エピローグ

  • 早川書房 (2015年9月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784152095619

作品紹介・あらすじ

現実宇宙を制宙するOTCの構成物質を入手すべく行動する特化採掘大隊の朝戸連と相棒のアラクネ。二つの宇宙で起こった連続殺人事件の謎に挑む刑事クラビト。宇宙と物語に何が起こってるのか?

感想・レビュー・書評

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  • 膨張するデジタル宇宙で起こる法則の、および、ストーリーの主導権争い。朝戸連、榎室南緒と榎室春乃、アラクネとその妻。「生命とは、変更を続けるデータである。」一般読者には比較的読みやすいだろうが、そのおかげで、この作者の作品として最上だとは言えないものになっている。抽象画に具象的題材を持ち込むような愚である。編集者にでも圧力をかけられたたのであろう。
     この作者の主題は、概念と現実の関係であり、そこに日常認識が入ってエピローグとなる。概念は理論物理学的概念、現実は記号で記述されるべき物理的現実。ペンローズ的ではある。
     移動図書館で借りて。

  • その表現力は、現代のシェイクスピアだと思います。
    考えるのではなく、感じる物語。

    視点、時間、空間(宇宙)、物語が実に不安定、超越的知性によるストーリーラインの改竄、改訂。
    紙面上で行われる形而上の戦いがなんとなく面白い。文字通り。

  • 吃驚するくらい意味が分からなかった。
    これはもう、現生人類に向けて書かれたものはないのかも知れない、と思えるくらいわけが分からなかった。
    では誰に向けて書かれたものなのか、というと、これは「次の文明に向けた神話」なのではないか、と思うのである。

    例えば現在の文明が何らかの原因で滅亡したとして、その何万年後か何億年後か、あるいは何日後かに新しい文明が成立したとする。
    その「次の文明」の霊長たる知性体に向けて書き残される現文明の終章、すなわちエピローグである。というわけである。

    昔々、私たちはこの世界の成り立ちを神話という物語に求めて、物語の延長としての現実を生きていた。物語から現実への次元のシフトがこれであり、その先には現実から物語への回帰がある。
    プログラムされた言語による物語中の人格が、自らを「肉体を持つ生命体である」と認識して増殖し、物語の中で形成していく文明。それが次の文明の姿なのかもしれない。
    彼らにとっての創世記はもしかすると、こんな小説なのかもしれない。

  • 未来の宇宙のSF小説。全てが難しすぎて最後までよく分からず…

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000058414

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/


  • 円城塔の作品は難解というか、時間をかけて読み進めていかないと迷子になってしまう感があるので、さすがに長編となると読み進めるのが若干しんどかったかな。
    個人的には、人類滅亡の描写がとても好きだった。人類の理解を超えた美しさをもった世界を文章だけでここまで表現してしまうのはやはり素晴らしい。読んでいて本当に世界の美しさを感じとれた。

  • よくわからないですね、と言ってしまえばそれまで。
    https://ameblo.jp/sunnyday-tomorrow/entry-12118505189.html

  • エピローグ

  • 円城さんを読んだのは初めて。以前王城舞太郎読んだ時感じたものに近いものを感じた。SF?ミステリ?の最近のトレンドなのかな…?ナンセンス文学に片足突っ込んでるというか…。

    ストーリーラインなり叙述トリックなり出てくる単語が、《こちら側》を意識させて物語の中の話をしているやら外の話をしているやら…みたいな…。これはこれで面白かった。

    高島平図書館。新刊棚。

  • ラブストーリー恐るべし。

  • どういう頭の構造してたら、こういうSFが描けるのだろうか。穿った言い方をすると、専門用語を”それっぽく”並べてSFっぽさを演出しているだけなんだけど、その”それっぽさ”が神がかっている。意味不明な連続(?)殺人(?)事件が、荒唐無稽であるにもかかわらず一本の線で説明される過程はお見事。だいぶ筆者に踊らされている自覚はある。

  •  人類を脅かす知性体との戦闘が行われている世界と、仮想空間に構築された世界を行ったり来たりしながら、物理法則を無視した殺人事件を捜査したり、多元宇宙の創造者に出逢ったりする話。
     混沌とした世界観の中で、読者がすがりつきたくなるような相棒ロボット(アラクネ)がわかりやすい形で登場するのも、作者の計算のうちか。
     なにしろ円城塔氏のSF作品なので、まともにストーリーを理解しようとすると頭が痛くなるばかりであり、文字の羅列が紙の上でどのような芸当をできるのか、ひたすら流れに身を任せるしかなかったが、不思議と途中で投げ出す気にはならなかった。

  • 心地よい「ちんぷんかんぷん」は、次第にただの「ちんぷんかんぷん」になり、いつしか苦痛の「ちんぷんかんぷん」となる。同じ「ちんぷんかんぷん」なのに読み進めるうちに形容詞が次第に変化するという貴重な体験をさせてもらった。という意味では読んだ価値はあるのかもしれないけれど。

    ここには新しいビジョンがある。
    でもそれを推進するエンジンはなかった。

    円城塔に長編は向いてない。

  • 衝動買い!

  • 特異点後

  • 今は無理だけど、10年後、20年後に、この小説を面白い(ないしは、つまらない)と思える程、言葉や時間や空間について分かる様になっていたらいいなと思う。

  • わかるかわからないかで言うとわからない。でもなんか読んでいるとときどきすごくわーおもしろいなあっておもって、わかってきたような気がしたところでわからなくなる。はぐらかされる。でも、結局これってただのラブストーリーですよね。違うの?

  • う~ん。

  • 正直、頭の中で映像が構築できませんでした。
    誰かに映画化してほしいな~と思います。
    最後まで読み切ることができる内容ではあるのですが、内容が「もやもや」してて、読後の読み切った感があんまりないので星2つです。
    多重世界と多重認識の層を重ねて展開されるので、「人間は関係代名詞が7つ以上あると文章が理解できない」に近いレベルの内容ではないでしょうか。
    ある意味、作者は頭がいいのだろうな~、と思いますが、読者ではついていけない人が多いのでは?という気も。

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著者プロフィール

1972年北海道生まれ。東京大学大学院博士課程修了。2007年「オブ・ザ・ベー
スボール」で文學界新人賞受賞。『道化師の蝶』で芥川賞、『屍者の帝国』(伊
藤計劃との共著)で日本SF大賞特別賞

「2023年 『ねこがたいやきたべちゃった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

円城塔の作品

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