日本‐喪失と再起の物語:黒船、敗戦、そして3・11 (下)

制作 : David Pilling 
  • 早川書房
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本棚登録 : 181
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152094957

感想・レビュー・書評

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  • 有名無名を問わず、あらゆる階層の日本人への膨大なインタビューと、詳細な情報に基づき、著者の巧まざる好奇心の赴くままに、日本と日本人を論評した日本文明論。
    失われた20年以降、自信を無くした日本人に、ちょっと楽観的かもしれないが、希望を持たせてくれる著述に好感を持ってしまう。
    経済的衰退は避けられないかもしれないが、国民一人当たりで計算すると、現在でも中国人より平均して八倍裕福である、と著者は、励ましてくれる。そして、「日本が非欧米圏の中で最も早く近代化に成功し、先進国の生活水準に追いついたという点で卓越したモデルを提供している事実に変わりない。」と述べる。
    さらに著者は、あとがきでこう助言してくれる。
    「日本が歴史の鏡を通じて、自国が最も『美しい国』であった時代を振り返ろうとするなら、最近、右派の一部の人々があれほど賛美している帝国主義の時代ではなく、1880年代や1950年代に目を向けるべきではなかろうか。」と。
    日本のことを、本当に真剣にに考えているリーダーたちに、ぜひ読んでもらいたい本の一冊ではないか。

  • 今でも思い出すとしんどくなるけれど、こうやって読むことで少し客観化できたかもしれない。

  • 上巻ご参照下さい。

  • ノンフィクション
    歴史

  • 171007 中央図書館
    ジョン・ダワーの『敗北を抱きしめて』のオマージュだろうけれど。政治以外の分野の視点は、やや弱い。

  • 読後の感想は上巻に記載。

  • 相変わらずやや偏った客観性だった。
    なんとなく疲れてきた。

  • 下巻では、高齢化、ロスジェネ、歴史問題、ジェンダー問題と、意見も分かれ且つ非常にデリケートな社会・政治問題へと切り込んでいく。様々な人とのインタビューや論評を元に書いていくが、全体的には中道左派寄りの人々の意見に好意的・近年勃興してきた「ナショナリスト」には手厳しい。著者の日本語版あとがきで書いている通り、「日本の内部から徹底的に調べたり、考察したりしようと努めたが」あくまで本書は「部外者の視点で」「他国の人間の目に日本がどのように映っているか」を表現している。

    だからこそ面白かった。

    ジェンダー問題については他国視点というより「女性視点」が強調されており、そしてちょっと「偏り過ぎじゃ・・・」と思うが、男性としては「女性からするとこういう社会にみられている」と襟を正すべきか・・・

  • FTアジア編集長著、原書はBending Adversity - Japan and the art of survival。エコノミストやタイムズ紙などが大絶賛するだけあって、戦前、戦後の歴史、経済、文化、社会などを表面的な事象にとどまらず、ジャーナリストらしいインタビューを踏まえて非常に明快にまとめられている。
    日本人としても、改めて自分の立ち位置について深く考えさせられる素晴らしい一冊。

  • FT紙記者の日本論。日本人は日本論、日本人論が好きだと言われるが、日本を客観的に描いた、この本はやはり素晴らしい。
    取材力、筆致ともにジャーナリストの力量というのは量り知れない。
    訳文も読みやすい。
    記憶すべき箇所は多いが、1点だけ。
    日本が先の対戦で、自らを侵略者の立場に置けないのは、戦争が広島の原爆のように、自らが被害者となった記憶と分かち難くなっているからと説く。読んだとき、暫く視線が止まった。

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