天才を考察する: 「生まれか育ちか」論の嘘と本当

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152093226

作品紹介・あらすじ

アインシュタインら歴代の天才を対象に行なわれた「天才研究」から最新の遺伝子・ゲノム理論、発達心理学の成果までを簡潔かつわかりやすく紹介しながら、古い論争がいかにナンセンスであったかを説く、出色のポピュラー・サイエンス。

感想・レビュー・書評

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  • 生まれ持ったものの影響ってのは一般に思われているよりは小さくて、環境と鍛錬が才能を作り上げるんだって内容。「非才!」や「究極の鍛錬」とか「天才!」なんかと同系統。この本独自?の視点としては、DNAですら環境に合わせて発現を調節させるんだってところ。

  • 著者はこの本を5000時間かけて書き、何十回も書き直したらしい。分厚い本のなんと後ろ半分は参考文献と解説、注釈である。

    遺伝子の影響自体、あらかじめ決まっているものでない。どんな子供でも素晴らしい成功をめざす資格をもっている。 親は生まれと育ちが分けて考えられないことを受け入れなければならない。才能が芽吹くのを待っていない。能力は訓練と指導によって身につく。

    環境による働きかけで、子孫の記憶力も高めるかもしれない

    うまくいかない場合に、それを生まれつきの限界だと勘違いする人が多い
    賢く生まれたわけじゃない。他者よりよく勉強し、自己修養に励んだのである

    プラスの環境因子
    出生直後から話しかける
    読み聞かせ
    励まし>叱責
    大きな期待
    失敗を受け入れる(限界のせいにしない)
    成長志向を促す(伸ばすことが可能と)

    動機、自己批判、自分の遺伝子のせいにしない、満足を先に延ばす、ヒーローを持つ

    過度に頻繁に報酬をもらって育った人は、途中でやめてしまったり粘り強さをもたない。
    そのときどきの満足ばかり考えない。
    自制の手本をみせる。
    子供に訓練させる(欲求不満や欠乏にどう対処するか学ばせる)

    記憶:関連のない情報の断片を古い記憶と結びつけることで短期記憶の負担を軽くする

    集中的訓練:現時点のレベルを超える試みを繰り返す。失敗もする。脳が変わる。
    現時点の能力にけっして満足しない態度、つねに自己批判し、病的なほどの不安にさいなまれながら、情熱をもって能力の先へ行こうとする
    1万時間の“集中的訓練”によって熟達者になる。
    アマチュアがやるのはリラックスして楽しむため、自己実現のための娯楽的活動

    サヴァン症候群:損傷をうけた左脳を右脳が補おうとする。能力を示すサヴァンの場合、強迫的な集中および反復の特性と、周囲からの激励・支援が見られる。

    小さい頃は神童、大人になるとそれほど:称賛されながら成長して居心地のいい領域から外へ出るのを嫌うようになる。新しい挑戦、つまずき、失敗を恐れる、
    生まれつきのところでなく、努力を褒めるべき

    動的発達
    遺伝子だけじゃない。

    ひたむきに、一心不乱に、けたはずれの努力を続けた

  • 文章になじめなくてさらっと読み。
    しかも本論よりも「根拠」という注釈や解説などが、後ろから横書きで本の半分(以上?)を占めていて、手に取ったはいいけど腰が引けました。

    結論は最初から出ていて、それはどういうことから言えるのかという
    検証を延々と続けているような感じです。
    ちゃんと読んでないのでアバウトな感想しか書けない…

    でもIQは生まれつきではない、努力次第で上がるのだ、という結論は
    知ってよかったです。
    いや、今知っても自分自身の役には立たないんだけども知識として。

  • 本書で主張されるのは、才能は「遺伝子(Gene)×環境(Enviroment)」で育まれるものであるという“新常識”。(そもそも遺伝学の間では随分と昔からこのG×Eのモデルこそ“常識”とされていたが、世間的にはG+Eの考えが流布している。その状況をみての“新常識”である。)

    “モーツァルトも、ヨーヨーマも、3歳かそこらで楽器を奏で「神童」と呼ばれたが、それは同世代の子に比べると抜きん出ていただけで、まだまだ拙いものであったが、そのスキルを継続して育んだことで、「天才」となったー”

    “兄弟の中で特に身体能力に優れていたわけではなく幼い頃から兄貴に負けていたマイケル・ジョーダンは、10年生の時に一軍チームに入れなかったことで競争心に火がつき、その後の競技人生で誰よりも激しく練習し試合をすることで、「神」になったー”

    天才や神と呼ばれる人たちが、そうなるべく環境に身を起き、努力してきたからこそ、そうなった。本書では上記のエピソードの他、数多の科学的根拠による裏付けも挟んで説明される。

    僕は常々、「チョウチンアンコウがあんな姿形をしているのは、あんなところ(深海)に住んでいるから」であり、『環境は生物を、その環境に居て然るべき姿形へと変えてしまうものである』との持論を持っていたが、本書を読んでそれが確信に変わった。

    同時に成功には、決して諦めない強い意志と対象への関心が不可欠なことも、改めて理解した。

    思えば高校時代、誰かがこんな落書きを机に書いていた。

    『才能の差は小さい。努力の差は大きい。』

    つまりは、そういうことなんだと。

  • 基本的には育ち、というのが結論。
    生まれ、が出生地であれば環境という育ちに変わるけど。
    あと子育ての難しさ、環境ってほんの僅かでも変わってしまう。
    ただし、粘り強さだけは頑張って教えるようにしたほうが良いと。
    継続は力なり。
    褒めてもらえて自分を高め続けられるように努力を続けられる人が伸びる。
    周りの大人も大事だし、努力を続けることの出来る環境も大事だなあと。
    そういった意味での生まれは超大事だと思う。

    半分は参考文献。

  • 生まれ持った遺伝子がその人の人生全てを決定するのではなく、環境が大きく関わっているとの主張。成功していない人間を努力不足と断じるのは残酷。

  • 努力すれば解決するのでなく、工夫して努力すべき。

  • 経験によって自分の本当の潜在能力を突き止めた人はほとんどいない。始めたばかりのことがうまくいかない場合に、それを生まれつきの限界と勘違いする。遺伝子の影響は常に進行する動的プロセス。クローンでも同じ潜在能力を示すわkではなく、能力は遺伝子に埋もれている。
    並外れた決意があれば、素晴らしい成功をめざす資格はある。

    遺伝子の特徴を発現させるのは環境との相互作用である。

    見た目はメンデルの法則に近い。それでも唯一の原因ではない。
    IQは本人の能力を計るというより全体として見るもの。IQは、同じ年齢でも年を追うごとに上昇する。
    知能は固定化したものではない。

    一卵性双生児でも環境が違えば違う。
    生来の能力よりも、努力を称賛するべき。
    スポーツ地理学=場所によってスポーツの能力が高い。

    外見が違っても民族としての遺伝子の違いはごくわずか。遺伝子はたんにシステムに影響するだけ。

    ジャマイカは遺伝子の交差点
    ケニアのランナーは、高度6000mの場所で週に230キロ走る。

    生まれつきの才能、という概念は神話。自分に対する言い訳。他のことをしたという選択を表すもの。

    音楽教育のスズキメソッド。

    競争に向かう態度=HAMとLAM。競争を好むか否か。
    男女できまっているわけでもない。

    エピジェネティクス=人生における小さなことが大きな影響を持つ。遺伝子のスイッチを入れる。

  • こういう難しい本は日本語になっているやつをよんでもいいかもな、というくらい、分厚いハードカバーだけど、思いの外さらっと読めた

  • 天才は何もしなかった人は絶対になれない。
    尋常じゃないトレーニングをずっと続けられたり、コツコツと子供の頃から家族ぐるみで目標を追いかけたり。
    記憶力は年を取っても衰えない、むしろ向上する。
    衰えるのは自分で成長を止めてしまう環境になるから。

    I.Qはトレーニングで上がらないはウソ。
    I.Qはこの60年で(教育方法が変わり)確実に、顕著に全体が上がった。
    そしてアメリカの人種差別から、強者に都合の良いように作られた歴史がある。一部の人たちに有利なテストだった。

    3歳までの教育
    たくさんの語彙などを話しかけなどで音として聞かせると、後の理解度などが上がる。
    子供は褒めて伸ばす。
    叱咤よりも褒めた方が伸びる。
    子供は高い期待を寄せると、求められるものになろうとする、そしてそれができる。

    子供の頃のトラウマに苦しんだ人は、それをバネに遅咲きの天才として名を残すことがよくある。
    若い天才は、大人と同レベルの事ができるから天才と言われる。超えることはない。
    失敗を恐れ(褒められる環境が居心地よく、失敗したくなくなる)、名を残さず潰れていくことがほとんど。

    勉強を始めるのはいつからでも遅くない、と元気をもらえる本だった。また読みたい

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