壁と孔雀 (ハヤカワ・ミステリワールド)

著者 :
  • 早川書房
3.25
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  • (3)
本棚登録 : 318
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152094780

作品紹介・あらすじ

警視庁SPの土壁は仕事中に負傷し、休暇をとって幼い頃別れたまま亡くなった母の実家を訪ねた。初めて会う異父弟はなぜか座敷牢に籠り、母殺しを告白する……クイーン的興趣溢れる本格ミステリ

感想・レビュー・書評

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  • 警視庁のSPである土壁英朗は大臣を警護した際、被弾し入院。退院後休養を兼ねて、2年前に亡くなった母親の墓参りのために北海道を訪れる。
    そこには、父親の違う歳の離れた弟がいた。
    その弟は、「母親を死に至らしめた」のは自分であるとお屋敷の座敷牢の中で暮らしていた。

    母親の実家である篠太家は明治維新後、東北地方の土地を追われ、北海道の奥地に追いやられ暮らし続けてきた。その地域に住む人たちの多くは篠太家と関係があるようで、また、突然現れた英朗に対して、警戒した様子を見せている。

    母親の死に噂される謎。弟の現在と将来に対する兄の想い。歴史的な背景を匂わせながらも、全体的に淡白な印象。

    小路さんの作品は、「東京バンドワゴン」シリーズしか読んだことがなく、地の文の季節感や言葉の豊かさ、それぞれの人物に対する愛情が溢れる文章を期待したのだが、それは満たされなかった。
    もちろん、作家さんもいろいろなアプローチの方法やストーリを試したり、あれこれ書きたいことが湧いてきたりするだろうからいつも同じテイストというのもなんだなとは思います。
    前半は話が動かず退屈気味ですが、後半は人もストーリーも動きだし気になるので、読ませてくれます。

    あ、そうか。
    今回私には東京バンドワゴンのように、感情移入してしまうほど共感できるや、魅力的でお気に入りになる人が見つからなかったせいかもしれない。
    くすっとつい笑みがもれるような、経験からくる言葉の中でじーんとさせてくれるような場面は見当たらなかったのもあるかなあ。

    とはいえ、注目している小路さんですので、みなさんのレビューを参考に次に読む本を探していきたいと思います。
    みなさん、おすすめありますか?

  • 装丁が素敵

  • 最後に明確な答えが欲しかったぁ、
    と言わせるためのストーリーか。
    そう思った時点で、小路さんの思う壺って気がする。

    真面目が取り柄みなたいな、いい男だ、土壁氏。
    こういう主人公には必ず、めっちゃいい奴が友達なんだ。
    それが相川氏。

    最後の明確な答えが、これから解き明かされる、という
    続編。。ないか。

    面白かった。
    私は動物だったら、何かしら・・

  • ふわふわしたまま終わるミステリー
    登場人物がなんかゆるい

  • 2022.3.8 読了


    SPの土壁は、仕事で足を負傷し
    仕事を休んでいる間に
    幼い頃に離婚して 亡くなった母の
    お墓参りに行く。

    そこで起こる出来事。

    なんか 拍子抜けなラスト。
    うーん、いいんだけど。。。


  • 面白い設定ではあったのだが、入り込めなかったのは、最終的に全てのピースがキレイに嵌め込まれすぎて、それが違和感として残ったからかな。
    「偶然」シーンが重なるうちに少しづつ冷めてしまった感じ。

  • うーん。お墓参りぐらいまでは本当に面白く感じて、そこからはどんな変化球が来るのだろうとミットを構えていたらド直球が来て。でも流石に次は変化球だよね、と身構えるけどまた直球が飛んでくるみたいな印象。
    個人的には毒素をもっと出してほしかったけれど、主人公が早めに蓋してくるので、緩いといえば緩い、優しい世界といえばそうなのかも。
    結末にむけてはおざなりさを感じるところもあって、それでエピローグも軽く感じたかも。

  • 怪我をした警察官が亡くなった母の故郷である北海道に帰省する話。いくつかの事件がつながっていく。優しい雰囲気が小路さんらしいと思ったら最後がらしいような、らしくないような…。
    2017/4/28

  • 04/16/2017 読了。

    図書館から。

    好きな話だった―

  • 良いヒューマンミステリ、だなんて硬く評価してみる。

    とても面白かったし、続編でもあれば間違いなく読むけれど。読み返すことはないだろう。それでいい。これはそういう、完結すべき物語だ。

  • ミステリっぽいけれど、どちらかというと二時間ドラマのような話でした。
    面白かった。
    現代の時間軸での、こう、横溝文学的なもの、といった印象が。

    関係ないですが、なんだか良い感じのデザインリングが欲しくなりました。

  • たぶんジュブナイルなんでしょう。だから、大人が読んで文句を言うのは筋違いだって事は重々承知の上なんですが、あまりにも優しすぎる登場人物達には、やはり違和感をぬぐいきれません。

  • 思ったよりスケールが大きな事件というか、謎があり、でも絡んでいるのは全部身近な人っていう、いまいちありえない感が拭えなかったので、今回は微妙…。
    孔雀=未来の本当の姿もわからないまま。

  • ミステリ仕立てだが最後らへん曖昧オチ。小路作品に今回こそは悪人が?と思ったのだがやはり不在。タイトルも惹かれるし冒頭から座敷牢だしでつかみはいいのだが、期待よりは盛り上がらなかった。突然現れた異父兄弟がなじみ過ぎ。コミュニケーション能力高い登場人物ばかりである(笑)。主人公の人柄と言ってしまえばそれまでだが。読みやすいし面白いし終盤のあれこれ考え過ぎな推理も面白いけども、ちょっと物足りない。未来がもう少し危うい感じを出してくれてれば、もっと美味しかったかもしれない。

  • この作品の前に読んだ「スターダストパレード」よりは良かったけれど…作品によっていろんな小路幸也が現れているのだろうけど、これは私にはちょっと合わない感じでした(^-^;)

  • 久々の小路さんの作品。あったかい感じとワケアリな感じはいつもの通り。楽しく読めました。

  • あんまり好きじゃないほうの小路幸也。ちょっぴりビターサイド。

  • 小路さんの本は面白いなぁ。

    北海道が舞台になるんだけども。
    自然や景色の表現がうまい。読者の頭に浮かぶ。

    ものがたりのなかに謎もしっかり含まれていて。
    面白い!

    小路さんの作品は3作目だけど、
    映像化したらぜったい面白いと思う。

  • 大臣を暗殺者から身を盾にして守ったSP。銃弾による傷を癒すために亡母の墓参の為に北海道を訪れる。
    初めて見る実家は豪邸のだが、初めて存在を知った弟は座敷牢に。

    話の展開が大きくて面白い。ベースは弟を思う兄の暖かい気持ちだから、読んでいて暖かい気持ちにもなれる。

  • 機会があればもう一冊!ワタシにとってのニューフェースです。
    話の進み具合とワタシの頭の中の理解の進み具合とがとってもビッタリのとても読みやすい作品でした。
     ただし結末に?が残ります。たくさんの謎を残したままの結末なのか、あるいは作品のそこかしこにカギは隠されているのかはわかりません。こんな結末を用意するとはなかなかチャレンジャーな作家さんです。かなり好き嫌いのわかれるところだと思います…でもワタシにはスピード感が合っているというただその点で4つ★です。機会があればもう一冊!という感じのワタシにとってのニューフェースです。

  • 何時もながら、小路さんの作品には驚嘆されてしまう!
    初めから終わりまで淡々と物語が語られていく。あまりにカラリとしているので誤解されやすいが、物凄く緻密なバランスで構成されているのが驚きだ!
    トーマス・マンの小説をよく連想する。
    要人警護の警官が負傷して、治療中に生き別れた母の里を訪ねる。母はすでに事故死していて、墓参りが目的だが、とんでもない事件に巻き込まれる。
    自分の一族の隠された謎と、そもそもの負傷事件の謎が一つに繋がる。一歩間違えると大事件に成るとこが、小路さんがいつものように手際良くマジックを物語る。この手際がたまらなく一気読み。ファンならではの醍醐味だ。

  • 「守る」とは
    【内容】
    負傷したSPが、ほとんど縁のなかった母の墓参りに行くとそこには自ら座敷牢に入った異父弟がいた。
    そして、次々に、というほどではない生暖かい脅しのような事件が起こり始める。
    【感想】
    雰囲気ほど大層な事件ではないが何をどうすれば大切なものを守れるのか、というあたりが主眼かと。(2015年01月03日読了)

  • 突然異父弟がいるって知らされたら、びっくりするよね。

  • 物語が動き出すまでが長いが面白く読めた。ところどころに出てくる風景の描写が綺麗で作者の北海道愛がうかがえる。
    ただ事件の真相が推測だけで確たる証拠が無いってところはミステリとしてどうなんだろう…。

  • 2014.12.10読了
    小路さんのこの系は、私はもう読まなくていいかな。(図書館)

  • 人を動物に例える表現が好きー!イメージしやすく、行間のその人の動きまで想像できる。

    曖昧なラストも、これはこれでいい。曖昧なままで、すべてを受け入れるのがこの物語の主人公の選択である、というところまでがこのお話だ。何から何までつまびらかにすればいいというのは、読者の自己満足に過ぎないだろう。

    初めての小路作品。別のお話も読んでみようッと♪

  • 小路幸也氏らしくミステリーなんだけどちょっとほんわかした文体なので少し軽目な仕上がり。
    真相はお金の力を使ってうやむやなのが残念。
    やはり小路幸也氏にはバンドワゴンシリーズのような作品を期待してしまう。

  • 北海道〈来津平町〉を舞台に数々の謎を紐解く

    町自体も謎めいていて
    実際にあったなら訪れたいと思いました

  • SPの主人公が事故死した母の墓参りに行く。そこから起きる謎の解決。ラストがはっきりしない分モヤモヤが残るな。
    2014.11.18

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

小路幸也の作品

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