- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152095046
作品紹介・あらすじ
〈第二回ハヤカワSFコンテスト受賞作〉「死後の世界がない」ことが証明された時代。ミクロネシアを訪れた学者ノヴァクは、死出の舟を造り続ける日系の老人と出会う……驚嘆の文化人類学SF。
感想・レビュー・書評
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時間と視点が複雑に混ざりながら進む物語は分かりづらくもあるが、失われた死後の世界が再びたち現れる話しとして興味深く読んだ。どう評価して良いかうまく表現できないのだけれども、読後ずっと音が鳴っているような物語世界の存在感がある。
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すごい!これはすごい!!すごくおもしろかった!!なんだこの興奮!!
『宗教と死後の世界を否定する』とは何だ。
まずはそこから、作者が描こうとする世界を掬い上げるために読み進めた。
叙述された今があれば、記憶の断片化がなければ。
『帝王の殻』のPABの廟にも似て。
「利他的なことこそマクロな意味での利己的行動」ミームはミームのために。
人間は、遺伝子を運ぶ機械であれば、ミームを運ぶための入れ物であるのか?
地獄も天国も、すべて人間の頭の中にあり、でもだからこそ、死者の国は頭の中に作り上げられた概念。
何度も意味づけが覆されたり上書きされたり、驚き息をのむ瞬間があったり…すごい本だった。
ぜひ再読したい。 -
結局ニルヤの島に行く、ということは何だったのか?
もしも、現実世界でも死後の世界が否定されたとしたら、今ある宗教は意味を無くしてしまうのだろうか? -
主観時刻の叙述のごとく入り乱れる時系列と、並列に語られていく複数人の主観が自分には難しく、混乱してしまった。
5章ぐらいかぐらいからやっと飲み込めて、そこからは一気読み。 -
なんかあかんかった
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断片化・時系列バラバラの物語が、少しずつ編み交わり、全体があらわになっていく感がたまらない。
のめりこんだ!多分これからも何度も読むと思う。
自分でも全部を理解してないと思うけど、それこそ死ぬ数秒前くらいまでにわかればいいだろう。 -
主題はとっても興味深かったけど、なかなか難しい本だった…
生体受像の発達により、人生の全てを叙述できるようになった世界。いつでも死者のログにアクセスできる時代において、人生のバッファとしての「死後の世界」は消失した。
しかし、ミクロネシア経済連合体では死後の世界を主張する新興宗教が興る。
ニルヤの島信仰。血縁に頼らない他者とのつながり。他者への共感と文化の共有。
人間は遺伝子を運ぶ機械、ミームを運ぶためだけの容れ物?
文化は、規範は、他者と溶け合うことを通じて継承されてゆく。
どれだけ自己の実在性が確保されたとしても、他者がいる限り、人間は孤独からは逃れられない、ということだろうか。
救いとしての死後の世界。
チェスのパート、重要だったんだけどそもそもチェスのルールも分からないし、目が滑り気味だった。悔しい。
行ったりきたりでなかなか流れが掴みづらいのだけど、最終章「結合」、ゾワッとする。
SFをしっかり読める素地と理解力がほしい。
南の海に浮かぶ島々の情景描写が鮮やかでよい。SF×南国、とってもいいな… -
〉いずれ全ての私になる彼女と出会う私は、その街でいずれ全ての彼女となる私と出会う彼女に出会った。
みたいな文が頻出する和製SF。第二回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。
普通なら悪文過ぎて手に取れないところだけど、わざと書いてるからまあ…と思ってがんばって読みました。構成も複雑で人称主体もコロコロ変わるので、誰が誰やら、集中力を全部注ぎ込まないといけないハードな作品でした。めちゃくちゃ時間かかった。1ヶ月も使ってしまった。
受賞作って、チャレンジングな作品が選ばれがちな気がする。
ミクロネシアを巨大な橋が結んでミクロネシア経済連合体を作ったり、模倣子(ミーム)コンピュータとか、科学が死後の世界を否定したり、SF的に面白いガジェットいっぱいで良かったけど、読み返す気力は出なかった…。 -
ニルヤの島 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)