- 本 ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152096791
作品紹介・あらすじ
ポル・ポトの娘とされたソリヤと天賦の智性を持つ神童のムイタック。運命のふたりは砲声に震える1974年のカンボジアで出会った。秘密警察、恐怖政治、テロ、虐殺――すべての不条理は、すべての地獄は、少女と少年の周りで進行する……あたかもゲームのように。
感想・レビュー・書評
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結局人間に共産主義は無理なんよ
もう昆虫レベルまでいかないとあかん気がする、アリとか
なぜかというとね、男女があるからなんですよ
つまりね、モテたいわけ
それはもうはべらせたいわけ
あざとい美少年とかはべらせたいわけよ
モテるためには何かしら抜きんでないといけないわけよ
顔がいいとか、お金持ってるとか、性格がいいとか、角が大きいとか(それはヘラジカ!)、ひざからミサイル発射するとか(それはサイボーグだし結局モテるのは加速装置の人だし!)
このモテたいって気持ちと共産主義って相性が悪い気がするんよね
モテたいって資本主義なんよ!(言い切った)
人類の歴史はモテたいと共にある
さて本作です
ノンフィクションを元にしたフィクションって趣き
っていうかどうやらSFらしい
難しいことはよくわかりませんがどうやらSFらしい
ポル・ポトと言えばあれなんで、どんな感じであれが起きるのかな?って思って読んでたらなんか凄い展開
そうかぁそっち行くのかぁ
今のところすっごい面白い
そして小川哲さんてめちゃくちゃ頭いい気がする詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
随分前に途中まで読んで、他の本を割り込ませたら、すっかり時間が開いてしまったので、再度初めから読み直し。読むのが辛い描写が多く読み進める事が難しかったが、先の展開が気になり何とか上巻は読了。
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クメール・ルージュ時代のカンボジアを舞台にした群像劇。SFらしいのですが、上巻ではフィクションであるコトくらいはわかるのですが、サイエンス感が無いなぁ。。
物語の展開はとにかく不条理で、「テクノロジーのないディストピア」とでも言ったものか。秘密警察時代もクメール・ルージュ時代も、とにかく結論ありきで簡単に人が殺されていく展開には全くテンションが上がりません…。
ただそれと同時に、この本、1986年生まれの著者が、2017年に出版した本なんだよなぁ。。という衝撃を感じながら読み進めました。
当時のカンボジアの空気感が謎のリアリティをもって描かれていて、いや確かにこんなヤツ村にいそう、とか、カンボジアじゃこんなあだ名つけるの?とか、本当に「それっぽい」のです。タイムマシン持ってるとか?(笑
もちろん、その時代を生きたカンボジアの方に訊いてみないとこのリアル感の裏付けは取れないとは思うのですが、「綿密な取材」というだけでは納得できないレベルの著者の筆力、凄まじい限りです。
また、キャラクターの肉付けもとにかくしっかりしていて、経歴の作り込みや性格、謎の特技(性癖?)なんかもあって、文字だけでも何となく人物が浮かんでくるような。(主要キャラは結局みんなハイスペックという問題は已む無しですが…)
暗いトーンの割に疾走感のある展開で、読み始めてからは早いです。下巻の展開と、「サイエンス感」が出るのかどうかに期待。 -
クメールルージュによる国内掌握の過程でカンボジアが狂気の状態になっていく時代の話。「キリングフィールド」などの諸作品で描かれているような不条理そのものの状況が続き、登場人物がどんどん命を落とすが、不思議と悲壮感がなく乾いている。
変人ばかりの登場人物たち人格設定がいちいち面白い。
輪ゴムキャラ、泥キャラ、綱引きキャラ。よくぞ、こんな変な話を考え出したものだ。
「輪ゴムが環状につながっているのは 『業 』と 『輪廻 』と 『因果 』を示している 。輪ゴムの中心の空洞は 『空 』で 、そして輪ゴムの伸縮性は 『涅槃 』の意味だ 。輪ゴムを集め 、正しいやり方で見つめれば 、諸行無常 、諸法無我 、涅槃寂静 、一切皆苦 、それらがすべて学べる 。つまり輪ゴムは釈迦であり 、仏さまの教えそのものなのだ 」
「すべての綱引きは悪魔との戦いだ 。綱引きがこの世界を作り 、この世界を維持している 。 『綱引きがすべて 』なのだ 。」
など。
羽田空港で読み始めて、ワイコロアの海辺で読了。
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舞台は政治が混乱している1975年のカンボジア。秘密警察による理不尽な処刑。そんな世界の中で生きているソリア。政治家になってこの国を変えたい。
賢いことが周りに理解されず変わり者扱いされている村にいるムイタック。ゲームはどれだけ楽しんだかが重要。
まだまだ物語は序盤。下巻に続く。 -
作家さんに興味あり、デビュー作にして山本周五郎賞&SF大賞、舞台はカンボジア ということでワクワクと。
上巻は ロン・メル時代からクメール・ルージュ期へと移っていく時代、農村やそこから近い地方都市が舞台。
カンボジアという土地は気候温暖で作物はよく実り、地震や台風といった天災もない。それがゆえに人々は穏やかでのんびりしている、反面あまり物事を考えない。勉学や知識への意欲も低い -------と、かつて旅行したときに世話になったガイドさんが語ってくれた。
まだ内戦の傷は生々しく、どの家庭も戦争で命を落とした家族の記憶が新しい、絶対に、戦争のことはきかないでほしい、と最初に言われた。
そのことを重ねて読んだ。日本の首都圏で暮らしていては絶対に感じない、世の中を支配するぼんやりした空気。その下で蠢く不満や策謀。そして亀裂・衝突。
あの時代の不穏な感触がこのようなものだったのか?ちょっとわからないけれども、異世界観はよくあらわされている。
ただ、文章は読みにくい。妙に背景叙述が長くて、いま誰と誰がどこでしゃべってるのかわかりにくくなったり、時間軸も距離感もピンとこない。
車酔いしたときのような読み心地.......>>下巻へ -
「君のクイズ」みたいな感じかなと思っていたら、なんとポルポト以前からのカンボジアの話だったわ。貧困、賄賂、暴力、非人道的なことが日常茶飯事に起きる社会。作者はどうやってこの状況を描写できたのでしょう。ポルポトなど実在の人物が出てくるし、何か向こうの人たちから言われてしまうのではないかというほどめちゃくちゃな社会です。
第二次世界大戦以降、日本とは違う道を歩んだカンボジア。今なお貧困や差別はなくならない。日本もそうだけど、桁が違うね。本当のことなら、ちっとの過ちでやいのやいの言ってる我が国に、もう少し優しくしろと言いたくなるね。
それにしても小川さんってすごいわあ。
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