9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために

制作 : 山形 浩生 
  • 早川書房
3.29
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本棚登録 : 466
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152096975

感想・レビュー・書評

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  • 21世紀に大事な9つのルールについての解説。
    印象にのこったのは以下。
    教育よりも学習を重視する、という概念だ。学習は自分でやること
    遺伝子シーケンシングは、ムーアの法則の六倍の速度で、価格は低下
    人生で、周辺視力モードと集中した実行モードとを切り替える能力は、おそらくひらめきを活性化するための最も本質的な技能の一つだろう。
    すべてのねじは、頭を平らにして、ねじ山角度は六〇度ちょうどにすべき。単純な提案──工業部品の最もつつましいものの標準化──は交換可能な部品の開発を引き起こした
    子供たちは気鋭のプログラマから受け身の利用者になった。(GUIの弊害)
    言われた通りにしているだけでノーベル賞を受賞できた人はいない」(適度に命令違反を)
    アメリカの公民権運動は市民不服従なくしては起こらなかったことも続けて説明した。インドはガンディーやその支持者たちによる、非暴力でもしっかりした不服従がなければ独立できなかった。このニューイングランド地方で祝われているボストン茶会事件も、かなりの不服従だ。  社会の役に立つ不服従と、役に立たない不服従とのあいだの境界線はとてもむずかしいもの

  • 未来の予言書ではないと書いてありますが,そう読めてしまうところもあります.著者の意図するのは,急激に変化する世の中でどう生きていけば良いかという指針みたいな感じなんでしょう.でもこれって,今だから,の考え方ではないような気もしました.

  • MITメディアラボ所長の伊藤穣一が中心になってメディアラボの行動規範をまとめたものである。

    その行動規範と言える9つのプリンシプルは次のようなものである。

    1. 権威より創発
    2. プッシュよりプル
    3. 地図よりコンパス
    4. 安全よりリスク
    5. 従うより不服従
    6. 理論より実践
    7. 能力より多様性
    8. 強さより回復力
    9. モノよりシステム

    伊藤穣一がメディアラボ所長就任のときに「独自性、インパクト、魔法」の3つを重視すると言ったときにラボの方向性は決まったのかもしれない。9つのプリンシプルズは、「独自性、インパクト、魔法」を実現するために必要な指針を示してくれるもののように思う。ここで挙げられたプリンシプルはすべて、「XXより○○」という形で表現されているが、「XX」で表現されるような思考形式はこれまでの社会において深く根を張っているもので、意識的に捨て去ることが重要であるということだ。それは現在から未来において、捨て去ってみれば、なぜ今までそうだったのだろうと思うような類のことなのかもしれない。

    アカデミーでの学位を持たない伊藤穣一がニコラス・ングロポンテの後を継いでメディアラボの所長になったのは意外な選択で驚きを持って受け取られた。それでも、意外ではあったが愚かであるとはとらえらなかったようだ。メディアラボとしても彼のような人材を必要としていて、収まってみるとこれだというところにきちんと収まっているように感じるような類の選択であったようだ。

    「教育ではなく学習」といった表現に出会うたびに、先日読んだ『名門校「武蔵」で教える東大合格より大事なこと』に書かれていることにとても近いような気がした。
    「人々はしばしば何が「正解」か、何を要求されているのか、「合格」するために何を満たすべきかを知る必要がある状態からプログラム解除されねばならない」ー やはりいまだ自分に足りていないところだ。

    「絶対に未来に関するわれわれのビジョンを信じ込ませようとなんかしていない。というのもそんなビジョンは持ち合わせていないからで、単に未来がいまの関跡はとてもとてもちがったものになるという下たい信念しかない」という。なので、ここに書かれたものは、未来を考える上では具体的なアイデアというよりも、あるべき姿勢というものを示したもになっている。その方が大事で有効なのだ。

    「成功への鍵はルールや、果ては戦略ではなく文化」だという。未来はどのような形になっているのだろうか。この本を読んでもその答えは書かれていないが、何かが起こることと、それに備えておくことが大切であることはわかる。

    読む前に身につけておかなければならない内容。読んだからといって身につく内容ではない。でも、読んでおいた方よい。そういう内容。


    ---
    『名門校「武蔵」で教える 東大合格より大事なこと』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4087208974

  • 触れている分野が広いし、訳のせいなのか少し難解だったけど、これからのヒントがいっぱい詰まっている。これまでも21世紀がどうあるべきか発信されてきた多様性に始まる新たな創造性の創出について、研究・技術の視点で改めてそうなんだと再認識させられる内容だった。日本の大企業が足りない視点(きっと多くは自らは変えられないけど)、大学などの研究機関の必要な視点、考えさせること盛り沢山であった。でも、ひとつ確実に言えること、世の中20世紀より面白くなる。そういう高揚感が読後に残った。帯にもあるけど何度も読み返すべき本なのだ。

  • 読みにくい。ざっと見て、気にかかるところをピックアップするように読むと、いいかもしれない。

  • Whisplash(鞭打ち症)
    How to survive our faster future
    1。権威より創発
    2。プッシュよりプル
    3。地図よりコンパス
    4。安全よりリスク
    5。従うより不服従
    6。理論より実践
    7。能力より多様性
    8。強さより回復力
    9。モノよりシステム

  • 現代のイノベーションの仕組みは実に多様化している。それゆえ技術オンリーではNGだし、用途提案力だけでもNG。双方を併せ持ち、そのために必要なリソースの組み合わせを考えることができ、しかもモノを生み出した結果、用途環境をどのように変えるかを見通せる力まで要求される。日本でも昨今「異業種融合」とか「医工連携」といった分野の複合化が一般的になってきているが、その結果生み出されるアウトプットに対しての展望力はどうだろうか?MITの方が上とか下とか、そういう議論ではなく、本書を教訓に一度考えてみる価値があるということを言いたい。

  • 「JOI」ことMITメディアラボ所長の伊東譲一の共著。
    最近この方の寄稿を新聞か何かで読んで、ふわふわした感じなのかと思いきや非常にまともな思考をお持ちだと感じ、その著作を読むことにした。
    ドメな日本人には知りえない、面白いことはたくさん書いてある。けど、何か薄っぺらい。
    ・射出成型の技術、商売、ノウハウが深圳に移転した
    ・イノベーターが特許に適正な対価を払わずに急成長
    ・新しいパラダイムはほぼ間違いなく、どこかの科学者が支配的な思想を受入れなかったからこそ実現した
    ・テクノロジー企業におけるマイノリティの雇用は非常に限定的

  • ===qte===
    9プリンシプルズ 伊藤穣一、ジェフ・ハウ著
    予測できぬ未来の行動原理

    2017/8/26付日本経済新聞 朝刊

     人工知能(AI)やビッグデータに関する本は数多く出版されているが、新たな技術で未来が具体的にどう変わるのか、今一つ釈然としない思いを抱く人は多いだろう。本書はAIによる具体的な未来像を見せる本ではない。複雑系に左右される世界に対し、無知を認めた上でどうやって予測できない世界と付き合うべきなのか。予測できない未来をおもしろがるための行動原理を提示している。
     誰も予測できない未来に適応し、そこから生まれる多様な可能性の芽を生み出し育てるには、回復力、アジャイル(俊敏)性、教育上の失敗を核とした組織を作るべきだと主張する。それを実現するためのガイドラインを、印象的なフレーズで構成する9つの原理に集約している。
     「プッシュよりプル」では、必要なものだけを、必要とされるときだけ使って人々をプロジェクトに引き込む(プル)ことの重要性を示している。「理論より実践」では、変化が常態となる未来では失敗を受け入れ奨励することの大切さを指摘する。重要なのは人にしてもらう教育ではなく自分が自分にする学習である。学習の中で人間の感情的で創造的な性質を増幅すれば、AIやロボットと人間が組み合わさった未来の労働力にもつながるとする。
     「能力より多様性」では、輪の大きさがいかに重要であるかを語る。専門家がその分野の問題解決に一番向いているとは限らず、その分野から離れているほど解決の可能性が高まる。
     最近では著者が指摘するような、失敗を受け入れ奨励する企業も見られるようになった。しかし、評者には、大半の企業には予測と計画に基づいた行動原理が浸透しており、経営者や社員もそこに居心地の良さを感じているようにみえる。意識の裏にある予測できない未来に対する恐れは、創造性や柔軟性を抑制し、長期的には社会の健全性をつぶしかねない。
     予測できない未来を受け入れ、無知を恐れず多様な可能性を肌で感じ取り、あるとき社会が非線形に一気に変わることをおもしろいと思える人々が増えること。これが著者の願いであり、本書にはそのための視座が数多く含まれている。

    原題=WHIPLASH


    (山形浩生訳、早川書房・1800円)


    ▼伊藤氏は米MITメディアラボ所長。ハウ氏は米ノースイースタン大助教授。

    《評》日本リサーチ総合研究所主任研究員
    藤原 裕之
    ===unqte===

  • メディアラボ所長・伊藤穰一氏の新著を読んだ。ブロックチェーンからバイオ技術まで、生き馬の目を抜くテクノロジーの進化。その表層面ではなく、深層に焦点を当てながら、9つの原理が導出される。それぞれに目新しさはないが、そのロジックは見事。

    断続平衡

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著者プロフィール

伊藤穰一(いとう・じょういち)
マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長
1966年、京都府生まれ。少年時代をアメリカで過ごし、シカゴ大学などで物理学を学ぶ。日本でのインターネット技術の普及に尽力。インターネット事業への投資に携わり、これまでに Twitterなどネットベンチャー企業の事業展開、事業育成を支援している。米国Foreign Policy誌にて、「世界の思想家100人」に選出。2011年、日本人として初めてマサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボの所長に就任。

「2016年 『「プレゼン」力 ~未来を変える「伝える」技術~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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