トレーダーの生理学

ジョン・コーツ 小野木明恵

• 早川書房 (2013年1月10日発売)

作品紹介・あらすじ

バブルが膨らむのも、株価が暴落するのも、トレーダーの生理学的な反応に原因がある！　ウォール街での活躍経験をもつケンブリッジ大学の気鋭の研究員が、ビジネスと脳神経科学の関係を解明する

感想・レビュー・書評

[wanderingtommyさんの感想 · 2013年6月1日]

知っているようで知らない、人類の仕組み。

マーケット、それは現代人に残された数少ない戦場。もちろん、直接に人が死ぬわけではないし、戦争に比べれば段違いに平和であるともいえる。

しかし、ヒトという生物はそうは受け止めていない。

株やFXを触ったことがある人ならわかるだろう。勝っているときの万能感。負けているときの尋常じゃない焦り。ああ！自分のメンタルがもう少し強ければ！！

「ブレない」ことは投資をするうえで非常に重要なことだと言われてきた。しかし、それは永遠のテーマだ。私たちのボディは、それを許さない。生物学的視点から見ると、自明のことだ。私たちが意識していない内分泌系の働きの数々。

人間の限界を感じさせるようでいて、人間の行動を理解するうえでの新たな発見をもたらしてくれる。マーケットに参加したことのある人なら興味を持って読めるだろう。

念のため付け加えるなら、もうける系の本ではない。人間という生物についての本。