- Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152096487
作品紹介・あらすじ
倉田タカシ、長谷敏司、早瀬耕、藤井太洋、吉上亮が、「治」「経済」「倫理」「芸術」「宗教」というアプローチから、人類とAIの未来を描く。人工知能研究の第一人者、松原仁らの最新論考を併録。
感想・レビュー・書評
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日本人工知能学会(本著は2016年に創立30周年を迎えた記念だそうで)の編による、SF作家とAI研究者がタッグを組んで、5つのアプローチから人間とAIの関係を考察したアンソロジー集。
何と言うか…もう本著を企画した段階で勝利だなぁ、と思ってしまいました。SF作家のストーリーとAI研究者の解説がセットになっているのも〇。
AIの入門書を集めて読むよりも、本著をまず1冊読んだ方が「AIとは何か?」をわかる(つもりになれる?)のでは。ただ、注意が必要なのは、本著はAIが普及して変容した世の中を見据えているので、「今AIにできること」を知るための本という意味では、解説で触れられているくらいでしょうか。
5編(対?)の中で、最も直近の未来であり得そうなのが日本政治を描いた「仕事がいつまで経っても終わらない件」で、トーンとしても読みやすいです。
その逆がトリを務める「再突入」で、100年以上先の社会も人間自身も変容した世界を描いているほか、テーマも芸術(現代アートの更に先、という感じ)で、個人的には難解で特に前半は良く理解できず…。ただ、人によってはこの方が歯ごたえがあるんでしょうね。
あと印象的だったのは、「第二内線」が描いた20~30年後のアメリカの分断された姿。本編でアメリカの分断が始まったのは「2020年に当選した大統領が銃規制を推し進めたこと」がキッカケ。さて、足元のアメリカの状況は大丈夫なんだろうか。。
本著を読了して思いを馳せたのは、AIが今後どういう位置づけたり得るのか、ということ。
具体的には「あくまで道具」なのか「自由意思を持つ存在」なのか。(意思の定義を問われそうですが…)
本著の5編を時代順に並べていくと、中ほどくらいから後者の色合いが強くなってきます。倫理の問題もありつつも、これはAIを進化して実現させたいという研究者サイドの思いなのでしょうか。
ただ、個人的にはどこかでAIは必ず落胆期を迎えるんじゃないかと思っていて、それをどう乗り越えるのか(あるいは、耐え忍ぶのか)が大事になると考えています。トンネルの先に、良い未来がありますよう。
刺激的で面白い1冊でした。読みやすさはまちまちなのですが、読み通す価値はあるかと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
AIが普及したからといって 夢のような世界が来るとはだれも考えないだろう。
人工知能(AI)はあらゆるところに使われる技術で、ボっとしていればAI搭載ロボットにこき使われる人間も出てくる。(今もITに使われている人は多そうだし。
どういう形の共存になるのかわからないけれど、AIだけが勝ち残るなんてことは無いんじゃないかしら。
で この本は面白いかと手にとったけれど、分厚い本だし わざわざ読むこともないかと思って結局返却。
また気が向いたら 読んでみよう!
→ URLはこちら https://www.ai-gakkai.or.jp/ 『人工知能学会 (The Japanese Society for Artificial Intelligence 』 : ) ・ URLはこちら https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E7%9F%A5%E8%83%BD%E5%AD%A6%E4%BC%9A 『人工知能学会 - Wikipedia 』 :
2017/02/10 予約 2/15 借りて読み始める。ほとんど読まずに返却。
AIと人類は共存できるか?
内容と目次・著者は
内容 :
「倫理」「政治」「芸術」等の5つの異なるアプローチで、人工知能(AI)が普及した未来社会を描く。
SF作家の想像力と、AI研究者の最新知見が斬り結ぶ、書き下ろしアンソロジー。
人工知能学会創立30周年記念出版。
目次 :
早瀬耕「眠れぬ夜のスクリーニング」×東京大学特任講師・江間有沙
人工知能研究をめぐる欲望の対話 江間有沙‖著 p89-104
藤井太洋「第二内戦」×電気通信大学大学院情報理工学研究科教授・栗原聡
人を超える人工知能は如何にして生まれるのか? 栗原聡‖著 p168-183
長谷敏司「仕事がいつまで経っても終わらない件」×国立情報学研究所・相澤彰子
AIのできないこと、人がやりたいこと 相澤彰子‖著 p242-254
吉上亮「塋域の偽聖者」×筑波大学システム情報系助教・大澤博隆
AIは人を救済できるか 大澤博隆‖著 p332-351
倉田タカシ「再突入」×公立はこだて未来大学教授・松原仁
芸術と人間と人工知能 松原仁‖著 p418-430
著者 :
長谷敏司 1974年大阪府生まれ。「楽園」でスニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。
藤井太洋 1971年奄美大島生まれ。電子書籍個人出版「Gene Mapper」を発表。他に「オービタル・クラウド」など。
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1:AIについての5つの小説作品と、それに関して第一線の研究者さんが科学的見地から解説・意見を述べる、という夢のような本。小説も解説もどちらも凄まじくて、読み応えがありました。
ちょっとお高いけど、AIに興味があるとか、好きな作家さんが参加しておられるとかであれば読んで損はないと思います。
「ここまでできる」と「こうすればもっとできるんじゃないか」のせめぎ合いが楽しい。 -
AIという一般人にはよく分からないものを小説家が物語として提供し、科学者が現実世界のAIについて、人間とどのように関わるのかを解説している。本書を人工知能学会が出すことで、難しいことを一般人が分かるようにするこの仕組みが面白い。これにより、読書は人工知能がある世界を容易に想像できる。人工知能の問題点や現時点での限界も分かる。ただし、若干ではあるが、学会が小説のテーマを設定して小説家に書かせた感じがした。作家の自由度を奪う形ではあるが、一冊の本として読むと、AIについて網羅的に解説しているのが分かる。結果的には素晴らしい試みだと思う。
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AIが絡むSF短編集。それぞれの短編のあとに人工知能研究者が解説を書いているのだけれど、解説の方が読み物としては濃くて(特に栗原聡さんの群知能の話がおもしろい)、小説集というより人工知能のやわらかい入門書であった。
社会が人工知能を受け入れていくには、技術それ自体に加えて、人間性とは何か、生物と無生物の境をどこに置くかなど、多方面から検討が必要になる。この分野にかかわっている人たちは、考えたり議論したりすることがたくさんあって毎日ワクワクだろう。技術をどんどん発展させて、わたしが老いるころには独りでも寂しくない安心できるケアロボットを作ってください。
小説の部では長谷敏司「仕事がいつまで経っても終わらない件」が、風刺コメディとして一番楽しんで読めた。うさ耳とかずるい。固有名詞が頻発するので積んでいる人はお早めに。今年、来年中に読む本だと思う。 -
2016年のAIに対する認識がまだ甘酸っぱく未成熟なことを感じながら読んだ。とはいえ政治家が刺殺されたり、チェルノブイリをめぐりロシアとウクライナが対立していたりデジャブが強い。
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《目次》
・「眠れぬ夜のスクリーニング」 早瀬耕
・ 人工知能研究をめぐる欲望の対話
東京大学特任講師 江間有沙
・「第二内戦」 藤井太洋
・ 人を超える人工知能は如何にして生まれるのか?
~ライブラの集合体は何を思う?~
電気通信大学大学院情報理工学研究科/人工知能先端研究センター 栗原聡
・「仕事がいつまで経っても終わらない件」 長谷敏司
・ AIのできないこと、人がやりたいこと
国立情報学研究所 相澤彰子
・「塋域[エイイキ]の偽聖者」 吉上亮
・ AIは人を救済できるか:
ヒューマンエージェントインタラクション研究の視点から
筑波大学システム情報系助教 大澤博隆
・「再突入」 倉田タカシ
・ 芸術と人間と人工知能
公立はこだて未来大学教授 松原仁 -
【由来】
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【期待したもの】
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※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
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【ノート】
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【目次】
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早瀬さん長谷さんが面白かった。というか馴染めた。人工知能って何でもできそうなイメージだけど、全て計算から成り立っていて、それまでに膨大な人力を必要とするのがブラックユーモアたっぷりに書かれていて素人にもよくわかった。