機龍警察 火宅 (ハヤカワ・ミステリワールド)

著者 :
  • 早川書房
3.76
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本棚登録 : 413
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152095091

作品紹介・あらすじ

由起谷主任が死の床にある元上司の秘密に迫る表題作、ライザが特捜部に入る以前を描く「済度」、技術班の活躍を描く「化生」など至近未来警察小説シリーズのこれまでに発表された全短篇八作収録

感想・レビュー・書評

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  • 田舎町で育った自分にはいくつになっても都会は恐怖の対象であります

    なにしろ人が多いのが無理
    東京で満員電車に乗ったら10回のうち18回は痴漢にされると聞いてます
    恐っ、東京恐っ

    そして満員電車といえばあれも恐かったなー
    あの自動改札がばーっと並んだ改札口
    こちとら自動改札どころか駅員だっていない駅(いわゆる無人駅)の方が多いような沿線で育っとんねん!
    あんなあほみたいな人の流れに押し出されてほんとに目指してた出口かどうかも不安な状態でスムーズに通れるかいっての!
    もちろんビーっていうブザーとともにゲートは閉じたまま、原因不明、後ろのサラリーマンの刺すような視線…慌てふためく自分…そして…

    『自動改札 跨ぐ』なんちて

    さて『機龍警察 火宅』です

    シリーズの登場人物たちの過去や現在を綴りその魅力や謎にせまる短編集です
    読めば必ずシリーズに深みが加わり面白さが増すこと間違いなしですがそれぞれの感想を書くのはめんどくせーので(言い方!)
    気になったところを一つ

    巻末にある収録書一覧です
    ミステリマガジンだったりSFマガジンだったりw
    早川書房さんもどちらか決めかねてるのかもしれませんね
    私がビシッと解決しましょう!

    どっちでもよろしい!(解決してない)

    いやーさすがに目の付け所が違うね!って誰か言って下さい


    …ちなみに自動改札跨いだ件は跨いだあとちゃんと駅員さんとこ戻って足りなかった分払ってますからね!(原因不明違うやないかーい!)

    • 松子さん
      ひまさん

      『いやーさすがに目の…以下略』笑

      んー、ずるいっ、この感想はずるいっ
      面白すぎてずるいぃぃぃぃーーー‼︎

      あぁ、わたしにも笑...
      ひまさん

      『いやーさすがに目の…以下略』笑

      んー、ずるいっ、この感想はずるいっ
      面白すぎてずるいぃぃぃぃーーー‼︎

      あぁ、わたしにも笑神様おりてこーい!笑
      2022/07/27
    • ひまわりめろんさん
      ダークさん
      まつつん
      どうもありがとう!

      誰も言ってくれなかったらブクログやめるまでありました(さらっと嘘)
      おかげでブクログ続けられます...
      ダークさん
      まつつん
      どうもありがとう!

      誰も言ってくれなかったらブクログやめるまでありました(さらっと嘘)
      おかげでブクログ続けられます
      二人は生命の恩人です(さらっと嘘②)
      嬉しかったよ!(これはほんと)
      2022/07/28
    • darkavengersさん
      ひまわりめろんさん

      生命の恩人だなんて!
      その後どこかの中国人傭兵みたいに「俺たちは兄弟だ!」なんて言われるのではないかとドキド...
      ひまわりめろんさん

      生命の恩人だなんて!
      その後どこかの中国人傭兵みたいに「俺たちは兄弟だ!」なんて言われるのではないかとドキドキしましたよ(笑)
      2022/07/28
  • 機龍警察シリーズ短編集。
    長編シリーズの短編集というと、スピンオフの軽い内容なイメージなんですが、これはがっつりと重厚で、どれも素晴らしくおもしろかったです。
    登場人物たちを再度掘り下げると共に、本編への深い理解に繋がります。
    シリーズ愛読者には嬉しい。


    【火宅】仕事一筋の独身で、今は病気で弱っている男が新築の家にたった一人というのが悲しい。
    相変わらず疎まれる特捜部を描きながら、一転してそこに別の警察内部の闇を描きました。
    捜査のノウハウを教えてもらった上司に、その成果をこういった形で示してしまうという切なく渋い演出が光ります。

    【焼相】短編ながら非常に緊迫した立てこもり事件を描いています。次々と犠牲者が出る展開は戦慄。シリーズの過去の事件後、各部署がどのような状態になったか内部の力関係の描写もおもしろい。
    立てこもり犯に挑むかつてのテロリスト・ライザの変化と、それに気づく緑の姿が印象的。

    【輪廻】犯罪組織の幹部が何をしに日本に来たのか?という謎に驚くべき現実が明かされます。
    真面目に勤めている日本企業のサラリーマンが、世界の紛争に深く関わっているという事柄もショックですが、やはりその兵器や使用方法が怖い。恐ろしい未来を予感させるものの、現状で出来ることが何もないという厳しい現実を見せつけられます。
    ミステリアスな微笑みを浮かべる黒人に底知れぬ闇を感じる深い物語でした。

    【済度】IRFから逃走し特捜部に入る前のライザの物語。死に誘われながらも、贖罪の道を模索し流れるライザに謎の男からの依頼が舞い込む。
    電話だけの謎の依頼人とのやりとりや、ライザが単独で行動するのはスパイアクション小説みたいで楽しい。電話の相手の正体には驚きました。

    【雪娘】遠い地、ロシアでかつてあった1つの殺人事件が、月日を経て日本の事件と重なる様が見事。
    殺人事件の方法には大きな激情を感じますが、それとは反対の少女の静かで儚い姿には、言い知れぬ不安と悲しさを感じます。
    最後まで事件を追えなかったユーリの刑事としての心残りにも切ないものがありました。

    【沙弥】由紀谷の高校時代のお話。前にもちらりと出ていた、由紀谷が警官を志すきっかけとなったエピソードを掘り下げています。
    荒れた青春時代の中で、一つの事件を切っ掛けに友情と希望が描かれ瑞々しくも悲しい。
    由紀谷を取り巻く大人たちはどうしようもない人間も多いのですが、警官が最後に素直に謝り、由紀谷がそれを素直に受け入れたシーンが良かった。
    叔父に何も言えず、自分でも決心がつかず、それでも友人の意志を胸に刻んだラストも感慨深いです。

    【勤行】個性的な面々ばかりの特捜部にあって、家庭を持ち出世を気にする普通っぽさが貴重な宮近理事官。
    人間味のある姿に親近感が沸きます。
    特捜部を全体的に見たお話で、誰もが人知れず一生懸命なのがユーモアを交え描かれており、みんなをお応援したくなる楽しい1編です。
    庶務の桂さんがやっぱり素敵。

    【化生】同じ捜査主任でも由紀谷にスポットが当たる事が多いので、ここで夏川が登場したことが嬉しい。
    研究内容については予想できるものの、沖津部長が珍しく焦る姿が事態の重要性を感じさせます。
    タイムリミットが間近に迫っていることにふと気付くような事件で、今後の特捜部にシリアスな展開を予想させる締めの1編となりました。
    普段感情が読めない沖津部長が、夏川との会話で部下への信頼と尊敬に溢れていて素晴らしかった。

  • <オ>
    シリーズ長編が続々発刊されてゆく途中で『短編集』としてサイドストーリーを綴るところも今敏先生の某作品へのオマージュが感じられる。何度も書くが僕は決して揶揄はしていない。むしろ歓迎し拍手を送りたいほどだ。今短編作達も非常によくできていて面白いので諸兄諸姉の皆様もぜひ読んでみてください。

    そして本作はシリーズ長編の様にこれでもか!という人物背景成り立ちの込み入った説明部分は短編ゆえの紙面の都合wで存在しなく大変にシンプル。読みやすい。諒衛君の作品はその込み入った説明部分に読み応えがあるのでそれはそれで良いとしてこの短編集ではそういう部分を省いてシンプルなストーリー建てで勝負している。これもまたヨロシイ。

    しかしそれにしてもこうやって短編になっても事象の記述に過多な修飾美麗を施す諒衛君的文章術はそのままなのだなぁ。あるときはその美麗修飾語がモノガタリに感動をもたらしてくれるのは確かだけど,こうもしつこく続けられると段々と食傷気味になってゆく。なにも飾らない表現もたまには使ってみては如何であろうか。存外に新鮮ですぞ。諒衛先生君。あっ僕もまた比喩表現的感想文になろうとしている。すまぬ。


    なんだか後半は批判めいた内容になってしまったけれど本作基本むちゃ面白く僕の場合はしばし感動感涙してしまうです。しかも本作品集の初出は異なる雑誌や媒体でのことでしかるにどの作品も似通る事のない個性豊かな内容となっています。マジで面白いです。読書SNSの諸兄諸姉皆様 と云う具合に面白い作品ですのでどうか読んでみてくださいませり。

  • 短編集なのでサクッと面白い。いろいろな登場人物が主役。

  • #読了。機龍警察シリーズ 短編集。8編。一番面白かったのは「勤行」。この話は現代の警察小説としても楽しめる作品。

  • 色々な登場人物たちの短編集8話。タイトルにそれぞれ仏教用語などがついている。
    火宅 由起谷。警察の暗部。
    焼相 キモノ持ちで子どもたちを人質にした立てこもり事件を色々な人物の目線で。
    輪廻 少年兵の悲惨な現実を由起谷や夏川の捜査や姿の取り調べから。
    済度(さいど)菩薩が迷いの境界にいる衆生を教え導き、悟りの彼岸へ救い渡すこと。ライザが日本に来る前の出来事。過去の自分を思い出しながら逃げ、ある姉妹と交錯する。
    雪娘 スネグーラチカ、ロシアの少女の精霊。ユーリ。日本でのある事件と、ロシアで担当した事件が重なる。
    沙弥(しゃみ)悪を止め悟りを求める意の梵語の音訳。由起谷。未亡旅団で語っていた無二の友人福本とのエピソード。
    勤行(ごんぎょう)時を定めて仏前で読経、礼拝などを行うこと。おつとめ。宮近が官僚の立場で国会答弁を作成し、娘の発表会に行く約束を果たせる…か、割と人間味ある話だった。面白かった。
    化生(けしょう)母体や卵からではなく、因縁や業力によって忽然と発生すること。とある人死事件の捜査の結果から、恐ろしい未来を特捜の皆が予感する。緑が活躍。

  • 短編集なので事件の規模や各人のエピソードもそれなりの規模に収まっているけれど、本編よりも人間臭さ満載の登場人物もいて満足度が高い。宮近の好感度爆上がりです。「化生」は上手いこと言うなあ。

  • 5冊目は短編集。隙間を埋める感じでした。

  • 報われたな、宮近

  • 機龍警察の世界観の中で、各々の章に仏教用語を冠し、それぞれがすべて味のある見事な短編小説となっている。本当に上手い作家さんだなぁ、と実感した。沖津、ライザをはじめとして、キャラクターがみんな良い。このシリーズ、はまってしまいそうだ。

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著者プロフィール

1963年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞、19年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞。近著に『暗鬼夜行』『奈落で踊れ』『白日』『非弁護人』『機龍警察 白骨街道』などがある。

「2021年 『ビタートラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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