ゲームの王国 上

  • 早川書房 (2017年8月24日発売)
3.94
  • (77)
  • (113)
  • (64)
  • (12)
  • (2)
本棚登録 : 1022
感想 : 107
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784152096791

作品紹介・あらすじ

ポル・ポトの娘とされたソリヤと天賦の智性を持つ神童のムイタック。運命のふたりは砲声に震える1974年のカンボジアで出会った。秘密警察、恐怖政治、テロ、虐殺――すべての不条理は、すべての地獄は、少女と少年の周りで進行する……あたかもゲームのように。

みんなの感想まとめ

運命に翻弄される少女ソリヤと神童ムイタックが、1974年のカンボジアで直面する恐怖政治や残虐な現実を描いた物語です。ノンフィクションを基にしたフィクションであり、特にポル・ポト時代の地獄のような世界観...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 結局人間に共産主義は無理なんよ

    もう昆虫レベルまでいかないとあかん気がする、アリとか

    なぜかというとね、男女があるからなんですよ
    つまりね、モテたいわけ
    それはもうはべらせたいわけ
    あざとい美少年とかはべらせたいわけよ

    モテるためには何かしら抜きんでないといけないわけよ
    顔がいいとか、お金持ってるとか、性格がいいとか、角が大きいとか(それはヘラジカ!)、ひざからミサイル発射するとか(それはサイボーグだし結局モテるのは加速装置の人だし!)

    このモテたいって気持ちと共産主義って相性が悪い気がするんよね

    モテたいって資本主義なんよ!(言い切った)
    人類の歴史はモテたいと共にある

    さて本作です
    ノンフィクションを元にしたフィクションって趣き
    っていうかどうやらSFらしい
    難しいことはよくわかりませんがどうやらSFらしい

    ポル・ポトと言えばあれなんで、どんな感じであれが起きるのかな?って思って読んでたらなんか凄い展開
    そうかぁそっち行くのかぁ
    今のところすっごい面白い
    そして小川哲さんてめちゃくちゃ頭いい気がする

  • カンボジアを舞台に、地獄のような世界を生き抜くソリヤとムイタック。天性の才と智力を生かして「不条理」に立ち向かう、という物語り。
    いつもの事ですが、前半はその世界観やキャラクターの名前を覚えるのに苦労して話がなかなか頭に入ってきませんでした。が、慣れてくるとその濃厚な世界観は病みつきになってきて読むスピードも上がっていきました。
    前半を読み終え楽しくなってきました。このまま下巻も読み進めていきます。

  • 正直170頁くらいまでは退屈な時間だったが、そこを超えると俄然面白みが加速していく。ポルポト時代のカンボジアが舞台のフィクションで基本は残虐なシーンが続き、あっという間に人々が死んでいく。気が重くなるけど、次が気になって読み進めてしまう。あれだけメインどころが殺されて下巻はどうなっちゃうんだろうと思いつつ。

  • 随分前に途中まで読んで、他の本を割り込ませたら、すっかり時間が開いてしまったので、再度初めから読み直し。読むのが辛い描写が多く読み進める事が難しかったが、先の展開が気になり何とか上巻は読了。

  • クメール・ルージュ時代のカンボジアを舞台にした群像劇。SFらしいのですが、上巻ではフィクションであるコトくらいはわかるのですが、サイエンス感が無いなぁ。。

    物語の展開はとにかく不条理で、「テクノロジーのないディストピア」とでも言ったものか。秘密警察時代もクメール・ルージュ時代も、とにかく結論ありきで簡単に人が殺されていく展開には全くテンションが上がりません…。
    ただそれと同時に、この本、1986年生まれの著者が、2017年に出版した本なんだよなぁ。。という衝撃を感じながら読み進めました。
    当時のカンボジアの空気感が謎のリアリティをもって描かれていて、いや確かにこんなヤツ村にいそう、とか、カンボジアじゃこんなあだ名つけるの?とか、本当に「それっぽい」のです。タイムマシン持ってるとか?(笑
    もちろん、その時代を生きたカンボジアの方に訊いてみないとこのリアル感の裏付けは取れないとは思うのですが、「綿密な取材」というだけでは納得できないレベルの著者の筆力、凄まじい限りです。

    また、キャラクターの肉付けもとにかくしっかりしていて、経歴の作り込みや性格、謎の特技(性癖?)なんかもあって、文字だけでも何となく人物が浮かんでくるような。(主要キャラは結局みんなハイスペックという問題は已む無しですが…)
    暗いトーンの割に疾走感のある展開で、読み始めてからは早いです。下巻の展開と、「サイエンス感」が出るのかどうかに期待。

  • クメールルージュによる国内掌握の過程でカンボジアが狂気の状態になっていく時代の話。「キリングフィールド」などの諸作品で描かれているような不条理そのものの状況が続き、登場人物がどんどん命を落とすが、不思議と悲壮感がなく乾いている。

    変人ばかりの登場人物たち人格設定がいちいち面白い。
    輪ゴムキャラ、泥キャラ、綱引きキャラ。よくぞ、こんな変な話を考え出したものだ。

    「輪ゴムが環状につながっているのは 『業 』と 『輪廻 』と 『因果 』を示している 。輪ゴムの中心の空洞は 『空 』で 、そして輪ゴムの伸縮性は 『涅槃 』の意味だ 。輪ゴムを集め 、正しいやり方で見つめれば 、諸行無常 、諸法無我 、涅槃寂静 、一切皆苦 、それらがすべて学べる 。つまり輪ゴムは釈迦であり 、仏さまの教えそのものなのだ 」

    「すべての綱引きは悪魔との戦いだ 。綱引きがこの世界を作り 、この世界を維持している 。 『綱引きがすべて 』なのだ 。」

    など。

    羽田空港で読み始めて、ワイコロアの海辺で読了。

  •  日本SF大賞受賞作。
     登場人物が主要人物二人を除いて、区別がつかなかった。章ごとの日付をよく確認しないと、読んでいて混乱するので注意が必要です。
     読んでいて、伊藤計劃の「ハーモニー」を彷彿した。辺境の部族の例えとか、対立する主要人物二人とか子供の頃の知り合いであところとか。

  • 「君のクイズ」みたいな感じかなと思っていたら、なんとポルポト以前からのカンボジアの話だったわ。貧困、賄賂、暴力、非人道的なことが日常茶飯事に起きる社会。作者はどうやってこの状況を描写できたのでしょう。ポルポトなど実在の人物が出てくるし、何か向こうの人たちから言われてしまうのではないかというほどめちゃくちゃな社会です。
     第二次世界大戦以降、日本とは違う道を歩んだカンボジア。今なお貧困や差別はなくならない。日本もそうだけど、桁が違うね。本当のことなら、ちっとの過ちでやいのやいの言ってる我が国に、もう少し優しくしろと言いたくなるね。
     それにしても小川さんってすごいわあ。

  • 舞台は政治が混乱している1975年のカンボジア。秘密警察による理不尽な処刑。そんな世界の中で生きているソリア。政治家になってこの国を変えたい。
    賢いことが周りに理解されず変わり者扱いされている村にいるムイタック。ゲームはどれだけ楽しんだかが重要。
    まだまだ物語は序盤。下巻に続く。

  • 山本周五郎賞&SF大賞受賞ということで図書館で予約してようやく読めました。

    名前が外国名ということもありいきつもどりつしながら時間をかけて読み切りました。

    上巻は革命前夜から革命、そして革命後と段々狂気が増していきます。
    ポル・ポトや政権下のことは教科書に載っているレベルのことしか知りません。
    もしかしたら当時はこんな狂っているとしか思えない状況になっていたとしたら恐ろしいです。

    立場が違っても同じ人民でも恨み恨まれ、ないこともあることになってしまう。
    ポルポトはやることが極端だな、と思いました。

  • 作家さんに興味あり、デビュー作にして山本周五郎賞&SF大賞、舞台はカンボジア ということでワクワクと。

    上巻は ロン・メル時代からクメール・ルージュ期へと移っていく時代、農村やそこから近い地方都市が舞台。

    カンボジアという土地は気候温暖で作物はよく実り、地震や台風といった天災もない。それがゆえに人々は穏やかでのんびりしている、反面あまり物事を考えない。勉学や知識への意欲も低い -------と、かつて旅行したときに世話になったガイドさんが語ってくれた。
    まだ内戦の傷は生々しく、どの家庭も戦争で命を落とした家族の記憶が新しい、絶対に、戦争のことはきかないでほしい、と最初に言われた。

    そのことを重ねて読んだ。日本の首都圏で暮らしていては絶対に感じない、世の中を支配するぼんやりした空気。その下で蠢く不満や策謀。そして亀裂・衝突。
    あの時代の不穏な感触がこのようなものだったのか?ちょっとわからないけれども、異世界観はよくあらわされている。

    ただ、文章は読みにくい。妙に背景叙述が長くて、いま誰と誰がどこでしゃべってるのかわかりにくくなったり、時間軸も距離感もピンとこない。
    車酔いしたときのような読み心地.......>>下巻へ

  • これをゲームの王国と言い切ってしまう皮肉。。哲学者らしい言い回しが気持ちいい。
    「ベンが鬼ごっこに強いのは「足が速い」という評判のおかげだ。この話をひっくり返すと、さらに多くのことがわかる」
    「つまりね、一度足が遅いと評判になった者は、不当に追われ続けるってこと。君は足が遅いわけではないのに、「足が遅い」という評判のせいで、集中的に鬼に狙われている。鬼ごっこは基本的に追いかける側が有利だから、一度狙われれば捕まりやすい。そのせいで足が遅いというイメージが強くなり、さらにつかまりやすくなるってわけ。君だって鬼の時は無意識に「足が遅い」とされている人を探しているはずだよ。豆フムとか、蟹ワンとか。」
    「この話にはさらに続きがある。この世の中のなんだってそうなんだ。王様だってね。一度偉くなってしまえば、そのおかげでみんな彼が正しいと思いこむ。何か間違ったことをしているように見えても、自分の方が間違っているのではないかと思いなおす。そうして王様の権威は増していき、本当の実力とは関係のない虚構のイメージが作り上げられていく。そしてそれは、例えば俊足ベンみたいに、王様がひとりで作り上げるものではなく、周囲と連動して勝手に作り上げらえていくものなんだ。」
    「一番重要なのは、君が理不尽な目にあうのも、この仕組みが作用しているってこと。一度、輪ゴムの不況をしようとして悪評が立った。ものすごいマイナスだ。その悪評という眼鏡で君を見ているから、どうせあいつは間違ったことを言っていると決めつけられる。一旦そうなれば、どうしても悪いとこrが目立ってしまうし、嫌な目にあいやすくなる。嫌な目に合えば悪いところが目立ち、その繰り返しでひどい目に合う。嫌な奴が口にするのは言い訳に決まっていると決めつけているから、弁解の余地は与えられない。それがクソ問答の正体だ」
    「鬼ごっこに関しては簡単だよ。本気でベンを追い続ければいい。隣に誰がいようと、ベンだけを追うんだ。もう無理だって諦めずに、気を失うまで走り続けてベンを捕まえる。ベンは多分何か言い訳するだろうね。足が痛かっただの、手を縫いただの、婆ちゃんが病気だの、精霊が邪魔をしただの。そんなの全部無視だ。いくら反論してもクソ問答が待っている。君は黙ってベンを追い続ける。何度も、何度も弁を捕まえる。結果を出し続けるんだ。そうして、ベンの名声を逆に利用してやる。つまり最終的に、君は「俊足ベンより更に足が速い」という名声を得る。それによって狙われづらくなるし、狙われなければ鬼にもならない。そうやって君の名声はどんどん補強されていく」
    勝利に飢えたクワンの目は血走っていた。一度ベンを補足したら、地獄の果てまで追いかけるつもりだった。

  • ポルポトとカンボジアの歴史を調べた

  • 読書会の友人が、数年前にほめていた作品。
    そんなに面白いのかあ、と思いつつも、ポル・ポトも虐殺も自分には読めそうもないな、、と思って放置していたが、数年経って、ふと、でも面白いんだろうな、試しに読んでみようかな、という気を起こして手に取った。

    登場人物紹介から、お茶を吹きそうになる。
    泥。鉄板。輪ゴム。なんだこりゃ。

    読んでみて、登場人物がバタバタ死んでいくのには驚いた。
    これ田中芳樹?
    ソリヤとムイタックが二人で手を組んで、悪事を倒すエンタメになるかと思いきや、対立するんかあ。
    これ白鳥異伝?
    ムイタックを始め、輪ゴムも泥も発達凹凸の人間ぽくて、ギョエーと思った。

    きつい展開が続くけど、先が気になってどんどん読んでしまう。
    シハヌークのこと、ポル・ポトのこと、Wikipediaで調べたいのをぐっと我慢。
    最後まで読んだら調べるぞ。

    しんどいのに、ちょくちょくギャグがあって驚く。
    ソングマスター誕生のところ、高僧の綱引きの話、いずれもすごく笑えた。なにこれ。
    母国語でこの小説が読めるから、このギリギリのラインを楽しめる。すごいなあ。

    秘密警察だらけの世界、わけがわからなくて恐ろしい。
    『怪しいやつも、怪しくないやつも、怪しい』という告発合戦。まさに地獄。
    アドゥが連れて行かれた、元小学校の拷問所&処刑所、むかし、週間朝日で写真を見たのを思い出す。吐きそう…。
    アドゥのことも、辛くてしんどい。
    一番好きだったのに…。

    あと、ソリヤが美人という設定は別にいらなくない?
    特に意味もなく登場人物は美形、そこも田中芳樹ぽい。
    とにかく続きが気になる!
    泥やソングマスターはどうなるのかな。
    アドゥの次にティウンと輪ゴムが好きなので、彼らを応援したい。

  • サトロ・サル
    後にポル・ポトと呼ばれたクメール・ルージュ首魁の隠し子とされるソリヤ。貧村ローブレソンに生を受けた、天賦の知性を持つ神童のムイタック。皮肉な運命と偶然に導かれた二人は、軍靴と砲声に震える1975年のカンボジア、バタンバンで出会った。
    秘密警察、恐怖政治、テロ、強制労働、虐殺
    百万人以上の生命を奪ったすべての不条理は、少年と少女を見つめながら進行する…まるでゲームのように。
    (あらすじより)

    暗いー!重いー!ゲームってそうゆうことかーい!
    SFかと思ったー!

    カンボジアの史実を基にしたフィクションだと思います。

    ポル・ポト政権で検索するとまぁ様々な情報がでてきますが、近代の歴史が悲しすぎる。

    フランス占領下→国王による独裁→軍事政権(恐怖政治)→共産主義政権(恐怖政治)という、軍事政権を倒してくれた英雄が結局は恐怖政治を敷いてしまうと言う最悪の流れ。

    P224 ポル・ポトのセリフ
    我々(共産主義政権)は国内に民主主義を徹底させる。主役は人民だ。民主主義が徹底されるためには、人民が我々の素晴らしさを理解しなければならない。我々の考えを深く理解し、誤った考えを思いつかないようにしなければならない。

    全くもって民主主義じゃない!!
    言ってることやべー!
    資本主義の知識人、資産家を排除し、財産や家族、感情まで所有することを禁止した政策。
    朝から晩まで集団のために馬車馬のごとく働く。
    まじでディストピアじゃん。

    まだ下巻に続くんだよなー
    いやはや辛い

  • しょうじき下巻で失速する感あるけど、上巻はめちゃくちゃおもしろい。輪ゴムで占うとか土食べちゃうとか、怒涛のマジックリアリズム。

    この若き才能には、今後も期待大です。

  • カンボジア、ポル・ポト前夜から未来にかけての話し。
    異国の話をここまでリアルにかつゲームの物語を作書くことができるものだろうか。著者の想像力に脱帽。
    ゲームというキーワード。少し分かりにくかった。ゲームの記述はもう少し分かりやすい方がよかった。脳波を使ったゲームの説明は長い。未来とはいえ想像がしにくかった。そのためか下巻のストーリーは停滞したと思う。
    とはいえ上巻の高揚感は素晴らしい。
    東大の若手著者の次作に期待!

  • 上巻はポルポトによるカンボジア掌握と民衆への虐殺まで。
    クメールルージュについては知識では知っていましたが、その詳細を見てきたように描き、読ませる筆力がすごいですね。土を食べる男や輪ゴムの予言など、SFらしく荒唐無稽なところもありますが、それよりも筆者の描く現実が重いので気になりませんでした。

  • 少なくとも上巻にSFっぽさはなく、どちらかというとマジックリアリズムの雰囲気が強い。「百年の孤独」のような、乾いた土と非論理的な論理が文学らしさを強めている印象。

  • 【遊べや遊べ、世に遊べ】ポル・ポト率いるクメール・ルージュがカンボジアに革命の嵐を巻き起こそうとする時代。寒村のロベーブレソンに生まれた神童のムイタックは、同じように類稀なる才能を持つ少女・ソリヤと出会う。2人は忘れがたい思い出を胸に混沌という名のゲームの只中に身を置くことになるのだが......。歴史小説でもありSF小説でもあるという一風変わった装いを見せる作品です。その著者は、『ユートロニカのこちら側』でハヤカワSFコンテストの大賞を受賞している小川哲。

    ゲームというキーワードを軸に縦横無尽かつ緻密に展開される人生航路の物語に惹きこまれました。下巻に入っていきなりとんでもない転調がなされるのですが、その転調に乗れるか否かで本作の評価もガラッと変わってくると思います。

    〜このゲームが人生に似ているという点です。真理を手にするためには、敗北を受け入れないといけません〜

    久しぶりのSFものでした☆5つ

    ※本レビューは上下巻を通してのものです。

全87件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年『ユートロニカのこちら側』で、「ハヤカワSFコンテスト大賞」を受賞し、デビュー。17年『ゲームの王国』で、「山本周五郎賞」「日本SF大賞」を受賞。22年『君のクイズ』で、「日本推理作家協会賞」長編および連作短編集部門を受賞。23年『地図と拳』で、「直木賞」を受賞する。

小川哲の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×