腸科学 健康な人生を支える細菌の育て方

  • 早川書房
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本棚登録 : 140
感想 : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152096531

作品紹介・あらすじ

遺伝子は変えられない。だが、健康を司る「もう一つの遺伝子」は変えられる! ヒトの体内微生物と、がんや糖尿病、アレルギーやうつ病との重要な関わりを、気鋭の学者が最新の研究をもとに解説。

感想・レビュー・書評

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  • ヒトの体内あるいは体表面にともに棲む微生物(=マイクロバイオーム)についての本を何冊か読んできている。
    本書は微生物学者夫妻によるもので、最新の研究結果も織り込みつつ、専門用語を交えすぎないわかりやすい仕上がりになっているところが長所だろう。巻末のかっちりした参考文献と腸内細菌を育てるレシピが同時に1冊の本にあるところもなかなかおもしろい。

    マイクロバイオームの話は難しい。関わる因子(細菌の種類、ヒトの食生活、生活環境、年齢)が多すぎて、マイクロバイオームがヒトの健康状態に関与していることはわかってきても、ピンポイントで、「どの」細菌が「どのように」関わっているかを詰めていくのが容易でないのだ。それは往々にして「どの」1つの細菌という話ではなく、複数の細菌のバランスの問題であったりする。ヒトの側の要因も数多い。どれか1つの「善玉細菌」さえいれば万人によい結果が生じるというような単純な話ではないわけだ。
    但し、どういった病状のときには、どういった種類の細菌が多い傾向があるといった形で徐々にデータは蓄積されていて、「いずれ」は、微生物を駆使した(おそらくは個別化もされた)医療への道も拓けていくのだろう。だが、それには相当の時間が掛かる。
    そういった複雑さも本書を読み進めていくと段々呑み込めてくる。

    人体と微生物の関わりを考える上で、抗生物質の登場は外せない。確かに感染症と闘う上で非常に重要なツールではあったものの、抗生物質はいささか強力過ぎた。悪さをしている細菌だけでなく、根こそぎ焼き尽くしてしまうのだ。
    加えて、我々にとって細菌は「敵」だというイメージを植え付ける上でも大きい存在であったように思う。とりあえず「ばい菌を殺してしまえ」という姿勢が出来てしまったのだ。
    その結果、現在、抗生物質の処方は必要以上に多すぎ、そのことはもしかしたらアレルギーや肥満の形成に役割を果たしている可能性もある(理由はともかく、動物への抗生物質投与で成長の度合いが高まることが実際に知られている)。特に小さいうちから抗生物質に晒されることで、子供のマイクロバイオームが正常に発達しない可能性がある。そのことが「現代病」に寄与している可能性は排除できない。それがどれほどなのかは今後の研究に委ねられるとしても。

    ただ、マイクロバイオームの話でもう1つ難しいのは、ピンポイントで指し示せない現状では、「偽科学」の入り込む余地がかなり大きい、ということかもしれない。人は得てしてわかりやすい話に飛びつく。「○○菌」とついた眉唾話は巷にあふれかえる。
    いずれ、エビデンスを伴うものが出てくるとしても、それまでは、ナントカ菌に騙されるよりも、より健康的なマイクロバイオーム育成に役立つと思われる食事(繊維が多く脂肪やカロリー過多でない)を採るよう努めることが現実的かもしれない。
    そういう意味では巻末のレシピは(そのままは使えなくても)参考になりそうだ。

    「生まれ」か「育ち」か、という議論がある。
    ヒトは自分の持つ遺伝子は変えられない。けれども体内・体表面に棲む微生物をある程度変化させることは出来る。それが実は健康には相当役立つ可能性はある。
    本書の一番の美点は、複雑なマイクロバイオームを、敵としてだけでなく、「同士」として捉える視点を提供してくれていることかもしれない。
    レシピを取り入れたからといって、即、超絶健康体になることはなくても、少なくともお通じはよくなっていきそうである。それだけでも試してみる価値はあるかも。

  • 本屋で立ち読みして即買いした本。面白い。

    人間は知的生物である前に、一本の「管」を持った生物である。管の端から栄養を取り入れ、もう一方から排泄する。排泄しきるまでに管内で様々な腸内細菌が消化活動をする。それに頼らなければ自分の力だけで消化することは不可能だ。

    私たちは腸内細菌に頼らなければ生きられない。体内細菌と共生するという自覚を持ち、腸内細菌を飼う者の責任として、腸内細菌の過ごしやすい環境を整えてやらなければならない。そうでなければ、自身の体調や免疫に想像以上のデメリットを及ぼすということだ。

    とにかくめちゃ面白いし、栄養に気をつけて、抗生物質も濫用するのはやめようと思った。
    中高生時代に生物好きだったので楽しかった。

  • 腸がだいじ。腸内細菌ペット可のすすめ。
    脳より賢かったとは。
    聞いたか?私の脳?びっくりでした。
    その後えさやりに励んでいる。

  • 腸内細菌を無視した「健康」は有り得ないと思います。文庫本にもなっているので、オススメします。

  • 腸内細菌叢が大きく変わった要因は、工業生産された加工食品の増加、抗生物質の乱用、帝王切開の増加、母乳保育の衰退があげられる。

    産道を下りていくる胎児は、母親の膣と肛門にいるマイクロバイオータまみれになり、新生児に受け継がれる。産道を通らずに帝王切開で生まれた人は、肥満、アレルギー、セリアック病、虫歯にかかりやすいという研究結果が多い。

    乳児に対する抗生物質の使用は、喘息、湿疹、肥満など多くの疾患の罹患率の高さと関連している。また、抗生物質を与えられた乳児は、同年代の乳児より、長期にわたって体重が重くなる。

    ピロリ菌が排除されると、免疫系は攻撃すべき標的とそれ以外を見分ける能力を失う。ピロリ菌がいない子供は、喘息やアレルギーを発症しやすい。子どもの時期にはピロリ菌を排除せず、壮年になったら除菌することがいいのかもしれない。

    乳酸菌などの有用菌は、免疫系を刺激して人体の防御を強める働きや、腸壁を覆う細胞の間を埋めるタンパク質をたくさん作らせ、腸壁を丈夫に保つ働きがある。しかし、腸内の環境を好むものは少なく、腸内を通過するだけで、やがて排出される。

    プロバイオティクスの使用に関する科学的結論は得られておらず、医療現場は、有害ではなさそうで、有益かもしれないという立場に立っている。

    マイクロバイオータの食べ物になるプレバイオティクスの代表であるイヌリンは、最大で60個の果糖分子がつながったもの。タマネギやニンニクなどの野菜や多くの果物に含まれる。植物性の炭水化物重合体と食物繊維は、ほとんどがプレバイオティクスと考えてよい。

    腸内のマイクロバイオータは発酵によって短鎖脂肪酸をつくり、腸はそれを吸収して熱量を得る。

    グリセミック指数(GI)より大切なものとして、一人分当たりの食物に含まれる炭水化物の量を示すグリセミック負荷(GL)がある。カボチャのGIは高いが、一人分の分量が血糖値に与える影響は小さい。

    小麦は、変質しやすい胚芽を取り去ることによって、貯蔵期間を大きく延長でき、外皮のブランを取り除くと、ふわふわで白い小麦粉ができる。胚芽には脂質が多く、繊維も含んでおり、ブランは繊維質のため、マイクロバイオータの餌であるマックが減ることになった。

  • 豆を食え。

  • 図書館。時間足りず完読はできず。

  • 有用な菌を取りなさいというお話。興味深いけど、文体があまり好きではない。

  • 腸って凄い。いや凄いのは細菌だけど…と思わせてくれる1冊。最初は「カイチュウ先生」のアメリカ版かなぁ、と読み始めたのですが、最新の研究結果(マウスによるものも多いですが)も多く、かなり説得力のあるものでした。
    とりあえず第6章だけを読んでみれば、マジかよ!となるのではと。腸内の微生物相ことマイクロバイオータさんについて、脅威のエピソードが連ねられています。健康とかそういうレベルは何となくわかるのですが、記憶力やら性格にまで影響してきますかね!

    人間がハードウェア、OSのレベルだとすれば、マイクロバイオータがミドルウェア的に色々な機能を追加しているということでしょうか。そして、マイクロバイオータは食事である程度コントロールできる、と。何だか面白いけど、凄い話。
    あまり囚われすぎても良くないのでしょうが、やって損にもならなそうだし適度な範囲で暮らしに取り入れていきたいと思わせてくれる本でした。

    なお、巻末に「メニューとレシピ」がついていますが、これらは日本で実践するにはひじょーにコスパが低そう。アーティチョークなんかは日本で調達するのは骨が折れそう。一部に和食のテイストが取り入れられていますが、蕎麦のピーナツ味噌ソースはあんまり食べたくないなぁ。。
    まぁ、和食自体が腸内細菌にとっても悪くない食事のようで、今の食事をベースに意識して食物繊維を増やしていけば良いのかな、と思いました。

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