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本 ・マンガ (480ページ) / ISBN・EAN: 9784152096852
作品紹介・あらすじ
漫画家生活40周年記念出版。ファンから要望の高かった文庫版〈怪奇篇〉をワイドな単行本サイズで。夢幻魔実也シリーズの描き下ろし16ページ+高橋氏が自身の画業を振り返る特別あとがきを収録。氏のエポックな代表作を大ボリュームでおくる記念愛蔵コミック。
感想・レビュー・書評
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作者のあとがきにも書いてあるように青年 魔実也は気まぐれで設定としてはメチャクチャ。
だけど、仮に少年 魔美也と同じだったら(性格が)面白くも何ともない。
気まぐれな性格こそが青年 魔実也の魅力なのだから。
収録されているのは
幽霊船
老夫婦
吸血鬼
沼
幽霊夫人
首屋敷
針女
木精(すだま)
サトリ
夢魔
昇降機
蜘蛛
半人形
花火
鬼
蛇
夜会
蝙蝠
人形地獄
令嬢と人面瘡(描き下ろし)
の以上20話。
幽霊船は当時から好きな話。
後味の悪い救いようの無いラストがいかにも怪奇篇らしい。
魔実也は三人の乗客と出会うのだが船内と船が沈み三人の乗客が海の底へと沈んで行く場面において、二人の男の側には彼等が死に追いやった者達の姿が見えるのに対し三人目の娘には何も見えないという描かれ方がされており、それがラストの伏線となっているのには脱帽。
吸血鬼
血ではなく精気を吸いとるという設定が秀逸。
吸血鬼のモデルは名優 岸田森?
姉に似ているというだけで依頼人でもあるその妹にキスする魔実也。
その行為はある意味、吸血鬼よりもひどいと思うのだけど。
沼、鬼
スプラッター描写も然ることながら女の情念の恐ろしさを見せつける。
沼では さすがの魔実也もなす術がない?
幽霊夫人、木精、サトリ、昇降機
人在らざる者(幽霊、木の精、超能力者)を登場人物に据える事で単なる切ないラブストーリーではなく、怪奇ロマン物として成り立っている。
個人的に好きなのは昇降機。
不慮の事故で亡くなったリフトガール(紀美子)が自分と同じ結婚を間近に控えた娘を殺すという点は今一つ釈然としない。(読み手に婚約者を残し死んだ紀美子が結婚間近な娘に恨みを抱いて殺していき、魔実也に倒される話だろうと思わせる........作者のミスリードと 取れなくもないが)
それでも紀美子の婚約者が現れたところで悲恋物となり読んでる此方としてはホロリとなってしまう。
ラストの魔実也の台詞もいい。
首屋敷、蛇
怪奇篇の中ではどこかコミカルな雰囲気を持った二篇。
落語で同じような話があった気がするのだが..............
針女、夜会
作者がSM雑誌(!!)で描いていた短編シリーズ(単行本でのタイトルは怪談)に雰囲気が凄く似ている。
特に夜会の被虐への願望を持つヒロインと『救いの手』を差しのべる事もなく傍観者を決め込む魔実也の二人はまさしくS(魔実也)とM(ヒロイン)。そしてラストは全編中、一番後味が悪い。
夢魔
これと同じような話を読んだ事があるなあ。と思ったら、作者の短編「虎」が同じ様な内容だった。
でも、「虎」の方は祖父と孫、細かい描写や舞台設定が違うので別物と言っていい。
蜘蛛、花火
蜘蛛は最初の単行本(徳間版)のあとがきで「ウルトラQ」第9話「クモ男爵」に影響を受けたと書いてあったと記憶しているのだが、手元に徳間版が無いので記憶違いかもしれない。
それでも最初に読んだ時、個人的に「クモ男爵」を思い浮かべたけど。
花火はゲストヒロインが壺の中を覗くシーンがあるのだが、これは「怪奇大作戦」第23話「呪いの壺」から発想を得て描いたものだと作者が「別冊映画秘宝 実相寺昭雄研究読本」の同話のレビューで書いている。
どちらも作者の特撮好きな一面が表れている。
半人形
夢幻紳士版ブレードランナーとも言えるストーリー。
蝙蝠
蛇のリライト版か?
但し、怪奇度はこちらの方が上。
人形地獄
作者のペンタッチはこの頃のものが一番好きだなあ。
高橋葉介作品における不幸担当 那由子が登場。
とにかく那由子は不幸な目に遭う。遭い続ける。
何故?那由子ばかり?
作者は昔 那由子という名の女性にひどい目に遭わされたのか?
因みに最近、人形地獄がクラウドファンディングによる映画が作られた事を知った。
YouTubeで予告編を観たのだが魔実也が青年というより中年っぽくて原作のイメージとは違うのが気になった。
自主制作映画なので本編を観る事が出来るどうかは微妙なところ(ソフト化も)ではあるが機会があれば観てみたい(魔実也のイメージはともかく)
令嬢と人面瘡
マンガ少年版の「顔泥棒」のリメイクとも言える内容。
無言劇故、状況が分かりづらいがその辺は読み手各々の想像に任したと言うところか。
最後に老夫婦
魔実也が列車事故で瀕死の重傷をおった婚約者に夢を見させてほしいとの依頼を受けてやる。というのが大まかなストーリー。
初めて読んだ時はそれほどもなかったのだが、歳を重ねて涙もろくなった今では相手の男が魔実也の前に再び訪れて来る所から涙腺は決壊しラストシーンまでホロホロと泣いてしまう。
現在、怪奇篇の中で一番好きな話である。
個人的に夢幻紳士と言えばマンガ少年版とリュウ版(冒険活劇篇)、そして怪奇篇(当時は「編」)の三作で どれも好きだけど、やはり怪奇篇が一番好きなのを今回の再読で再認識。
尚、「怪奇篇」は後に「回帰篇」にリメイクされるのだが、それはまた別の機会に。
著者プロフィール
高橋葉介の作品






もっと前に出たと思ってましたが、2017年だったんだ、、、早川さんもっと出して!
色んなモノを見過ぎて、諦念し...
もっと前に出たと思ってましたが、2017年だったんだ、、、早川さんもっと出して!
色んなモノを見過ぎて、諦念していると言うか、心を飛ばしているような、、、
個人的に早川書房には描き下ろしを収録したクレイジーピエロ...
個人的に早川書房には描き下ろしを収録したクレイジーピエロの愛蔵版を出してくれないものかと切に願っております。
猫も一票投じます(前に書いた「夢幻紳士」コンプリート、全く手付かず)。。。
猫も一票投じます(前に書いた「夢幻紳士」コンプリート、全く手付かず)。。。