いつかぼくが帰る場所

  • 早川書房 (2015年3月20日発売)
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感想 : 8
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本 ・本 (472ページ) / ISBN・EAN: 9784152095299

作品紹介・あらすじ

人類の過半数が流感で死んだ後の近未来。愛犬とともに孤独に暮らす男は、ある日無線から知らない人の声を聞く。人間の温かい世界がまだ残っているのか……彼は希望を抱いてセスナ機で飛び立つ。

感想・レビュー・書評

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  • 幻想的な雰囲気の表紙は新潮文庫の宮澤賢治のシリーズのよう。

    疫病のため世界は崩壊してしまった。わずかに生き残った者たちはそれぞれの地にアジトを作り生きているが、映画マッドマックスのような自治組織は作れていない。出会った他人はすべて襲撃者とみなし、射殺している。時には子供も。ルールが無い暴力世界では4~5人のグループが限界なのか。

    その中でも新たな出会いから新たな家族が誕生する。
    世界の再生を感じさせる2機の飛行機が暗示的に書かれるが、著者は世界を描こうとしているのではない。主人公ビッグヒックの個人的な再生の物語だ。ビッグヒックが操縦するセスナの飛べる範囲が彼の世界のすべてで、彼の再生はセスナの飛べる範囲の再生につながる。

    終末 暴力 銃撃 出会いと再生 神の存在
    文学のためではなく、映画のための物語

  • 星とセスナの表紙に惹かれ読んだけど気持ちのいいストーリーだった。マップ見ながら飛んでる気分になれたのも良かった。

  • 文学

  • 俺的には超絶お気に入り本!舞台はパンデミッック後の人類以外も死に絶えつつある終末世界。銃社会のアメリカならではだからだよね?日本だとこうはならないよね?と信じたい荒みきった世界。手記スタイルで綴られる主人公の心根、犬への想いの一途さに胸を打たれる。いやぁ、面白かった!

  • パンデミック後のアメリカでサバイバルしているヒッグが主人公。相棒の愛犬ジャスパーと変人のガンマニアの男と暮らしている。そのため内省的でとりとめのない短い章だての文章が続いていて、初めは若干集中できない。だがある事がきっかけで物語が動き出すと俄然面白くなる。ひとりひとりの人物描写が的確で、リアルに感じられるのが良い。ラストはちょっとお気楽過ぎる気もするけど。ヒッグとジャスパーのつながりの所は涙なしには読めない。表紙の絵を見て、さらに涙。

  • 原題:The Dog Stars

  • サバイバルものなのだけれど、詩的な表現で静かな印象
    たっぷり時間があって ひまをもてあますような時間に、お茶をいただきながらもう一度繙いてみるのもいいかな
    なんて思った

  • 世界中に疫病が蔓延し、ほとんどの人が死に廃墟となった世界。
    主人公は、奇跡的に病気に侵されなかった男。
    妻は、病気で失った。
    乾いた空港に住み、セスナを飛ばすことによって外界と繋がりを持っている。
    その、乾いた、空虚な世界が、リアルに迫ってくる。
    その空港に暮らす仲間、感染しているが生き延びている家族。そして、男はさらに仲間を探して飛行機を駆る。

    ほとんどの人が死に絶えた世界。
    その世界に、現実のチェルノブイリ周辺の光景が重なる。
    乾いた大地に、津波と放射能の両方にさらされている被災地の風景が重なる。
    ほとんどの人が死んでしまった世界。
    そこに生き残った、少ない人類が生き続けている世界。
    そんな世界が、克明に描写されている。

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