ゲームの王国 上

著者 :
  • 早川書房
4.01
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本棚登録 : 534
レビュー : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152096791

作品紹介・あらすじ

ポル・ポトの娘とされたソリヤと天賦の智性を持つ神童のムイタック。運命のふたりは砲声に震える1974年のカンボジアで出会った。秘密警察、恐怖政治、テロ、虐殺――すべての不条理は、すべての地獄は、少女と少年の周りで進行する……あたかもゲームのように。

感想・レビュー・書評

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  • 作家さんに興味あり、デビュー作にして山本周五郎賞&SF大賞、舞台はカンボジア ということでワクワクと。

    上巻は ロン・メル時代からクメール・ルージュ期へと移っていく時代、農村やそこから近い地方都市が舞台。

    カンボジアという土地は気候温暖で作物はよく実り、地震や台風といった天災もない。それがゆえに人々は穏やかでのんびりしている、反面あまり物事を考えない。勉学や知識への意欲も低い -------と、かつて旅行したときに世話になったガイドさんが語ってくれた。
    まだ内戦の傷は生々しく、どの家庭も戦争で命を落とした家族の記憶が新しい、絶対に、戦争のことはきかないでほしい、と最初に言われた。

    そのことを重ねて読んだ。日本の首都圏で暮らしていては絶対に感じない、世の中を支配するぼんやりした空気。その下で蠢く不満や策謀。そして亀裂・衝突。
    あの時代の不穏な感触がこのようなものだったのか?ちょっとわからないけれども、異世界観はよくあらわされている。

    ただ、文章は読みにくい。妙に背景叙述が長くて、いま誰と誰がどこでしゃべってるのかわかりにくくなったり、時間軸も距離感もピンとこない。
    車酔いしたときのような読み心地.......>>下巻へ

  • 上巻はポルポトによるカンボジア掌握と民衆への虐殺まで。
    クメールルージュについては知識では知っていましたが、その詳細を見てきたように描き、読ませる筆力がすごいですね。土を食べる男や輪ゴムの予言など、SFらしく荒唐無稽なところもありますが、それよりも筆者の描く現実が重いので気になりませんでした。

  • 少なくとも上巻にSFっぽさはなく、どちらかというとマジックリアリズムの雰囲気が強い。「百年の孤独」のような、乾いた土と非論理的な論理が文学らしさを強めている印象。

  • 【遊べや遊べ、世に遊べ】ポル・ポト率いるクメール・ルージュがカンボジアに革命の嵐を巻き起こそうとする時代。寒村のロベーブレソンに生まれた神童のムイタックは、同じように類稀なる才能を持つ少女・ソリヤと出会う。2人は忘れがたい思い出を胸に混沌という名のゲームの只中に身を置くことになるのだが......。歴史小説でもありSF小説でもあるという一風変わった装いを見せる作品です。その著者は、『ユートロニカのこちら側』でハヤカワSFコンテストの大賞を受賞している小川哲。

    ゲームというキーワードを軸に縦横無尽かつ緻密に展開される人生航路の物語に惹きこまれました。下巻に入っていきなりとんでもない転調がなされるのですが、その転調に乗れるか否かで本作の評価もガラッと変わってくると思います。

    〜このゲームが人生に似ているという点です。真理を手にするためには、敗北を受け入れないといけません〜

    久しぶりのSFものでした☆5つ

    ※本レビューは上下巻を通してのものです。

  • カンボジアについても、ポル・ポトやクメール・ルージュについても、名前くらいしか知らない人間です。
    すいません。

    が、踏み入れてはいけない、ヤバイところに踏み込んでしまったことは、よく分かります。

    これをSFと読めと。
    これが上巻を読んだ感想です。

    起こったことを利用しながら、一発逆転を望める地位にまでのし上がっていこうとするソリヤ。
    ゲームのルールを理解しながら、そのルールの中で最も良い結果を出そうとするムイタック。
    更にはこの二人を囲む人たちがそれぞれ、魅力的で、けれど脆く儚く死んでゆくおぞましさ。

    革命を願いながら、興した新天地はかくなるディストピアであった。
    とな。

    下巻読めるかな。
    不安。

  • 感想は下巻に。

  • 山本周五郎賞&SF大賞受賞ということで図書館で予約してようやく読めました。

    名前が外国名ということもありいきつもどりつしながら時間をかけて読み切りました。

    上巻は革命前夜から革命、そして革命後と段々狂気が増していきます。
    ポル・ポトや政権下のことは教科書に載っているレベルのことしか知りません。
    もしかしたら当時はこんな狂っているとしか思えない状況になっていたとしたら恐ろしいです。

    立場が違っても同じ人民でも恨み恨まれ、ないこともあることになってしまう。
    ポルポトはやることが極端だな、と思いました。

  • ルールのことやクメールルージュのことを学べた。理解不能な部分も含めてさらさらと読めて不思議な感じだった。
    輪ゴムに対してムイタックが意見する話が面白くて好き。

  • 190106.同年の方が書かれていると聞いて購入。
    カンボジアの事は何も知らなかったので、とでもショッキングな内容だった。登場人物名がどうしてもすんなり入って来ないのと、人が次々と死んでしまうため、最初の登場人物一覧は度々確認した。
    これをSFとするなら、SFの定義がよく分からない。
    特殊的な能力に目覚める人物は何人かいたが、それは彼らの信念を置き換えたように感じた。
    ポルポトについて調べる気になった一冊。

  • 中国の文化大革命とか、ロシアの秘密警察とか、ギドン・クレーメルが海外で監視盗聴されてたこととか(自伝の中で書かれている)、自分の中にストックされてる冷戦下の共産主義にまつわる怖ーい話が一挙に蘇る。不条理というのが、世の中で一番怖いのかも。人間はどこか道理で人は動くものだという思い込みを持っていて、それが裏切られたた時の残酷なこと。
    この作品をものすごく面白くしているのが、輪ゴム君や泥君。カンボジアという国のプリミティブな雰囲気をこんな風に体現するなんて!

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