さっさと不況を終わらせろ

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152093127

感想・レビュー・書評

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  • 2012年7月20日初版
    ケインズ「緊縮をすべきなのは好況時であって不況時ではない」

    働きたいのに職がない→自分の価値が低下したような気分→尊厳や自尊心に対する打撃
    →この苦しみを終わらせるための知識も手段も持っている。

    マグネトーの不具合→つまらない故障のせい

    子守り共同組合→あなたの支出=ぼくの収入
    FRB 2008年以降マネタリーベースを3倍→流動性の罠(ゼロ金利でも高い)
    金融政策では人々を訓練できない→×失業者=建設業のイメージ

    ハイマン・ミンスキー「金融不安定性仮説」→安定期=レバレッジ→リスクに不注意→経済不安定

    金融イノベーション→金融システムを崩壊寸前まで追い込んだ。
    銀行=金細工工業の副業→金庫の利用のため→引換証=通貨の一種
    1933年グラス・スティーガル法→銀行が手を出せるリスクの量を制限→融資○投機×
    クリントン大統領→廃止

    アメリカ議会が低所得世帯の持ち家を増やしたがったのが融資増大の元凶→×他の市場でも起こった。「サブプライムローンは政府のせい」→保守派(小さな政府主義)の思わく。

    なぜ1%,0.1%の富裕層が,他のみんなより収入が増えたのだろうか?→怒りの制約が緩和された。ゴシップであったものが研究対象。

    マクロ経済学 1940年代 大恐慌への知的な対応の一部,惨劇の再演を防ぐ。
    1936年 ケインズ「雇用,利子,お金の一般理論」
    1948年 ポール・サミュエルソン「経済学」

    オバマ大統領→「大胆ですばやい行動」→不十分

    ミンスキーの瞬間は,実は瞬間ではなかった。→ブッシュ時代 住宅バブル→シャドーバンキングの取り付け騒ぎ→2008年9月15日リーマンブラザーズ破たん

    オバマ アメリカ回復再投資法(ARRP)7870億ドル→建設は小さい部分。大部分は失業手当

    雇用から財政赤字に注目を移す根拠はない。債務危機→根拠なし。

    日本国債の金利上昇に賭けた投資家→大損 日本=自国通貨で借りている。
    他国通貨(外貨建て)→パニック攻撃に弱い。

    支出削減→長期的な財政状況改善×→失業,経済の停滞→コストが高くなる。

    インフレ急上昇は,経済が停滞している限り起こらない。

    ヨーロッパのエリート→単一通貨からの利益を宣伝,欠点に対する警告を黙殺=労働移住性の低さ

    ミルトン・フリードマン「変動為替相場擁護論」 変動為替=サマータイム→たった一つの価格の変動→簡単

    ヨーロッパの大妄想 スペイン→費用の引き下げ→デフレしかない。→高失業率が続く。

    国債の買い替え→自国通貨を持っていれば,中央銀行が政府債を買う→デフォルトは起こらない。

    緊縮論者→インフレの恐怖。→安心感を求めているだけ。→経済が強くなるまで発効するべきではない。
    S&Pの格付け「市場の宣告が下った」→市場の実際の反応はなし。→アメリカの借入費用はかえって下がった。

    2010年選挙 イギリス・キャメロン首相→緊縮,安心感についての懸念が根拠。→不景気

    雇用創出より財政赤字削減=緊縮論者→貸し手に有利→苦しみを永続させることにこだわる。

    2000年バーナンキ教授→日銀批判「自縄自縛の麻痺状態」→自分がFRBでは同じ。

    ポール・クルーグマンと不況の経済学
    1970年代「収穫逓増下の貿易理論」→何かの偶然で秋葉原=電気屋→客を集める→電気屋の集積→電気街へ
    流動性の罠→一時的な金融緩和は効かない→インフレターゲット論
    ×財政出動は将来に禍根を残す→財政出動しなければ,将来へのツケを残す。

  • 久しぶりに読んだ経済書。平易にくだけた形の文章も多く、読みやすい一冊だった。マクロ経済学の面白さを感じることができた。
    アメリカの経済政策が論点の中心であったが、ヨーロッパの不況のメカニズムに関する解説が分かりやすく印象に残った。

    次は、財政規律を厳格とせねばならないという立場の人の本も読んで、比較をしてみたいと思う。

  • もっと早くアベノクスのような政策を実施していればと思う。今、財政再建の為の消費税増税がほぼ確定しているが、もっと早くやれる事を、十分量、十分な期間実施するとしていれば、財政問題にしばらく目をつむってクルーグマンの言う正に「さっさと不況を終わらせる」事ができていたと思う。

  • ノーベル経済学賞受賞のホールクルーグマンが説く不況脱出の処方箋。財政政策、金融政策の重要性をわかりやすく解説。

  • 不況は決してどうしようもないものでなく、人の力によって十分に対処できるって本。
    なんか日本のマスコミが嫌いそうな政策を提言しているのだけど、その説得力はかなりあるように僕は感じたな。

    そして、今話題(?)のアベノミクスは、だいたい著者の主張をなぞるような政策のように僕には見える。
    はたしてこの壮大な社会実験は成功するのか。
    成功しなかったとき、著者はどのような言辞を弄するのか。そんなことを考えました。

    個人的には、著者の提唱する方策、そして現実のアベノミクスは、ぜひとも成功してほしい。
    経済成長ってバブルの成金の嫌な姿が思い出されがちだけど、底辺の人もそれなりにうるおって、自殺者とかの問題も結構軽減するからね。
    そんな感じで、少しでも「まし」な世界になりますように。

  • 緊縮財政・財政再建は今じゃないでしょうということ。ケインズ、ポストケインズのほうが個人の好みから言ってもしっくりくるって感じ。

  •  クルーグマンで山形訳となれば、おもしろさはテッパン。リーマンショック以来の世界の不景気は、終わらせることができる、そのための知識・武器もある、というのが筆者の主張。ケインズ以来の財政出動と金融緩和をちゃんとやれば大丈夫だと。
     じゃあ、なぜ不況は終わらないのか。規模が小さすぎる、小出しにしすぎる、果ては財政破綻を心配するあまり引き締めに走るようなまるきり逆の政策まで。ここらへんへの反論が読みどころ。
     まさに日本がアベノミックスというか黒田バズーカをきっかけとして経済的に浮上しつつあるいまが読みどきかも。クルーグマンの、日本の経済政策に対する評価も聞いてみたいところだ。

  • 2013/05/15:読了

  • ノーベル経済学賞受賞の著者による不況に対する提言、というのは生ぬるく、かなり強烈な論調で現在の経済施策に対する批判とこれからどうすべきかを記している一冊。

    ターゲットはアメリカとヨーロッパ。日本はちょっとしか触れられていない。だが、置かれている状況はほとんど同じだと思っていい。

    著者の理論は説得力があるのだが、著者による反語調の記述が、著者の主張を非常にわかりにくいものにしている。訳者解説でなんとなく分かった感じ。自分の知識不足も大きいんだろうな。

    そのため、評価は星3つ。

  • 今話題のアベノミクスの掲げる三本柱はクルーグマン氏の主張と重なる部分が多いですね。そういった意味では、日本は実践でこれを証明しようとしていることになるのかもしれません。

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著者プロフィール

NY市立大学教授。2008年、ノーベル経済学賞受賞。
イェール大学で学士号を、MITで博士号を取得。イェール大学、スタンフォード大学、MITで教鞭をとったのち、プリンストン大学経済学部教授。1982~83年には1年間大統領経済諮問委員会(CEA)のスタッフも務めた。主な研究分野は国際貿易。収穫逓増と不完全競争に焦点を置いた「新しい貿易理論」の創始者の1人である。国際金融、特に通貨危機の問題にも取り組む。1991年、アメリカ経済学会のジョンベイツクラーク賞受賞。日本語への翻訳書多数。

「2019年 『未完の資本主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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