ダッハウの仕立て師

  • 早川書房
3.80
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本棚登録 : 98
感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152096630

作品紹介・あらすじ

1939年、ロンドン。婦人服の仕立て師(ドレスメーカー)として頭角を現しつつある18歳のエイダは、上流階級の紳士と知り合う。しかし戦争の暗雲が近づく中、その出会いは思いもよらぬ残酷な運命に彼女を導くのだった……第二次世界大戦を舞台とした歴史小説!

感想・レビュー・書評

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  • 読み応えがあった。
    最初は最後は救いのあるのだろう…と読んでいたが…
    エイダは良い意味でもそうでない意味でも「上昇志向」がある。自分の持っている仕立て師の技術を以てして「自分らしく生きることへの執着」が強い。だからこそ苛酷な状況でも辛抱強く生きていけたといえる。
    人生とは自分の選択の繰り返しとはいえ、その選択に対するしっぺ返しも自分に跳ね返ってくる。自分には抗い難い状況も存在するのにだ。
    それにしても、彼女に対する裁判にみられる一方的ともみえる女性に対する扱いはひどいと思う。ナチ協力者に見なされてしまったところも時代性なのか。もちろん、情状酌量がないところにも。

  • 途中からどんどん面白くなっていった。最後幸せになって欲しかった。

  • 結構壮大なドラマだった。
    自分の店を持つのが夢の腕のいいお針子の少女。うかつにも男に騙されて、第二次大戦の時代、運命の波に飲まれていく。男を見る目がなかった為にこんな末路に…と悲しくなってしまう。
    主人公はその時出来るベストを尽くしていたとは思うのだが、やはり思慮に欠けていたのだろうか。この時代、彼女のような女性たちは沢山いたのだろう。

  • 収容所の工場、身体に震えが走った。列島人種、害虫、

  • 彼女に地位や金がなかったこと。
    彼女が女だったこと。
    それが罪であるはずがない。
    第二次大戦を描いた作品だが、この理不尽は未だになくなっていないことを思いながら読み終えた。
    最後の言葉が胸に刺さる。

  • とても読みやすく翻訳された本だった。

    戦前・戦時中の話は早く読み進めたくて仕方がなかった。
    フィクションとわかっていても、史実に基づいていたノンフィクションではないかと思えてしまうほど。

    純粋にお店を持つという夢を持ち続けていたエイダ。
    ひどい仕打ちにも耐え生き延び、戦争が終わった時には心底ホッとした。
    人を信じては騙され、侮辱され、ボロボロになっていく様は読んでいても痛々しかった。
    理不尽なストーリーだったが、読み応えがあった。

    手に職があるって大切なことだし、素敵だと思った。

  • 1939年ロンドンの貧しい家庭に育ったエイダは、婦人服のドレスメーカーとして店を持ちたいと思っていた。裁縫のセンスもよく、スタイルも美貌も兼ね備えていた。町の仕立て屋で働いているが、ハンガリーの伯爵だと名乗るスタニスラウスに言い寄られ、家族に言わずに二人でパリへ渡る。
    しかし、パリにいる間に戦争がはじまりロンドンに帰れなくなってしまう。
    やがてスタニスラウスはパリからベルギーへ脱出すると言う。その途中、エイダはスタニスラウスとはぐれてしまう。エイダは修道院へ駆け込み尼として住まわせてもらうが、そこもドイツ軍に襲われ、収容所(ダッハウ)に入れられる。
    過酷な収容所の生活の中で、エイダはその裁縫の技術とセンスで収容所幹部やその家族のために仕立て屋をする。
    やがて戦争は終わり、エイダも救出されロンドンに戻るが、父親は亡くなっており母親は無断でいなくなったエイダを強く非難し、追い払われてしまう。
    絶望するエイダだが、ドレスメーカーの夢を捨てずウェイトレスとして働き始めるのだが…。

    激動の人生を送るエイダ。ドレスメーカーの夢を捨てず、少し考えればわかりそうな罠に簡単に落ちてしまう。
    最後は法廷の場面に変わるのだが、そこで繰り広げられる検察側の主張は、ここまでのストーリーを読んできた読者(つまりはエイダ)にとっては限りなく現実離れしたものであった。しかし、自分が陪審員だとしたら検察の論述に賛同するであろう。エイダも、それがわかっている。それが、この本の深みなのであろう。

    読む前には思ってもいなかった結末に、感じ入った作品だった。

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