- Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152095763
作品紹介・あらすじ
国民を管理する首輪型嘘発見器の除去を生業とする少年にはどうしても外したい首輪があった……本年度小説推理新人賞に輝く超大型新人の二つ目の栄冠となった第五回アガサ・クリスティー賞受賞作
感想・レビュー・書評
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首輪型嘘発見器の装着が義務となっているディストピア、首輪除去の裏稼業で暮らす少年フラノの人生を追う小説です。
16歳~18歳のフラノの時間を右往左往する構成で、過去の描写を読んでいるとまるで自分の記憶のような既視感がありました。
苦しみや悲しみに溢れる社会が描かれていますが、彼は死んでも構わない連中を相手に仕事をする割り切った生き方を選んでいます。
しかし、首輪や彼自身の秘密が明らかになり…。
読みやすい淡々としたフラノの語りで進みますが、滑るように急にやってくる衝撃的な内容にハラハラさせられた一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
嘘をつくと、相手にバレてしまう首輪をつけていることが普通になった世界で、その首輪を無効化する技術を持つ少年の話。
読み初めて、半分くらいまでの感想↓
嘘がバレるのに嘘をつく人が居ることが理解できなかったり、16歳と18歳の時系列を行ったり来たりするので、期間を空けて忘れてしまうこともあった。
半分から最後まで↓
謎だったものが少しずつ明かされ、ストーリーが徐々に殺伐としていくのが良い。嘘が絡み合って、読んでいる自分も何を信じて良いのかわからなくなった。
少しだけ厨二要素を感じ、恥ずかしくなるところもあった。
良いと思える演出や、展開が詰め込まれていて凄く好き。
ただ、話のまとまりがあんまり…と感じた -
今年中に読みたい!とブックリストに登録していた本。無事読み終わりました。
カバーイラストが片山若子さんのものだったことと、「うそつき、うそつき」という何か心に訴えかけてくるような感情的なタイトルが気になったのです。
とても読みやすく面白かった。私はこの話かなり好きですね。ただ、ディストピア小説だけあって辛いエピソードが多いので、そういうのが苦手な人は読むの苦痛かも。
主人公・フラノの十八歳時と十六歳時を章別に交互に語りながら、嘘発見器となる首輪を身につけることが義務付けられる息苦しく狂ってしまった社会と、その社会の中で様々な理由で首輪を外したいと望むひとたちの背景を、首輪除去人であるフラノの目を通して描いていく。
…首輪装着が義務付けられている社会なので、もちろん首輪除去はここでは犯罪である。
ミステリというよりSF色の強い本作だが、練り込まれた世界観、特に首輪についての秘密や構造、設定、フラノとその周辺人物を巡る残酷なまでの嘘や真実が明かされていくところはたしかに広義のミステリと言えるほど、早く続きが知りたい気になると強く引き込まれた。
そして、読み終わってもフラノが最後まで混乱していたように、誰の何が嘘で真実なのか、わからずじまいだった。
でも消化不良のわからずじまいではなく、フラノの語りを通して、この登場人物はこの時どういう思いで話していたんだろうとか、自分で考えてみたいと思わせてくれる類のものだったし、作中でわからずじまいなものがあることはごく当たり前な結末なのだと思った。
嘘か真実か?だけでなく、もっと広い範囲で、誰も真に人の心を理解することはできない。
あ、最後に。
フラノは児童養護施設で育ち、外界とあまり接触しない、そして世知辛い稼業をしているせいか大人びている一面もあるが、年齢通りの正義感を持っていたり、身近な人には心を開きがちなところがあったり、やはり等身大のティーンエイジャーだったのだと思わされる。その面では中高…大学生が読んだらどんな感想が出てくるのか気になる。
ーーー※数行下からネタバレ含む雑多な感想
ネタバレ回避にご注意を。
最後までフラノがどうにか助かってくれ…と思いながら読んでいたので、ラストはああ。避けられなかったか…という気持ち。ただここまで作中で人が死にすぎていたし、どこかこの結末をわかっていたからそこまでショックではなかった。
サクラノが「私も好きだよ」と言った時、首輪が赤く光っていたのは、サクラノの告白を聞いた後だとまあそうだろうなと合理的に思う反面、首輪の特質上、決してサクラノがフラノのことを完全に嫌っていたのではなく、フラノに対してのさまざまな感情の揺れ動きで赤く光っていたのだと、思いたい。甘い考えではあるが。
ほんとにフラノが助かる道はなかったのかな…と考えてしまう。そして師匠がとてもズルい人間だと思ってしまう。口では「スタッフのこどもたち」のことを殺したいわけではない、フラノの身を案じていると言っているが、それならなんでこんな辛く救いようのない稼業を技術を、たかだか十数歳の少年に事実上選択権もなく託してしまったのかと。本当にフラノの身を案じるなら、首輪関連からは完全に遠ざけておくべきだっのだ、ズルい。と思ってしまう。年端も行かない未成年に判断を委ねた上で息子を殺したのは許せないとかいうし。自分だけ何もかも知り得た上で息子が死ぬのは嫌だとか今更だろう、なんで自分の優位性わかった上でそんなフラノのことなじれるの?と思ってしまった。というか首輪のシステムを知った後となっては、除去人とかいう職業自体必要ないだろう、なんで首輪除去の仕事をフラノに斡旋していたのか謎だ。いやまあ除去した人の家族への…という処置のためのサンプル増やしだったのかもしれないけど。
師匠自身が首輪除去の仕事をしていたのも、必要だったのだろうか?それとも唯一自我と記憶を残して生き延びた開発スタッフである師匠には、合法的にそういったことができたかもしれないし、命じられていたかもしれない?
ピッピについては…師匠以上に謎だらけだ。
レンゾレンゾの攻略法を知っていたことも含め、ピッピの母親が記憶を改ざんされる前に娘に全部託していたとしても、知りすぎてはいないか?と思ってしまうので。
もちろん彼女が聡明であったことと、行動力を手にしてから情報をかき集めていたからにしても…この後彼女はどうするんでしょ。話がほんとなら師匠を殺しに行く可能性が高いが。
雑多だからいやそこ違うぞってところがあるかもしれない。お許しを。 -
ディストピア。首輪型嘘発見器で管理された社会。
主人公は非合法に首輪除去する少年。
取外不可能な死の首輪を除去する方法を探すが、嘘に翻弄され絶望的状況になる。
嘘がない社会は成り立たないし、人間関係も壊れると思う。 -
嘘はいけない、嘘をつくことは悪いことだ、嘘のない世界を目指そう。そんな言葉が嘘っぽく思えるくらい嘘のない世界は殺伐としている。嘘のつけない日常ってこんなにも生きにくいものなのか、と。
国民の管理のために嘘発見器が首に取り付けられている世界。外そうとするとそのしかけにより首がしまり死ぬ。どんだけ嘘を怖れているんだ、この国は。詳しいことが描かれていないからよけいに怖い。発見器付き首輪を外す特殊技術を持つ少年と彼の周りに現れる多くのヒト。彼らはなぜ命を危険にさらしてまで首輪を外そうとするのか。嘘と正義と生きる意味、こんな世界に生きたくない。でももしかすると明日のこの国の姿かも、とか。
第5回アガサ・クリスティー賞受賞作 -
主人公は世界と相対しその正体に迫ろうとするある意味で探偵役であるのにも関わらず、大体の答えを他の登場人物が教えてくれ、最後に一つだけ直感的になんとなく答えを悟るだけ、と言う物をあまり僕は「広義の」とつけたところでミステリとは呼びたくない。設定は魅力的なのに、ノワールになるには余りにも人がよく単純な主人公が、流された挙句最後にやさぐれて終わる。これって成長譚なのかしらね。途中までは良かったのに。
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面白かった。
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救いがない
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幼児を除いた国民全てに、首輪型嘘発見器着用が義務付けられた世界が舞台。
苦悩したり、逆境に立ち向かう主人公の闘いを期待したのだが、ちょっと違ったみたい。
あまり心に響かなかった。