償金を提示した場合とで、なんと後者の方が賛成は激減した。公共心(国に貢献する気持ち)が浸透している場では、金銭的インセンティブは逆効果になることがある。自分は賄賂に動かされたりしない、と。

  • マイケル・サンデルによる、経済的合理性の追求が、人間本来の倫理観や慈しみを腐敗させていくという論の本。

    帯からして、重厚なメッセージ。
    「金融危機の際に『強欲さ』が一定の役割を果たしたことは確かであるものの、問題はもっと大きい。この30年のあいだに起こった決定的な変化は、強欲の高まりではなかった。そうではなく、市場と市場価値がそれらがなじまない生活領域へと拡大したことだったのだ。
     こうした容共に対処するには、強欲をののしるだけではすまない。この社会において市場が演じる役割を考え直す必要がある。市場をあるべき場所にとどめておくことの意味について、公に議論する必要がある。この議論のために、市場の道徳的限界を考え抜く必要がある。お金で買うべきものが存在するかどうかを問う必要がある。」

  • <b>結局のところ市場の問題は、実はわれわれがいかにして共に生きたいかという問題なのだ。</b>

    1980年代初頭レーガンとサッチャーが推し進めた市場信仰と規制緩和(新自由主義)はクリントンとブレアに引き継がれ1990年代まで続いた。
    サンデル教授は市場至上主義のすべてが売りモノになる社会に向かっているのを心配している。その理由はふたつある。
    1.不平等に関わるもの。→格差社会化。お金で買える者が増えれば増えるほど裕福であることが重要になり、それが世界中のあらゆる違いを生み出すことになる。
    2.腐敗に関わるもの→いきていくうえで大切なモノに値段をつけると、それが腐敗してしまうおそれがある。例えばノーベル賞という名誉が金銭でやりとりされると、ノーベル賞の価値=名誉は台無しになる。

    ありとあらゆるモノに価格がついていく事例として様々な例が紹介されているが、企業が被雇用者に対して生命保険を掛け、過労死した被雇用者の生命保険を受け取るというのには驚いた。企業にしてみれば従業員に掛けた教育コストの回収(そのため出来るだけ働き続けて欲しいと企業は言うことには言う)という名目があるが、実際は節税対策であったりする。本来、働く個人の生活を守るための保険が企業を潤すために使われると言うのは歪んだ構造だな。。。

  • 資本主義の市場至上主義の限界を知らしめてくれる本です。

  • ハーバードのサンデル教授による経済と倫理観について述べられた本。市場至上主義により何もかもがビジネスの対象となり、不公平と腐敗を招いていることを説いている。白熱教室で学生と討論した時と同じく、数多くのことをケーススタディ的に取り上げており、わかりやすく、かつ興味深く読めた。
    「絶滅の危機に瀕したクロサイを撃つ権利:15万ドル、主治医の携帯電話の番号:1500~2万5000ドル/年、製薬会社の安全性臨床試験で人間モルモットになる:7500ドル、連邦議会議事堂前の行列に並ぶ:15~20ドル/時間、成績不振校で本を1冊読む:2ドル」p12
    「あらゆるものが商品となってしまったせいで、お金の重要性が増し、不平等の刺すような痛みがいっそうひどくなった」p20
    「「早い者勝ち」という行列の倫理には、平等主義的な魅力がある。それはわれわれに、特権、権力、富といったものを無視するよう命じる。われわれは子供の時分「順番を待ちなさい。割り込んでは駄目だよ」と言い聞かされたものだ」p60
    「(保育所で、親が迎えに来るのが遅れることについて)この問題を解決するため、保育所は迎えが遅れた場合に罰金をとることにした。すると、何が起きたと思うだろうか。予想に反して、親が迎えに遅れるケースが増えてしまったのである。以前であれば、遅刻する親は後ろめたさを感じていた。保育士に迷惑をかけていたからだ。今では迎えに遅れることを、そのために進んでお金を払うサービスだと考えていた」p96
    「われわれは贈り物として受け取る品物の価値を、費やされた1ドルにつき、自分で買う品物より20%低く評価する」p144
    「全米退職者協会はある弁護士団体に、1時間あたり30ドルという割引料金で、貧しい退職者の法律相談に乗ってくれるかどうかをたずねてみた。弁護士団体は断った。そこで退職者協会は、貧しい退職者の法律相談に無料で乗ってくれるかどうかをたずねた。今度は弁護士団体も承諾した。市場取引ではなく慈善活動への取組を要請されていることがはっきりすると、弁護士たちは思いやりをもって対応したのである」p172
    「(献血を有料化したことによって献血者が減少したことについて)「献血を商品にして利益を得ることによって、自発的な献血者を追い払ってきたのだ」人々が血液を普通に売買される商品とみなしはじめると、献血に対する道徳的責任を感じにくくなる」p175

  • 「これからの『正義』の話をしよう」のマイケル・サンデルの本です。今回は市場原理主義の話。
    しかし、何か読みづらかったですね。翻訳のせいかもしれません。
    それでも書かれていることはなかなか凄いです。さすが強欲資本主義国家アメリカです。もう何でもかんでも買いまくる。アホらし。こんな国に生まれなくて良かったと思った。
    でも一方でこのサンデル教授のような人もいるわけで、その辺はアメリカのバランスなんでしょうか。
    世の中に金で買えないものはあるか?という問に対する答えは「Yes(ある)」です。それはこの本を読む前からわかっていることではありますが、でも、人のエゴが暴走するとこんな事になってしまうんだなぁ、と驚きながら読めます。

全232件中 1 - 10件を表示

それをお金で買いますか――市場主義の限界のその他の作品

マイケル・サンデルの作品

それをお金で買いますか――市場主義の限界を本棚に登録しているひと

ツイートする