ファスト&スロー (上): あなたの意思はどのように決まるか?

制作 : 友野典男(解説)  村井 章子 
  • 早川書房
4.20
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本棚登録 : 1360
レビュー : 123
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152093387

作品紹介・あらすじ

伝統的な人間観を根底から覆し心理学者にして、ノーベル経済学賞に輝いた著者の代表作。待望の邦訳。私たちは日々、無数の意思決定をなかば自動的に行なっている。カーネマンは、直感的、感情的な「速い思考(システム1)」と意識的、論理的な「遅い思考(システム2)」の比喩をたくみに使いながら、意思決定の仕組みを解き明かし、私たちの判断がいかに錯覚の影響を受けているかを浮き彫りにしていく。人間はこれまで考えられていた以上に不合理なのだ-。プライベートやビジネス、政治における、よりよい決断への道筋を示し、あなたの人間観、世界観を一変させる、21世紀に生きるすべての人、必読のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • プロスペクト理論をつくり行動経済学を開拓したカーネマン教授が認知的錯覚について解説した歯応えがある本。
    各分野で絶賛されてて社会科学の分野では必ず参照される古典になるとかなんとか。そんな大袈裟なーと思って手に取ってみたが確かにえらい本です。



    まず、人の行動心理や脳の働きを2つの仮想キャラクター(システム1=速い思考とシステム2=遅い思考)で想定する。これを元に特にシステム1の直感や無意識を重点に解説しつつ人間の意思決定時の不合理な思考・行動(ヒューリスティック=安易な解決法とバイアス=系統的エラー)を解明していく内容。

    この解明が面白い。

    さまざまな実証研究や心理実験を読むだけでも人間の認知をめぐる奥深さが知れて興味深い。有益な内容で幅広い層に読まれるべき1冊でしょう。

  • 私たちの「意思」はどのように決まるのか? そして「直感」はどれほど正しいのか? 心理学者にしてノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが、直感的・感情的な「速い(ファストな)思考」(システム1)と、意識的・論理的な「遅い(スローな)思考」(システム2)の比喩をたくみに使いながら、意思決定の仕組みを解き明かし、私たちの判断がいかに錯覚の影響を受けているかを浮き彫りにしていく。

    第1部 二つのシステム
     1章 登場するキャラクター
     2章 注意と努力
     3章 怠け者のコントローラー
     4章 連想マシン
     5章 認知容易性
     6章 基準、驚き、因果関係
     7章 結論に飛びつくマシン
     8章 判断はこう下される
     9章 より簡単な質問に答える
    第2部 ヒューリスティクスとバイアス
     10章 少数の法則
     11章 アンカー
     12章 利用可能性ヒューリスティック
     13章 利用可能性、感情、リスク
     14章 トム・Wの専攻
     15章 リンダ
     16章 原因と統計
     17章 平均への回帰
     18章 直感的予測の修正
    第3部 自信過剰
     19章 わかったつもり
     20章 妥当性の錯覚
     21章 直感 対 アルゴリズム

  • プライミング効果
    確証バイアス
    ハロー効果
    メンタル・ショットガン
    質問の置き換え
    少数の法則
    アンカリング効果
    利用可能性ヒューリスティック
    代表性ヒューリスティック
    基準率
    平均回帰
    後知恵バイアス
    妥当性の錯覚

    これらがキーワード。

    システム1、システム2の働きを理解した上で、認知のエラーを見越して直感に頼らずデータから読み取ることが大切だと学んだ。、

  • 行動経済学の基礎となるプロスペクト理論の提唱者の手になる,現実における経済主体としての個人の振る舞いを説いた本.上巻は理論の基礎をなす,人間の特質として見られる思考の2つのシステムについて解説する.タイトルだと脳の仕組みから説明を試みているような印象もあるが,ここで挙げられている2つのシステムは,行動に対して,こうしたモジュールがあれば説明できるという基盤で提唱されているトップダウン的なもので,それがどのような作用に由来するかという,ボトムアップ的な,脳神経科学からの裏付けはない点には留意が必要.これまで体得している知識や経験に基づいて,無意識で瞬時に判断を下すシステム1だが,実際には知識や経験を記憶する段階でも無意識に取捨選択や歪曲が行われていること,また問いのほうを答えやすいものにすり替えてしまうことがあり,本質的にバイアスを抱えている.一方システム2は地道な論理的思考や数的処理などを担うものの,遅い上に労力がかかることから,システム1を必ずしも適切に統御することができない.総じて個々の場面でバイアスを修正するためには,それが可能な分野においてシステム1が正しく判断を下せるようにスキルの研鑽を積むと共に,システム2を稼働させる気力と強い意志が不可欠というところか.ただ,人の職業を推測する問題で,基準率が与えられた上に本人の特徴情報が加えられたとき,それを判断基準に入れてはいけないという部分は,ステレオタイプだとしても,根拠がある情報であればそれは判断に含めていいのでは,と考えられ,すぐには首肯しかねた.

  • フォトリーした後にパラパラと読みましたが,どうも興味が持てなくて,ほとんど収穫なし。でも,読了にはしておこう。

  • システム1(無意識)とシステム2(意識)を解説してくれる本。しかしすごいボリュームです。豊富な実例を持って、システム1、2の働きの違いを示してくれます。まだ行動経済学という言葉がはっきりしない頃の書でしょうか。この本にまとまっている実例をキッカケにして行動経済学は勃興していったのかと思いました。

  • 下巻参照

    [more]<blockquote>P36 「注意を払う」とよく言うがこれはまさに当を得た表現である。というのも、注意は限度額の決まった予算のようなものだからだ。

    P44 システム1は自動運転していてスイッチを切ることはできないため、直感的思考のエラーを防ぐのは難しいからだ。

    P103 上機嫌、直感、だまされやすさ、システム1への強い依存は同じ群れに属すると考えられ、この味方を裏付けるデータが増えている。【中略】認知容易性は、幸せな気分の原因でもあれば結果でもあるということができる。

    P108 驚くという能力は私たちの心の活動では重要な要素であり、驚き自体が、自分の世界をどう理解し何を予想しているかを端的に表す。

    P121 システム1はだまされやすく、信じたがるバイアスを備えている。疑ってかかり、信じないと判断するのはシステム2の仕事だが、しかしシステム2は時に忙しく、だいたいは怠けている。

    P201 権力を持っていた時期のことを思い出させるだけで、その人は自分の直感にひどく自信を持つという。

    P256 被験者は全体から個を推論することには不熱心だが、まさにそれと釣り合うように個から全体を推論することには熱心である。

    P270 回帰は研究を邪魔する厄介者であり、経験豊富な研究者は十分な根拠のない因果的推論をしないよう、厳に戒めている。

    P304 情報は少ないほうがつじつま合わせをしやすいので、情報の量と質はほとんど顧慮されない。私たちは、人生で信じていることのうち最も重要ないくつかについては、何の証拠も持ち合わせていない。

    P319 狐はたくさんのことを知っているが、ハリネズミはでかいことを一つだけ知っている。

    P335 自分の直感であれ他人の直感であれ、直感的判断を無条件に信用してはいけない。だが無視してもいけない。</blockquote>

  •  人間の脳には速い思考を司るシステム1と遅い思考を司るシステム2がある、という本。
     上下巻で計700ページあり、図書館で借りて2週間ずつで読める内容ではなかった。
     一旦読了扱いにする。

  • ユーザビリティなるものの研究と応用実践を生業の一部としている者として、大変興味深く読ませていただいた。行動経済学もユーザビリティも人間の認知を探求する認知心理学を母体としているので同じバックグラウンドを持つのだと思い知らされた感がある。
    また著者は「システム1」の働きや特徴を熟知しているからこそ、システム1/システム2という表現をうまく使いこなし、読者のシステム1に直接働きかけることを意識的に行っている。この点が最も感銘を受けた箇所でもある。

  • システム1とシステム2。速い思考と遅い思考。意思決定を行う際にわれわれは直感による速い思考を行っている。直感の出番がない場合には論理で考える。これが遅い思考である。直感は自動的に連想を働かして結論をだす。それは論理的思考でもないし統計的思考でもない。ただうまくストーリーができていればよい。われわれはそれを自信をもって正しいと思い込む。ちゃんと論理的思考の出番があれば間違わなかったはずの結論も直感を信じたために間違えた結論を下す。また思考には色々なバイアスがあり、それによって間違った結論を出してしまう。このようにわれわれの意思決定の仕組みを解き明かした心理学者にしてノーベル経済学賞受賞者の一般読者向けの著作。

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著者プロフィール

心理学者。プリンストン大学名誉教授。2002年ノーベル経済学賞受賞(心理学的研究から得られた洞察を経済学に統合した功績による)。
1934年、テル・アビブ(現イスラエル)に生まれへ移住。ヘブライ大学で学ぶ。専攻は心理学、副専攻は数学。イスラエルでの兵役を務めたのち、米国へ留学。カリフォルニア大学バークレー校で博士号(心理学)取得。その後、人間が不確実な状況下で下す判断・意思決定に関する研究を行い、その研究が行動経済学の誕生とノーベル賞受賞につながる。近年は、人間の満足度(幸福度)を測定しその向上をはかるための研究を行なっている。著作多数。より詳しくは本文第2章「自伝」および年譜を参照。

「2011年 『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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