スイッチ! 〔新版〕― 「変われない」を変える方法 (ハヤカワ・ノンフィクション)
- 早川書房 (2013年8月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152093981
感想・レビュー・書評
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象使いと象に置き換えられた、理性と感情面から行動を変え、道筋定めて、変われないということを変えるヒントがここに。
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「象使い」=理性、「象 」=感情、「道すじ」=環境になぞらえて、どのようにして人の行動を変化させていくかを3つの観点から教えてくれる。
行動を変たり変化を起こすポイントは次の3つだ。
①象使いに方向を教える=明確な支持を与える。
②象にやる気を与える=相手の感情に訴えかける。
③道すじを与える=環境を変化させる。
理性の弱点は考え過ぎて空回りすること。
ブライトスポット=上手くいっている例を探す=解決策を探すこと。
変化を起こすには「大事な一歩の台本を書くことが重要」
目標は具体的な行動の目標として設定する。
行動が反射的になればなるほどセルフコントロールが不要になり疲れにくくなり行動を継続しやすくなる。
「true but useles」な事実は無視せよ。姿勢に必要なのは踏み出すための小さな一歩が記された台本なのだ。
子供にやる気を与えるためにはこどもの言葉を使うべし。
近い将来に実現できる鮮明な未来像を「目的地の絵はがき」と呼ぶ。
理性と感情の両方に訴えかける目標が大事。
大規模な問題に大規模な解決策はうまく行かない。小さな一歩を設定することが大事。
理性には、(1)小さな一歩を示す、(2)目的地を指し示す。
感情には(1)変化を細かくする、(2)アイデンティティを刺激する。
環境を変えるためには、(1)習慣を生み出す、(2)仲間を集める。
目標はオールオアナッシングで設定して、曖昧さをそぎ落とす。
理性の強みは先見性。長期的目標のためには短期的な犠牲は厭わない。ただしあいまいさや選択肢に直面すると麻痺してしまう。
感情に訴えるときには、「見て感じて変化する」よう意識する。 -
その著作が全米でいずれもベストセラーとなっているハース兄弟が、人や組織を「変える」ための方法について述べた一冊。
様々な事例から人や組織が「変わった」結果から、一定の法則を見いだしてフレームワーク化し、それをわかりやすいメタファーで説明してくれているので、とても腹に落ちやすい。
人の感情を「象」、その理性を「象使い」に例え、変化を起こすためには「象使い」に方向を教えて、「象」にやる気を与える必要があると説く。
「象使い」は分析が好きで理論的に事にあたろうとするが、思考の袋小路にはまってしまう場合もある。そうならないためには、目的を明確にし、うまくっている部分を探して、それを行動に移す。
「象」は行動を起こすエネルギの源だが、気まぐれで怠け者の側面もある、「象」を行動に移すには、感情を芽生えさせ、行動のハードルを下げるために変化を細かくする必要がある。
「象」と「象使い」を動かすことができたら、あとは「道筋を定める」。環境をかえ、必要な行動を習慣化する。
うまくいってないことを探して解決するのではなく、うまくいっている事を探してそれを広めるという手法は、目に鱗が落ちた思いだった。
実際には、「目的を明確にしたり」、「感情を芽生えさせる」ことが非常に難しいわけだが、何かの変化を起こしたいときに、その手順が明確化された本書は非常に参考となる。
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・ハイトは、私たちの感情は「象」であり、理性は「象使い」だと述べている。
・象使いの担当は計画や方針。象の担当はエネルギー。
・人を変えたければ、とびきり明確な指示を与えなければならないということだ。
・行動を変えるポイントは、象使いに方向を教え、象にやる気を与え、道筋を定めることだ。
・ブライト・スポットを探すということは、「何がうまくいっていて、それを広めるにはどうすればよいか?」と自問することにほかならない。
・変化を成功させるには、あいまいな目標を具体的な行動に置きかえることが必要だ。簡単井に言えば、変化を起こすには、「大事な一本の台本を書く」ことが必要なのだ。
・相手に行動を変えてもらうには、「新しい行動」をはっきりと説明する必要がある。
・変革に成功した大半のケースで、変化は「分析し、考えて、変化する」の順序ではなく「見て、感じて、変化する」の順序で起こることに気づいた。
・やる気のない象を動かしたいなら、「変化を細かくする」べきなのだ。
・自分自身や他人を変えるためには、習慣を変える必要がある。
・目標に近づいたことに気づいてほめるには、つねに周囲に目を配り、明るい兆しを探さなければならない。 -
1 どんな本?
「変えたくても変えられない人達」に向けて、
個人、組織、社会を変える実践的なコツが紹介さ
れている本。理性、感情、環境を象使い、象、道
筋に例えて、この三つを整えると思うより簡単に
変化を引き起こせると説いている。
2 なんで読んだの?
(1) 意見を言う時の参考したいから。
(2) 組織的な習慣を変える方法を学びたい。
(3) 読後自分を変える取り組みが出来る状態にな
りたい。
3 構 成
全3パート11章構成352頁
変化の三つの意外な事実から始まり、「変化の過
程にはパターンがあるが、変化を引き起こす人々
に決まったパターンは無い。」と終わる。
1パート目は理性に訴えかけるコツを、2パート
目では感情に訴えかけるコツを、3パート目では
環 境を整えるコツを紹介する構成。
4 著者の問題提起
変化を引き起こすのは無理だと思っていませ
んか?変化の阻害要因は他人だと思ってません
か?
5 命題に至った理由
著者の取材、研究、考察から。
6 著者の解
人間が行動を変えるのは環境が要因であること
が多い。変化を引き起こすパターンは理性、感情
、環境の三つのフレームに当てはまる。
7 重要な語句・文
(1) ブライトスポット
全体の中で上手く行ってる少数のパターン。
(2) 大事な一歩の台本
具体的な行動の一手目
(3) 目的地の絵葉書
具体的なビジョン(感情に訴える。)
(4) 変化を細かくする。
自他に要求する変化は細かくして抵抗を極限
させる。
(5) アイデンティティに訴える。
(6) しなやかマインドセット
(7) 人では無く環境を変える。
物の配置、A41枚配布、システム
(8) 環境を変える。
アクショントリガー、変化を楽にする習慣を
生み出す。(起立会議、1日2杯のスープ)
(9) 仲間を集める
物理的スペースと機会の用意
(10) 変化を継続する。
報酬の継続、褒めることの継続
8 感 想
読み物として単純に面白かった。
刺さったのはしなやかマインドセット。失敗を
想定した計画が必須。変更や阻害要因は絶対に現
れる。向かうゴールは変わらないと言う意識が必
要。
深く知りたい事は環境の変え方。考え無くても
行動できる環境が大事。(紙に行動を明記、物の
配置を変える、仕組みを変える。)目的に沿った
習慣形成が出来る環境作りが出来たらより良い。
人に勧めるならブライトスポット。何故か上手
く行っている部分の原因を分析、普及すれば全体
を良くする事ができる。
ビジュアル要素は無し(絵とか図とか)
タイトルのスイッチの通り「切り替える事」
を説く本だった。
9 TODO
(1) アクショントリガーで習慣を一つ形成する。
手帳に時間と箇所を記入して毎日一箇所1分
以上片付ける作業をする。
(2) 各種目標の具体的な行動の一手目を手帳と
ビジョンボードに書く。
(3) 目的地の絵葉書を書く。
目標達成した状態とメリットと達成した時
の感情を手帳とビジョンボードに書く。
(4) 週、月、年の振り返りでブライトスポットを
分析して書き出す。それを目標に反映する。
10 問 い
出来る人と出来ない人の違いは?
11 答 え
人間の性能は皆同じ。違うのは環境。
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良書
象と象使い
方法論がしっかりしていてわかりやすい -
2022/03/18 読了
#rv読書記録
再読不可避。行動や習慣の変え方が様々なケーススタディと共に説明されており、そうしたものは変えられるんだと勇気づけられる。
とはいえこれを実践するにはなかなか一朝一夕では難しいし、そういう意味でも何回も読み返して深く理解していきたい。 -
「どうせ変わらない」と思ったことは誰にでもあるだろう。「どうせ社会は変わらない」のような壮大な諦めではない。ダイエットや禁酒、運動といった自分のことですら何度も失敗した経験のある人がほとんどだろう。『スイッチ!』は自分と周りを変えるための知見を紹介する一冊である。
表紙に描かれている象を見ればピンと来る人もいるかもしれないが、この象は本能(システム1)と理性(システム2)についてのジョナサン・ハイトの比喩に由来している。心理学の再現性危機が叫ばれる昨今であるが、二重過程理論自体は否定されるべきものではないだろう。
本書の主張は以下の二つに集約される。
象使い=理性は消耗する。象=本能に訴えかけなければ、人も自分も変わらない
象=本能には単純で、明確で、具体的なメッセージを送らねばならない
他の記述に関してはどこかで聞いたことのあるようなものも多いが、本書の面白いところは比喩にある。「システム1」と「システム2」では無味乾燥だが、「象」と「象使い」だと力の差は分かりやすい。同じような形で、ドゥエックの固定的知能観、拡張的知能観は「こちこちマインドセット」「しなやかマインドセット」と表現される。こういった記述は象に訴えかけるもので、分かりやすさを優先した一般書ならではといった感じだ。