アルモニカ・ディアボリカ (ミステリ・ワールド)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 602
レビュー : 94
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152094223

感想・レビュー・書評

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  • 『開かせていただき光栄です』から5年後の物語。
    ダニエル先生の解剖室は閉鎖し、エドとナイジェルが去った後、残された弟子たちは、盲目の判事ジョン・フィールディング氏の元で『ヒュー・アンド・クライ』という情報新聞の編集を任されていた。22歳になったネイサン・カレンや、アン・シャーリー・モアとの交流の中、それぞれが互いに負った心の傷をゆっくりと癒しながら生活していた。


    そんな中に突然舞い込んだのは
    「死体」と「謎」

    ・落下する天使を見た踏み車漕ぎの男。
    ・棺に入れられたナイジェル・ハートの遺体。
    ・胸に書かれた〈ベツレヘムの子よ、よみがえれ!〉と
    〈アルモニカ・ディアボリカ〉の文字。
    ・消えた恋人を探す女性と、洞窟の演奏会
    ・悪魔の楽器と言われた〈アルモニカ・ディアボリカ〉とは?


    ナイジェル・ハートの死因を突き止めるべくして、サー・ジョン率いるアル、クラレンス、ベンの3人、アンやゴードン、ネイサンも加わって謎の究明に奔走する。

    いくつもの謎を1つずつ紐解き、証言を繋ぎ合わせて辿っていくうちに色々な謎が、すべて大きな真相へと繋がっていた…!

    読みながら、作中の人物の相関図や謎について、サー・ジョンが語った事件の考察や、その他色々な言葉や地名をメモしていたらA4コピー用紙4枚分にも及ぶ量になって自分でもびっくり…。もうすぐ1年が終わる年の瀬に、こんなにも濃密な作品を読み終えることができて良かった…。







    事件を追う一方、各章の間に挟められるナイジェルが綴った、エドへの手記。ナイジェルが生まれ育った環境、そこで出会った人々、凄惨な事件、生まれた感情、過去を振り返ることで見えてくる“本当の”ナイジェルの素顔。後半は、エドに対して、懸命に問いかけるようにして書かれていく。

    ラストの2行は、本作を通して何よりも彼が伝えたかった言葉。その言葉の重みや、感情、愛しさなどを含ませるための458ページだった。

    死者として生きる。そう決心して解剖室を去り、次第にすれ違い、別れてしまった2人。だけれども2人とも懸命に生きて、過去を振り返りながら自分を変え、再び歩み寄ろうとしていた。

    再会するための儀式、自分は“ここにいる”と伝えるためのメッセージが、永遠の別れになってしまったのが何とも悲しい。

  •  僕は、僕が望むように君を変えた。
     でも、エド、君と再会できたら、君が望むように、僕を変える。
    (P.458)

  • 日本の小説をあまり読まない私は、恥ずかしながら皆川博子さんという作者を全然知りませんでした。何となく手にとって読んでみてびっくり。何と濃い、18世紀ロンドンを舞台にした小説。前作があるようでキャラクターも多く、少し混乱しましたが、とても楽しめました。酸いも甘いも噛み分けた盲目の法定裁判官がいい味です。
    ミステリ的には――というか、実際に起ったことは、ちょっと納得できないところもありましたが、満足です。
    文章がいいですね。またこの人の本、読みたいです。

  • 前作『開かせていただき光栄です』の続編。
    続編というよりも18世紀のイギリスを舞台にした
    上・下の作品といっても良いぐらい前作と今作の絡みはとても濃厚。
    こちらはホガースの「放蕩者一代記」の一枚
    「べトラム精神病院」で描かれた、
    実際に現存する王立ベスレム病院を軸に描いている。
    悲惨で残酷でもあり、しかしにウィットに富んだ会話も楽しく
    、皆川博子氏の文体にいつも惹き込まれてしまう。
    エドとアル、そして慈愛に満ちあふれている人たちに
    幸あれと願わずにはいられない。
    アルモニカ・アンジェリカ。

  • <あらすじ>
    18世紀英国。愛弟子エドらを失った解剖医ダニエルが失意の日々を送る一方、暇になった弟子のアルたちは盲目の判事の要請で犯罪防止のための新聞を作っていた。ある日、正体不明の屍体の情報を求める広告依頼が舞い込む。屍体の胸には“ベツレヘムの子よ、よみがえれ!アルモニカ・ディアボリカ”と謎の暗号が。それは、彼らを過去へと繋ぐ恐るべき事件の幕開けだった。『開かせていただき光栄です』続篇!

  • 59:前作「開かせていただき〜」より好きかも。哀しくて美しい、この塩梅は皆川さんならでは。表紙もカッコイイ!

  • ※図書館

  • いやぁ~面白かった!
    第2作は、前作を超えられないと思っていたけど、これはすごい。
    そういう生い立ちだったのか……。
    だとしたら、ほんとに幸せに暮らせていたのは、ダニエル先生の元にいて、エドと一緒にいられた間だけだったのかな。
    切ない。

  • な、ナイジェル・・・ナイジェル・・・(呆然)
    今回はほぼ、盲目の判事サー・ジョンと彼の〈眼〉であり助手でもある姪アンの視点で物語が展開します。
    合間で挟まるナイジェルの手記が・・・壮絶としか・・・拷問が悪魔の諸行すぎて怖すぎ泣いた・・・。
    『アルモニカ~~』でのナイジェル、『開かせて~~』では完全に昼は淑女夜は娼婦タイプの毒婦いや毒美少年だったんだろうな・・・、と思ってたんだがエドのこと影で操ってたのは罪悪感あったんだな・・・ってびっくりした・・・。
    複雑な人間性持ってる・・・のも納得の育った環境だったが・・・。

  • 『開せていただいて光栄です』続編。
    出奔したエドとナイジェル。ナイジェルの過去が明らかになる。

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ ひろこ)
1930年旧朝鮮京城生まれ。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁・旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞(長編部門)を、『恋紅』で第95回直木賞を、『開かせていただき光栄です‐DILATED TO MEET YOU‐』で第12回本格ミステリ大賞に輝き、15年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。著作に『倒立する塔の殺人』『クロコダイル路地』『U』など多数。2019年8月7日、『彗星図書館』を刊行。

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