黒猫の回帰あるいは千夜航路

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 386
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152095831

作品紹介・あらすじ

パリで大規模な交通事故発生の報を知った付き人は、相変わらず連絡のない黒猫の安否が気になっていた。イタリアで二人の距離が縮まったと感じたのは、勘違いだったのか……待望のシリーズ第6弾

感想・レビュー・書評

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  • 短編連作。無理やり感のある設定、衒学的なセリフ、お粗末なトリックーこれは、いただけないなあ。黒猫シリーズの長編は、まだ読めたが。それにしても、黒猫の付き人への冷淡さには、心が冷える。こんなの恋愛じゃないだろう。

  • 黒猫シリーズ第6弾。パリで起きた事故に黒猫が巻き込まれたのではないかと、心配する付き人…と言うところから始まる、連作短編集。本編では、長編が続き、パリと日本で離れていた2人の関係を描いていたが、今作では黒猫が帰国。2人の距離も縮まり、疑心暗鬼で読み始めたシリーズも、すっかりはまってしまった。ラストからすると、このシリーズもひと段落な感じ。

  • 2回も飛び越えてたんかーい(笑)。とまあ、それはいいとして、今回は1話1話のつながりが少々悪く、ミステリー部分もいまいちだったので、2人の関係を書くためのこじつけという印象が強かった。ただ、2人の仲がかなり進展したという点はよかったと思う(順番はどうかと思うが・苦笑)。ヒットアンドアウェイの堂々巡りから回帰という形をとって、ようやく新しい船出となったのを祝いながら、第2部に進もう。

  • 黒猫シリーズは二人にしかわからない崇高なやり取りが多い気がする。
    それは今も叶っている恋愛関係よりも、間違いなく繋がったのに今は叶わない恋愛関係でこそ儚く確固たるものがある。

  • 短篇集は講義、遊歩が多くて大変!

    2015年に書かれた本書。
    読んだのは2022年。
    今年、キーワードを入力するとコンピューターが書いたとは思えない絵を描くAIが話題になった。
    涙のアルゴリズムを読んで、そんなことを思い出す。確実に、そんな世界になってきている。
    人間性の深化とAIの人間化。
    これを黒猫のように面白がれる者でありたい。

    今回も牛の歩みではあるが、着実に二人の距離が縮まってることに満足感を得た。
    黒猫が姉の冷花に言った言葉。
    ー本当の運命は出会った瞬間にわかるし、そのまま離れないくらい強いものだと思うよ。
    うんうん。

    どうやら次作からはシリーズ新章の始まりのよう。
    またまた楽しみである。

  • 私のテンションの問題かもしれないけど、今回はちょっと読みにくかった。黒猫節は絶好調でした。

  • そして最後は、恋の話。

    文学的 芸術的 哲学的 多方面から織りなす文書で、難解なイメージではあるけれど本当は、全てが日常にあるけれど、意識したり考えていない事。

    パオの作品を元に展開していく推理?と思考や理論。  色々な知識が無いと少し怯む気がするけれど理解の深さは問題にしなければ。

    ただそれが黒猫と付き人の恋の話

    一つの小さなエピソードや小道具がしっかり存在感と意味を持たせてあるとても凝ったものでした。

  • 黒猫シリーズ第6弾。
    パリで大規模な事故が起き、連絡のつかない黒猫を心配する助手。

    今回は黒猫の子供時代のエピソードも。
    牛の歩みのような2人の関係も進んではいる様子。
    素敵なエピローグでひとまず締め括りかな。(続巻も出ています)

  • 『娯楽』★★★☆☆ 6
    【詩情】★★★★★ 15
    【整合】★★★☆☆ 9
    『意外』★★★☆☆ 6
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★★★☆ 4
    「作家」★★★★★ 5
    【尖鋭】★★★☆☆ 9
    『奥行』★★★★☆ 8
    『印象』★★★★☆ 8

    《総合》74 B

  • 黒猫シリーズ第6弾。
    黒猫との関係性が一歩近づいたと見えた前作からあっという間に1年が経ち、無事博士の学位を授与された付き人は、未だに離ればなれの黒猫を思う日々。
    そんな中、パリで起こった事故のニュースを見て心配に駆られていた付き人の前に現れたのは、帰国した黒猫だった。

    「きゃ~、やっと帰ってきた~!」と完全に感情移入して思わず脚をバタバタ。
    これで、二人の仲は一気に進むか!と期待したもののそこはこの二人、なかなか進まないのがじれったい。
    だけど、第1弾からずっ~と見守ってきた二人が、一歩ずつだけど確実に想いを深めている姿に、胸が熱くなる。
    もはやポオの作品に絡めた6つの謎なんてそっちのけで二人のシーンだけを楽しむのは、このシリーズの常です。

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著者プロフィール

1979年、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。ライターとして漫画脚本などを手掛けながら小説の執筆活動を続け、『黒猫の遊歩あるいは美学講義』で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞(早川書房刊)。同作は続刊も刊行され、「黒猫シリーズ」として人気を博している。ほか、『名無しの蝶は、まだ酔わない』(角川書店)の「花酔いロジックシリーズ」、『ホテル・モーリス』(講談社)、『偽恋愛小説家』(朝日新聞出版)、『かぜまち美術館の謎便り』(新潮社)などがある。

「2021年 『使徒の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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