深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 230
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152094247

感想・レビュー・書評

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  •  人類は滅びる。それは定められた結末のように思える。
     では、滅びるまでの時間をどのように生きればいいのか。滅びるからと自暴自棄になるのか、それはむなしい。けれど、何かをなしたとしても、それは滅びるのであれば無駄ではないのだろうか。
     これはSFなのではあるが、バブル崩壊後、未来に夢を抱けない現代にも通じるテーマであるように感じた。

     青澄が主役過ぎる!とも思うのだけれど、華竜の宮の続編であることを考えると、やはり、彼でしかなしえないことなのかもしれない。青澄出てくるとテンションが上がるし、彼の挙動に一喜一憂する。しかし、前作より青澄の視点が薄れ、ある意味かっこいいヒーローとなってしまったので、続編があるならば、彼が悪であるというまっとうな主人公の姿を見たい。
     そして、やはり、マキの物語でもある。2人のマキの見る世界を思うと切ない。

  • 誰の行為が正しいか間違っているかなんてわからない。題名が重い。

  • もう、読後、充実感と寂しさと力強さと希望と何やら色々で!<華竜の宮>補完どころか短編<リリエンタールの末裔>まできっちり回収して練りあがった、すごい物語だった。神林長平氏が<いま集合的無意識を、>で書いてた「リアルに屈するな、虚構の力を信じろ」の一文を力強く思い出した…。<魚舟・獣舟><華竜の宮><リリエンタールの末裔><深紅の碑文>。今はすごかった、素晴らしく大好きな作品だとしか言えない!いつか通し再読するぞー!

  • ☆の数は好みの問題なので。
    同じ舞台の関連作品はしばらく前に読みました。

    個人的には、海の文化の雰囲気があまり好きではないので・・・。
    魚舟とか獣舟とかの感覚がどうも掴めず。

    地球環境の未来の描写やその対策に悩む人々の描写には引き込まれました。

    壮大な困難に立ち向かう人々の話は、現実の自分の抱える問題をちっぽけに感じさせてくれます。

  • どんなに頑張っても人類の歴史は「深紅の碑文」なのか。
    信念の人々の揺るがない様を、美しいと感じると同時にしんどくなる。
    だけど後味は悪くなかった。

  • 陸地の大半が水没した『華竜の宮』や『魚舟・獣舟』の後の世界で、新たな大異変に備える世界の様子。
    世界観はSFでも、そこに生きる人々の葛藤や足掻きは等身大に迫ってくる。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/12709915.html

  • 人類最後の瞬間が近づく中、謎の集団が現れる

     この部分、実は好きではない。裏組織だって?それが世界を動かしている?陳腐だなぁ。テンションが少し落ちる。人類の未来は今のまま?深海?宇宙? あまりここに興味を持つのは作者の狙いとは異なるのかなぁ。

     下巻はこれでもかというほど登場する役者たちのそれぞれのエンディングを描く。バカがつくほどていねいにそれぞれを描く。大人の恋もあれば、若者の夢もある。犬死もあれば、犠牲もある。本当にていねいに役者たちを葬っていく。役者に愛情がなければ、これはできまい。使い捨てかと思っていた役者にもスポットがあたるのは驚きだ。ある意味「渚にて」風の終わり方だが、大きく異なるのは未来があること。

     深海の深宇宙も出てこない。新人類はまさに今地上で無為に争っているメンバーそのものだ。きれいな解決もなければ一致団結もない。新人類と陸人類と海人類が適度な距離を置きながら、それぞれの未来を想う。

     正直言うと、あっけない。核融合まではたどり着くものの、その利用は真っ二つに割れたままだし、陸と海の諍いは絶えない。現実色が濃いからこうなるのか。知性体を有する未来の人類でもこうなのか?

     あまりに生存欲が強く人類。これはクラークが繰り返し述べている。それに加えて、あまりに管理しにくい人類。この側面を提示したのは、本作が初めてではないだろうか。両者は一致する。だから、多様性なのかもしれない。この世界の未来を見てみたい。

    9/7 訂正

    「裏組織だって?それが世界を動かしている?陳腐だなぁ」との記載は私の誤記です。みえないメンバーたちをそう感じたということで、裏ではないだろうし世界を動かしているわけでも無いのでしょうね。この部分はこのメンバーたちの登場の意図がわかりにくかったため、荒っぽい表現になったことお詫びします。

    まだまだ続くらしい物語に大いに期待しております。一巡したら、また地上に戻ってきて欲しいな。強い人類を私は読みたい。

    • ueda222さん
      いなえしむろ 様

      著者の上田です。長い物語を最後までお読み頂き、誠にありがとうございます。深く感謝申し上げます。
      ひとこと、コメント...
      いなえしむろ 様

      著者の上田です。長い物語を最後までお読み頂き、誠にありがとうございます。深く感謝申し上げます。
      ひとこと、コメントさせて頂きます。

      >「裏組織だって?それが世界を動かしている?」

      大変申し訳ありませんが、私は作中で、このようなことは、まったく書いておりません。公の場で間違った情報が流れるのは少々困りものなので、訂正して頂けるとありがたいです。

      いなえしむろ様が、この部分をお好きになれなかったのは仕方がありません。いくらでも、好き嫌いをお書きになればよいと思います。しかし、それは正確な内容把握と記述がなされた上で初めて成立するものです。まず、ここをクリアして頂くよう、よろしくお願い致します。
      2014/09/07
    • ueda222さん
      確認しました。ありがとうございます。
      〈ルーシィ篇〉と〈惑星マイーシャ開拓史篇〉は、いずれ執筆するつもりです。スケジュールの後ろのほうにあ...
      確認しました。ありがとうございます。
      〈ルーシィ篇〉と〈惑星マイーシャ開拓史篇〉は、いずれ執筆するつもりです。スケジュールの後ろのほうにあるので、しばらくお時間を頂く形になりますが。『深紅の碑文』は、そこへ至るための重要な布石です。
      2014/09/08
  • 久しぶりに一気に読みました。ザフィールのパートが読んでいて面白い。青澄理事長、切ないです。

  • 「華竜の宮」の続編。上下巻の大作。
    世界の終わりが近づいているという閉塞感。そこで必死にもがき続ける、様々な登場人物たち。善だとか悪だとか単純なことではない。頑張ったから報われるわけでもない。でも生きるためには与えられた環境で戦い続ける以外にないんだ。
    リーダーシップ、組織運営・・・SFではあるが、いろいろな要素が詰まっていて、ビジネスマンでも楽しめる本だと思う。

  • 組織の内側視点の話が、とても興味深く面白く語られます。
    詰め込み過ぎで未消化な感じもしましたが、楽しめました。
    話は、まだ終わって無いのではないかという楽しみもあります。
    厳密な繋がりは求めないので、書き継いで欲しい世界設定です。

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著者プロフィール

兵庫県生まれ。2003年『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞し、デビュー。2011年『華竜の宮』で第32回日本SF大賞を受賞。同作は「SFが読みたい! 2011年版」国内篇第1位に選ばれ、『魚舟・獣舟』『リリエンタールの末裔』の各表題作、『華竜の宮』の姉妹編『深紅の碑文』と合わせて《Ocean Chronicleシリーズ》と呼ばれ、読者からの熱い支持を集めている。近著に『妖怪探偵・百目』シリーズ、『薫香のカナピウム』など。

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