ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
- 早川書房 (2013年5月24日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152093783
作品紹介・あらすじ
9・11の現場からアフガンまで暴力と絶望渦巻く世界五都市にて、日本製の機械人形の存在を通して人の行為の本質を抉り出す連作短篇集。ポスト伊藤計劃と目される気鋭の新人によるデビュー第2作
感想・レビュー・書評
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人間の業と本質、国家・民族・宗教・戦争・言語がテーマだそう。
なかなか理解するのが難しい。
今までに読んだことのない世界観ではある。
この雰囲気でミステリを描いてくれたら好きかも。 -
図書館で。SFなんだけど現実の出来事が織り込まれていて所詮フィクションだし、と片付けられない辺りが重い。そして辛い。でも折角再建したビルをもう一回破壊する意図はなんなんだ。
歌う人形はなんとなく初音ミクみたいなイメージだなあと思いながら読みました。アレはソフトだけでハードは無いけれどもそのうちセットできるギミックとか出来そう。そして何が軍事目的に加工されるかわからない…これ、結構ありえそうで怖い。
なんかこういうの読むと戦争は既に始まっていた、というようなタイトルの村上龍の作品を思い出す。じりじりと怖い。 -
表題作を含む5つの短編から成る。SF仕立てだが、時間軸は限りなく現在、あるいは直近の未来。ヒーロー不在のハードボイルドといった趣きだ。とりわけ「ヨハネスブルグの天使たち」と「ジャララバードの兵士たち」は、硝煙の香りのする潤いのない乾燥した世界の中で、今生きていることさえ不確かな、ひりついた状況を見事に描き出す。ここでは、もはやアイデンティティ問うことさえできない。そんな問いは贅沢であると同時に、ここでは空無だからだ。そうした意味で、これは20世紀を突き抜けた極めて21世紀的な小説だと言えるのかもしれない。
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DX9というロボットを軸として、微妙に時間と場所がずれながらも、短編が繋がっていく近未来SF小説。良く出来ていると思う。思うけれども、伊藤計劃氏や円城塔氏の作品を読んだ後に読むと、ちょっと物足りなさがあると思う。
それは、書き方や世界観の表現の手法の問題だと思うのだけれども、どうしても似ている感じは否めない。否めないが著者の他の作品を読んでいないので、この本だけが特別なのかもしれない。
純粋さは記号化された存在となり、個性はノイズとなり排除されていく。いつの時代も人は悩み、現実から逃げ、問題を後回しにして、他人との接触はヴァーチャルな世界となり、ヴァーチャルな世界が、生きていることを実感できる場所となる。ヴァーチャルな世界のテロは、現実の世界に影響は無いが、人の価値観を変えていく可能性がある。繋がりは希薄化し、人は脆い存在となり、機械は耐久性と量産性が重視される。
SFだけれども、リアルでフェイクな世の中は、人の多面性を排除し、宗教により統一化され、悲劇が連鎖する。信用は連帯に繋がるが、広がりを求めない。人の記号化と個性のノイズ。純粋なデータのみが信頼される世の中に、真の幸福はあるのか。おそらくそれはヴァーチャルな世界の仮想幸福なのかもしれない。苦痛も悩みも無い世界で、無感動で生きていく、何も無い平穏こそが幸せなのだとしたら、思考は邪魔な存在になってしまう。
人が生きる意味とは何か、死ぬとどうなるのか、考えさせられるが、そこに明確な答えはなく、そしてこの本に求めるべきものではない。 -
戦争、民族、意識、多様性。ヨハネスブルグから日本の団地まで。歌姫と呼ばれたロボットが見つめた人間の深淵の物語。特に「北東京の子供たち」が面白かった。
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SF仕立ではあるが社会派
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「スペース金融道」の作者で割と最近ちょこちょこ聞くので、借りてみた。
DX9というアンドロイドを軸にすすめられる短篇。
2篇目の「ジャララバードの兵士たち」がよかった。
流浪の日本人、ルイ(本名・隆一)とアメリカの軍人ザガリーの道中。
殺されたかつてのルイの同級生、ナオミをめぐって展開する軍の暗部。
DX9は単なるアンドロイド、ではなく本来は金持ち用の歌う楽器として流通したが、武器として改造されたり、人格の転写をしたりと多機能。
余談だが、初音ミクが三次元化するとこうなるんかなーと思ったりした。 -
<あらすじ>
ヨハネスブルグに住む戦災孤児のスティーブとシェリルは、見捨てられた耐久試験場で何年も落下を続ける日本製のホビーロボット・DX9の一体を捕獲しようとするが―泥沼の内戦が続くアフリカの果てで、生き延びる道を模索する少年少女の行く末を描いた表題作、9・11テロの悪夢が甦る「ロワーサイドの幽霊たち」、アフガニスタンを放浪する日本人が“密室殺人”の謎を追う「ジャララバードの兵士たち」など、国境を超えて普及した日本製の玩具人形を媒介に人間の業と本質に迫り、国家・民族・宗教・戦争・言語の意味を問い直す連作5篇。
う〜ん。ちょっと苦手なヤツだった。
日本のSFって、伊藤計劃もそうだけど、やっぱり合わない……。
とくに、アメリカ編は???だった。
著者プロフィール
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