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本 ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784152094414
作品紹介・あらすじ
浜辺に流れ着いた日記を見つけたカナダの作家ルース。東京に住む少女が書いたその日記に、ルースは次第に引き込まれていくが……時間も場所も超えて人々の物語が絡み合う壮大な文芸大作登場
感想・レビュー・書評
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カナダの海岸に流れ着いたキティちゃんのお弁当箱に入ったいた日本の少女の日記。3.11大地震で流れ出し海を越えカナダに流れ着いたらしい。米国からの帰国子女である少女ナオはイジメにあっている。
日記を拾った日系人のライター・ルースは、読み進めるうちに日記にでてくる少女やその祖母などをネットで調べ始める。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
砂浜に打ち上げられた漂流物の中に入っていた日記から始まる,過去と現在を行きつ戻りつしながら紡がれる壮大な物語。
装丁の美しさにも惹かれ,期待して読み始めました。
日記の描き手少女ナオの中学校での陰惨ないじめ,劣悪な生活環境の描写には心が痛みました。ただ,問題ありとはいえ,ナオが家族から虐待されていたわけではなかったので救いがありました。
ジコウとナオが夏休みを過ごすあたりから先が気になり,一気に読みました。
全体の感想は下巻で。
刹那…というのは美しい言葉です。
取り上げられているテーマは難解ですが,ナオの言葉で語られると何となく感覚が掴めるように思いました。 -
仏教はアジア、自分の国に根ざしたものなのになぜか日本人目線だと右耳から左耳へ抜けていくのに、外国の人に語らせるとストンって心に落ちてくる言葉になるのが不思議。
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頑張って一冊読んだけれど、辛い描写も多く、面白いと感じるところは無かった。
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遠藤緑先生 おすすめ
79【専門】県内図書館所蔵あり
★ブックリストのコメント
カナダの小島に住むルースが、浜に打ち上げられたハローキティの弁当箱を見つけ全てが始まります。その中にあった日記帳が、日本と北米、過去と現在を繋ぎます。時空や人、出来事の繋がりとホームの話でもあります。 -
文学
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最初ちょっと苦労したけど
だんだん良くなってきた -
文芸フェスで会った作者は、知的で美しく、話が上手なアメリカ人女性だった。本作の主人公ナオへの思い入れを語っており、好感を抱いた。
そこで、時間が経ったが読んでみた。上巻を読んだ感想、「これほど日本の描写にリアリティのある翻訳文学は読んだことがない」主人公は日本人女子高生で日本での生活ぶりが描かれるが、ハリウッド映画のキテレツ日本のレベルとはかけ離れた、極めてリアルな日本。著者は母親が日本人で留学して日本の古典を学びつつクラブでホステスのバイトもしたという異色の経歴の持ち主だ。これほど知日な作品がブッカー賞候補になったとは、日本人として注目したい。
しかし、次に個々の日本が「いじめ、自殺、カミカゼ特攻隊、秋葉原、ヘンタイ、禅」であることに溜息をつく。いや、そのステレオタイプ含めてリアルだし、外国人から見た日本としては極めて正しいのかもしれない。村上春樹の小説の日本でありながら土着性が薄くどこか無国籍な感じと似ている。
ストーリーは、女子高生の日記を読む、ルースという米国女性作家=著者本人という構図で進む。3.11後にこの構図に書き直したという、著者の真摯な思いと誠意だ。最近の米国作家が奇想系に走る中で、リアリズムに貫かれた語りはクラシックで気持ちいい…と思っていたら、最後に急にSFチックな展開。日記から文字が抜け落ちたり夢で交流したり、ハルキぽくもあり登場人物もハルキなのだが、あれはいらなかったな。