誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち

制作 : 関 美和 
  • 早川書房
4.29
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本棚登録 : 477
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152096388

作品紹介・あらすじ

田舎の工場で発売前のCDを盗んでいた労働者、mp3を発明したオタク技術者、業界を牛耳る大手レーベルのCEO。彼らのたどる道が奇妙に交錯し、音楽産業が根底から覆された過程を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • とても面白かった。
    訳者のあとがきにうまくまとめられているが圧縮ソフトmp3の開発にかかわるドイツの技術者の物語から始まり、世界的な音楽市場を独占するようになったある音楽エグゼクティブの物語と「シーン」というインターネットの海賊版を支配した音楽リークグループの中で音楽の流出源となった男のものがたりが絡み合っている。

    「そういえば」と思い当たることがいくつかある

    YouTubeから主な楽曲がどんどん削除されてつまらなくなった時期があって、著作権の問題が公に議論されるようになった。

    Jpopがチャートを席巻し、「今の若い人は洋楽を聞かないんだな」と思ったことなど。
    ギャングスタラップはリズムで踊れる人以外は英語がわからないと面白くないからだ。

    スザンヌ・ヴェガを知らなかったので「トムズダイナー」を聞いてみた。
    YouTubuにあった、画面にはVEVOの文字があった。

    音楽はライブで聞く人が増えたというのはわかる。録音・録画はいくらでも「キレイ」にできる。ライブでは実力がわかる。世界は変わっていく。

    • miwasekiさん
      読んで下さってありがとうございます!楽しんでいただけてうれしいです。
      読んで下さってありがとうございます!楽しんでいただけてうれしいです。
      2016/11/04
    • magatama33さん
      まさか訳した方に読まれていたとは(赤面)読んだ本を忘れないようにメモがわりにしています。ドイツで開発された技術や洋楽の流通する仕組みなどとっ...
      まさか訳した方に読まれていたとは(赤面)読んだ本を忘れないようにメモがわりにしています。ドイツで開発された技術や洋楽の流通する仕組みなどとっても面白かったです。
      2016/11/04
  • 実に面白かった。90年代半ばから現在に至るまでの音楽業界を俯瞰する視点に、他に類を見ない圧倒的な説得力がある。ここまで徹底した取材ができるものかと驚くと同時に、さぞ語らせるのに苦労したであろう相手についても、ネガティブなことも含めて遠慮せずに書いていることに唸ってしまう。

    最初の章はmp3が世に出る前の裏話で、技術的なことはちっともわからないシロートにはちょっとつらい。次の章では田舎のCD工場に勤める若者、その次は大手レコード会社の幹部が登場する。この三つの話がかわりばんこに語られていくのだが、途中まではなかなか全体像が見えなくて、読み進めるのに苦労した。よくわからない用語がしばしば出てくるし。

    しかし、半ば過ぎたあたりからどんどん引き込まれていって、音楽のデータ配信や海賊版摘発に話が及ぶあたりからは、夢中で読みふけってしまった。三つの話は最後まで交わらないのだが、それが複雑に絡まり合って、現下の状況を作り出してきたのだということがじわじわと腑に落ちてきた。

    なんといっても一番すごいのは、海賊版mp3の大半がきわめて少数の組織されたグループから発信されていたことを突き止めたことだ。これには著者自身驚いたらしい。ウェブの広大で曖昧な拡がりのあちこちから、アナーキーにアップされたものだと思っていたのに。さらにその元となる新曲CDのほとんどは、ある個人が供給源だったというのだ。一介の労働者である彼は、既にその行為によって有罪とされ、服役した後出所しているのだが、そんなこと誰も知らなかったのだ。

    「著作権保護」というと、クリエイティブな活動を萎ませないために必要なことだという文脈で語られることが多いが、ことはそう単純な話ではないというのもよくわかった。著作権を保護するには海賊行為の摘発が不可欠だ。そこで業界と権力が結びつく。たくさんの予算をつぎ込んで、海賊行為を摘発することが、結果としては業界のごく少数の誰かさんの利得を守り、その懐に巨額の金を流れ込ませることになっている。「摘発」と言っても、たいていは見せしめ的に、軽い気持ちで曲をダウンロードしたユーザーが厳しく罰せられ、大元まで及ぶことはまれ。及んだとしても、そういう人たちは「有能な」弁護士の力で刑に服すことを免れている…。わりきれない話だ。

    金目当てで海賊行為に関わる人はもちろん多い。しかし、権力にクソ食らえと言いたいがために、あるいは、みずからの力量を誇示するために、無報酬どころか身銭を切ってまで、危険は承知でせっせと海賊行為にいそしむ人たちがいる。これをどうとらえたらいいのか、考え込んでしまう。

    著者は、10万曲を超えるmp3ファイルをハードドライブにため込んでいたが、「クラウドコンピューティングの出現で意味がなくなった」と、配信サービスに会員登録し、ファイルを捨てたそうだ。データの入ったハードドライブが処理業者のくぎ打ち器で壊され、ゴミの山に捨てられる場面が最後に書かれている。感傷的になってしまうが、しかたのないことだ、という気持ちなのだろう。そういう流れってもう止まらないものなのだろうか。私自身は、昨今の音楽状況にはとんと疎いのだけど、ここにも非常に大きな変化の波が来ているのだということをひしひしと感じた。


    ・CDの流出元になる若者の人生が活写されていて、心に残る。傑出したノンフィクションだが、こういう所は小説を読むような面白さもある。

    ・テクノロジー関連の記述内容はよくわからなかったが、技術者というものについては考えさせられる。mp3の開発者は、海賊行為を憎み、自分は必ずCDを買っていたそうだ。でもねえ、その技術があったからこそ海賊版が流布したわけで…。そういう技術はいずれ誰かが開発しただろうとは思うが。

    ・海賊版は年代的に(性質上も?)ラップと密接に関わっている。発祥の地米国のラップは実に反社会的なものなのだとあらためて認識した。日本のラップシーンについてはほとんど知らないけど、かなり違いがあるのでは?

    ・ITオンチを自認する高野秀行さんが、本書の感想として「音楽がタダだなんて知らなかった。そこに一番驚いた」と書いていて、そうだよねえと笑ってしまった。そういう人間にもこの本は面白い。

    ・データとして「持つ」ことも今や古臭いことのようだが、それよりもっと手前で、データではなく、愛着ある「もの」として所有したいという気持ちって旧世代とともに消えていくものなのだろうか。私は「本」というのは結構長く残っていくんじゃないかと思っているけれど、音楽はどうなんだろう。うーん、わからない。

  • まさかノンフィクションとは思わず手に取ったので、途中からハラハラして、一気読み。
    音楽がどうやってリークされて、何でタダになったのか。歴史的な流れも踏まえて、色んな人の利害や想いが絡まり面白かった。

  • ☆違法コピーが溢れ出す。

  • MP3開発の話が一番スリリング

  • レビュー省略

  • 登場人物も多くボリュームもかなりあって読むのにかなり時間がかかるけどめちゃくちゃ面白かった!映画化も決定してるみたいでこちらも楽しみ

  • めちゃくちゃにCDを買い漁っていた僕としては、圧縮音楽なんぼのもんじゃい!と思っていましたし、今も思っている節はありますが、世界規模で見れば、配信や海賊版の音楽の需要がCDなんかよりずっとずっと多いのでしょう。

    CDケースで棺桶を作って、お坊さんに怒られたい願望がある僕は、配信音楽を蹴飛ばしてCDを買い続けたいと思います。棺桶作れるくらいCD買います。

  • 最高にクールな話。

  • すごくハラハラドキドキするノンフィクションだった。最新曲を盗んでアップしている人たちって、曲を無料で聴きたいとかそんなところは通り越して、スリルジャンキーになってしまうんだなあ。音楽はこのような段階を踏んで無料になってしまったけど、他の分野も似たような経緯を辿るんだろうな。こないの

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