病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘 上

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152093950

作品紹介・あらすじ

病巣の切除、X線による放射線療法、抗がん剤による化学療法……不治の病から治療可能な病へといたる「がん」との壮大な闘いの歴史を描きだすピュリッツァー賞受賞作。解説/仲野徹大阪大学教授

感想・レビュー・書評

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  • 映像化されたドキュメンタリーを観ていたかのような読了感。
    そしてこれをジャーナリストではなく、一人の医師が執筆しているということに驚きも感じた一冊です。

    日本の医療エッセイで目立ったものといえば、患者当事者の闘病記や、医療従事者の視点で書かれた治療法などでしょうか。
    なのでどうしても偏りを感じてしまい、良くも悪くも冷静に情報を受け取ることができずにいました。

    しかし、この著書は「がん」という病に対して、患者の存在、医師の存在、彼らが選択する治療法やこれまでの歴史など様々な角度から向き合った内容となっており、ニュートラル。

    読んだきっかけは、あまりいいことではありませんでしたが、読む前に比べ、未来へ目を向けられるようになり、不思議と入ってくる情報も前向きなものに変わっていきました。

    がんに挑んでいるのは、医師だけでも、患者だけでもない。その両方、もしくはもっと沢山の人たちの存在なくしてがんとの戦いで勝利は得られないというメッセージが込められているのを感じました。

    この手の本を読むことは珍しいのですが、ぜひ下巻も読みたいです。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=24002

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB13310216

  • 星4に近いですがちょっと読むの大変だったので3にしました。癌や医学の科学の面、研究者やスポンサーの熱意、医者と患者の関係など、興味をとてもひく内容が多かった。本当にいろいろな試行錯誤があってそれなりの療法が出てきつつも、なかなか解決には遠い、もどかしい感じがよく分かる。

  • 歴史
    ノンフィクション
    医学
    病気

  • エジプト時代から書かれているが、長くて退屈。

  • 雑誌で紹介されていたのを見て図書館で読んだ。がんに挑む人たちの歴史。おもしろかった。がんの強敵っぷりがすごくてまさに皇帝。それが実は敵ではなく「われわれ自身のゆがんだバージョン」ってのがいい。ノンフィクションなのにミステリー小説みたいな展開。

  • 現役の腫瘍医であるムカジーによるがんの治療と研究の歴史を描いた本。古代エジプトのパピルスに「この病の治療法は無い」とかかれてあったという。それほど昔から人類はがんと隣り合わせに生きてきた。

  • 割と長ったらしい。洋書ってこうなのかしら。ホモ・サピエンス史も長ったらしかったが、これはそこまでではないにしろ、回りくどい話が多い。

    とは言え、この本が与えてくれるガンに対する知識は偉大。ガンの始まりと、その治療法を探す医師と患者の戦いを伝記的に教えてくれる。上巻は、1970年ごろまで。

  • 「シクロホスファミド、シタラビン、プレドニゾン、アスパラギナーゼ、アドリアマイシン、チオグアニン、ビンクリスチン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート」
    一つの薬につき一体どれだけの人々の命、生活、そして尊厳と正気が費やされたのだろう。
    本書は単なるガンの歴史本ではなく、未知の病に対して人間がどう対処してきたのかを物語るルポルタージュだ。

    存在自体は紀元前から記録されてきたが、人間の平均寿命が延びるにつれ、その特異性が顕在化されることとなったガン。
    細胞が自発的な意志を獲得して分裂増殖する病的過形成への対策は、早期に完全に切除できなければ、
    右耳は全く傷つけずに左耳だけを完全に再生不可能になるまで溶かすような薬が必要となる。

    そんな魔法としか思えないような薬が存在しない世界でまず実行されたのは、徹底的な人体実験だった。
    乳がん治療のため、小胸筋、大胸筋、鎖骨、リンパ節、肋骨、胸郭を取り除く人体改造手術。
    少し漏れただけで皮膚が壊死する薬、死に至るほどの嘔吐を発生させる薬、治療から10年後に別の新しいがんを発症させる薬。
    仕組みが理解できていない病を治すため、誰も原理が理解できていない薬の組み合わせを、 人体という理解不能な対象に投与する。
    技術と統計により現時点では状況が改善されたと言っても、ガンか肉体のどちらが先に死ぬかというレースの仕組みは変わっていない。
    特にガン治療において、いまだあやしげな代替療法が蔓延しているのは、その苛烈な治療法のもう一つの副作用とも言えるだろう。

    ガンによって失われてきたものはあまりにも多いが、ガンによって人類が得られたものはあったのだろうか。
    ガンはどこまで解明されているのか、ガンの予防は可能なのか、 これからのガンとの戦いとは。下巻に続く。

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著者プロフィール

シッダールタ・ムカジー(Siddhartha Mukherjee)
がん専門の内科医、研究者。著書は本書のほかに『病の皇帝「がん」に挑む——人類4000年の苦闘』(田中文訳、早川書房)がある。同書は2011年にピュリツァー賞一般ノンフィクション部門を受賞。
コロンビア大学助教授(医学)で、同メディカルセンターにがん専門内科医として勤務している。
ローズ奨学金を得て、スタンフォード大学、オックスフォード大学、ハーバード・メディカルスクールを卒業・修了。
『ネイチャー』『Cell』『The New England Journal of Medicine』『ニューヨーク・タイムズ』などに論文や記事を発表している。
2015年にはケン・バーンズと協力して、がんのこれまでの歴史と将来の見通しをテーマに、アメリカPBSで全3回6時間にわたるドキュメンタリーを制作した。
ムカジーの研究はがんと幹細胞に関するもので、彼の研究室は幹細胞研究の新局面を開く発見(骨や軟骨を形成する幹細胞の分離など)で知られている。
ニューヨークで妻と2人の娘とともに暮らしている。

「2018年 『不確かな医学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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