ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

著者 :
  • 早川書房
3.55
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本棚登録 : 146
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152095770

作品紹介・あらすじ

個人情報と引き換えに完璧な生活が約束されるアガスティアリゾート。安全と安心に満たされて生きることに、人間存在の自由と幸福――未来の姿はあるのか?

感想・レビュー・書評

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  • アガスティアリゾート
    マイン社が運営するサンフランシスコ沖合の特別提携地区。そこは住人が自らの個人情報(視覚や聴覚、位置情報などのすべて)への無制限アクセスを許可する代わりに、基礎保険によって生活全般が高水準で保証される。
    しかし、大多数の個人情報が自発的に共有化された理想の街での幸福な暮らしには、光と影があった。
    リゾート内で幻覚に悩む若い夫婦、潜在的犯罪性向により強制退去させられる男、都市へのテロルを試みる日本人留学生。
    SFの新世代を担う俊英が、圧倒的リアルさで抉りだした6つの物語。
    そして高度情報管理社会に現れる【永遠の静寂(ユートロニカ)】とは。
    第3回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作
    (あらすじより)

    十二国記後、すっかり冷めてしまった読書熱。
    ようやく回復してきた!
    1ヶ月くらい風邪も引いてたし…

  •  少し心が辛くなるような話が多いが、テーマ性が強く、非常に面白かった。マイン社の技術やアガスティア・リゾートを中核として、様々な登場人物の視点から、多面的に描写していく。キャラクター同士の交錯、そして時代の進行とともに変遷していく世論の描き方が面白かった。
     特に、ゆっくりと浸透していく技術や作中で描写された世論にはリアリティがあって、世界の前提からして違うハーモニーと比べるのはナンセンスかも知れないが、実際に意識の消失が起こるならこういう風になるのかもと思った。
     派手さはないけど、扱うテーマは面白く、情報端末が広く普及した現代だからこそ、身に迫るものを感じた。
     もう少し、SNSを通じた意見の発信(とりわけドーフマンが批判されたときとか)を取り入れるとより地続き感が強まったようにも思う。ただここは、意識して省いたのかもしれないし、あまり決定的に評価が変わる部分でもない。

     SFコンテストの選評がついているのも、個人的には面白かった。

  • 最近出た文庫本の帯にこぞって高評価の評が載っていたので、とりあえず第一作のこちらを手に取る。
    章立てしていたので長編かと思いきや、中身は連作短編集といったところ。といってもそれほど有機的に繋がっているというわけでもないので、もう少しうまくそれぞれが絡み合っていると良かったように感じる。
    ただ内容は一部のSFにありがちな排他的とも言える難解な部分がほとんどなく、いたって読みやすい。評価は保留に近いが読んでいる間は楽しかったので、先の書いた文庫本にも手を出してみたいと思う。72

  • 2019.11 なんか難しくてよくわからなかった。物語に溶け込めず。

  • 進化する機械、即ちAIに様々な危惧を抱く風潮があるけれど、それを扱うヒトの心はどうなるかという声は聞かれない。
    高度に進化したAIによってあぶりだされる犯罪を犯す「かもしれない」可能性。それを信じたヒトが、犯罪を犯さない「かもしれない」可能性を殺す。
    ヒトの心理における揺らぎのようなものを制限し、方向づけてしまいかねない指標をAIは提出し、ヒトはそれを使って自らを固く縛っていく。
    どれほど便利なものであろうともそれは全て道具であり、使う者の心が問われる。
    自律的であり、自由であり、健やかであることに、ヒトはどこまで向き合えるだろうか。

  • GAFAを想定させる会社にすべての個人情報を売り、監視させることで自由、報酬を得る社会を描いたSF連作短編集。
    世界観とそこに悩む人々の心情が良く描けていると思いますが、主人公がそれぞれ異なる連作短編で、作者が描きたいことは理解できるのですが、人間がやや薄い印象を受けました。

  • 短篇で、色々な角度からユートロニカの姿を描く
    終わり方は、古い思想と新しい概念の融合による救いなのかもしれないし、新しさの受容ができない人は古い思想の残骸に頼るしかないという当然の答えなのかもしれない

    もう少し書き込んで欲しかった気もするけれど、クリアで乾いた読後感が心地良い

  • うーむ。うーむ。すでにgoogleにすべての行動がバレてる気がします。

  • 伊藤計劃の「ハーモニー」とアニメ「PYCHO-PASS」を彷彿させる。やはり、両作品の影響があるのだろうか。
    あと、Facebookの騒動が思い起こされる。

  • ‪近未来のサンフランシスコが舞台のハードSF小説。テクノロジーの進歩がもたらしたユートピアのはずの人工都市で苦しむ人々の様子に考えさせられる。でもこれは決してSF小説の中の絵空事ではない。人類がAIの言うことに理由も考えず従うようになる未来はいよいよ現実的なものになってきていると思う。‬

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