大いなる眠り

  • 早川書房 (2012年12月7日発売)
3.68
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本 ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784152093424

作品紹介・あらすじ

私立探偵フィリップ・マーロウは、脅迫犯と話をつけて欲しいと依頼された。すぐに犯人の居場所を突き止めたものの、男は話をする寸前に死体に……。村上春樹の新訳によるチャンドラー、第4弾!

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹はもちろん、カシオ・イシグロ他たくさんの作家がレイモンド・チャンドラーの大ファンだという。いったい魅力は何なんだろう。つまるところ文体の力というしかないのか。情景描写・行動描写・会話の奥深さ、機知にとんだ比喩があり、主人公のマーロウの行動そのままに物語が進み、次々にいわくありげな人物が出てくる。そういう文体の吸引力に魅力が凝縮されているに違いない。事件自体は糞だし、しょうむないやつも盛りだくさんだ。現実世界もこんなふうに乾ききったものと言いたいんだろうし、それでこそハードボイルドと言われるゆえんかもしれない。

  • しびれます。フィリップ・マーロウに。

    本作はマーロウシリーズの第1作目とのこと。
    登場人物たちの会話がかっこよくて、いちいち身悶えしてしまいます。
    "気の利いた会話"ってこういうことを言うのか!
    そして、村上春樹の訳がこの雰囲気にあうのです!

    ストーリーを楽しむというよりも、登場人物たちの癖の強さやぐぐっと引き込まれる会話を噛みしめるように味わいました。
    休日の夜、お酒を片手にシリーズ制覇したいです。

    • くんたろうさん
      村上春樹翻訳版が出てたんですね、そうですね、その空気感に酔うために、お酒を片手に読んでみます^^

      私はチャンドラーと聞くだけでキュンと...
      村上春樹翻訳版が出てたんですね、そうですね、その空気感に酔うために、お酒を片手に読んでみます^^

      私はチャンドラーと聞くだけでキュンとするんです。昔好きだった歌手の歌に出てきた…ようなきがするんですよね。それで当時チャンドラーを手にしてた記憶もよみがえります。

      久しぶりのチャンドラーを楽しみにして!
      2015/06/17
    • すずめさん
      くんくんさん、コメントありがとうございます!

      読み始めて数ページで「これはお酒が欲しい!」と思い、いそいそとロックグラスを用意しました...
      くんくんさん、コメントありがとうございます!

      読み始めて数ページで「これはお酒が欲しい!」と思い、いそいそとロックグラスを用意しました(^^)

      チャンドラーはくんくんさんの思い出につながる作家なのですね。
      恥ずかしながらチャンドラー作品は初めて読んだのですが、この空気感にとろけました。
      くんくんさんも久しぶりにフィリップ・マーロウに酔いしれてください!
      2015/06/17
  • チャンドラーの長編第一作目。
    1939年なんて歴史の教科書に出てくるような年に書かれた小説とは思えません。
    読後、村上さんのあとがきを読みながら、つくづくすごい作品だなぁと溜め息をつきました。

    なにがすごいのか・・マーロウが素敵すぎる、それにつきます。

    タフでクールで自分の信念に正直。好意を示されても皮肉できりかえし、嫌われることを自ら望んでいるようなところも魅力的。
    大胆不敵なようで繊細、命令不服従に多少の実績があると自負していて、スターンウッド将軍から言わせれば「いささか拗ねものでもある」。。好きにならずにいられません!

    今回の依頼人というのが、三分の二は死んでいるスターンウッド将軍なる人物。なにやら脅迫を受けているようだけど、それだけではなさそうで。
    ご令嬢の二人はそれぞれに問題を抱えているようだし、当初の依頼がなんだったのか忘れそうになりながら読みすすめていくうちに話がどんどんキナ臭くなっていって・・

    推理というより行動によってマーロウがたどり着いた真相に、タイトルもあいまって、なんというか満足です。

  • 「大いなる眠り」…!
    「大いなる眠り」!!!

    格好いい題名だこと!

    また、会えたね、マーロウ君。

    さてこちらは、マーロウ君シリーズ初登場の作品。

    いつもの、
    「東西ミステリーベスト100」(文藝春秋編 1986年版)では、圏外!
    副読本「海外ミステリ・ベスト100」(早川書房2000年版)でも、載っていない。

    でも、本の見返しには、アメリカのタイム誌やフランスのル・モンド誌で
    名著100冊に選ばれた…と書いてある。ふーむ。

    今回、マーロウは、ある大金持ちの将軍から、
    娘のスキャンダルをネタに強請られていると相談される。

    話をつけるべく、その相手、ガイガーなる男の経営する書店を
    まず調べることになるが…

    このお話でももちろん、出てきたよ。
    驚くほどの美女が…ね。(今回はいつもより多めだよ)

    みなギャッとなる程美人だけれど、

    大金持ちで、でも…(ブロンドと黒髪)
    大金持ちになりたくて、でも…、
    大金持ちになったけど、でも…、

    どちら様も関わると命が危ないですけれど、ね。

    ちょうど同時に、「放浪記」を岩波版で読み直しながらいたから、
    「お金がありすぎるのも、お金がなさすぎるのも…」と
    思ったことだ。

    ラスト近くは、「……ハッ!」となった。そうか!そうだったのかあ!

    朝(会社行く前)も、通勤時間も、湯たんぽのお湯を沸かすときも…
    寝る前も…、
    時間があればぱっと手に取り、どうなる?どうなる?と読み続け、
    そんな訳で、もう、読み終わっちゃった!(もったいない)

    主人公の、度胸の据わり具合、
    自分を律する強さ(だって、だって、2回もさぁ~)、
    そんでやけに拳銃使いが上手いこと(一体どこで練習してるのよ?)などなど、
    これがマーロウ君でなくっちゃ、ほんと読み捨てならないよ。

    また、この将軍の家の執事が好きになっちゃった人もいるでしょう。(私)

    また、あの純情なあの人に涙した人もいるでしょう。(私)

    さて、話は変わりますが、

    有名な人気のある作品をさ、
    たしかに素晴らしい翻訳で、
    それでもなんか次から次へとっちゃうみたいにして、
    自分の作品っぽくしちゃってさ、
    ね、なんかその部分については、俺、ちょっと嫌なの。

    嫉妬かな。

    翻訳者後書きにもなんか色々書いてた、けど
    まだ、読んであげない!

  • ミステリなんだけどミステリ以外の要素が強くてミステリぽくない。
    ミステリ以外の要素ってなに?ってなると、マーロウの、男気、としか表現ができない心情に基づいての行動、に尽きる。

    2023.8.20
    133

  • マーロウシリーズ長編第一作。
    三十三歳という設定だが、攻めの姿勢は相変わらず。
    依頼は終わっても自分が納得するまでは調査の手を休めない。
    それが例え一部の人にとっては探って欲しくないことでも、その所為で自身が窮地に陥っても。その一部の人が例え依頼人側の人間であっても。
    それがマーロウなのだから仕方ない。彼に依頼をするときは、そういう容赦のない探偵だということを分かった上でないと、こちらが痛い目に遭う。
    そのことがよく分かる一冊。
    村上春樹氏の翻訳にも随分慣れてきた。個人的には清水氏訳のクールな感じが好きだが、村上氏の丁寧な訳も結構好み。

  • あー、やっぱり村上訳のちゃんどらーを読むのは、至福ー。いい湯だな、という感じの幸せ。。。好きです。文章が。ストーリーはどうでも良くなる(笑)。

  • フィリップ・マーロウのシリーズで、この前初めて『ロング・グッドバイ』を読んだ。
    本好きな人が出てくる小説に、これは読んでおきたいものとして『長いお別れ』がたびたび登場するからである。
    そして、このシリーズが村上春樹さんの訳で初めて出されたのが『ロング・グッドバイ』だったということもある。
    そうしたら、その文庫本の「訳者あとがき」に、チャンドラーが出版した年代順が載っていて、この『大いなる眠り』(1939年)が最初だった。

    私は、シリーズものだったら最初から順に読みたい派。
    シリーズ1作目のこの本では、ちゃーんとドレスアップして、紹介された依頼人を訪ねる、という正統派な導入部である。
    フィリップ・マーロウ、33歳、と若い。
    すぐに乱闘するし、銃を使うことにためらいがない。
    頭脳しか使わないし、警察には協力的な日本の探偵に慣れているのでびっくりする。
    そして、若いからか、自分の仕事に対する誇りと信念をはっきり口にする。
    『ロング・グッドバイ』では、すでに場数を踏んでいて、感情をあまり出さず、正義感に対しても韜晦気味だった。

    最後の謎は悲劇的だった。家族のためを思ったのかもしれないけれど・・・
    老将軍が皆に敬愛されていたことは分かった。
    そして、執事もできた男である。
    このあとは、チャンドラーが発表した順に読んでいきたい。

  • いろんな殺人事件がひとつに絡み合っていく様子がスリリング。マーロウさんは相変わらずシニカルで、ちょっと荒っぽい(ロング・グッドバイより若いから?)。老人の「大いなる眠り」を汚さないよう、彼の自尊心を損なわないよう…美学の全部を使って行動してる。

  • うううーん、春樹訳は割に好きな方なのだけど、今作ではどうだろう…。
    フィッツジェラルドやカポーティはウエットな印象なので、やはりウエット(だと私は感じる)春樹訳が合うように思うが、ドライなこの作品にウエットな春樹訳はあまり合わないように感じた。
    ハードボイルドでかっこいいはずのマーロウが、湿っぽさが出て面倒くさく思えてしまった…。
    訳の問題ではなく、単に今作と私が合わないだけなのかも知れないが。
    でもずっと前に「長いお別れ」(「ロング・グッドバイ」ではなく)を読んだ時にはもっと好みだった気がする…。

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