9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために

制作 : 山形 浩生 
  • 早川書房
3.27
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本棚登録 : 465
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152096975

感想・レビュー・書評

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  • いかにもアメリカな本。抽象度も高く、日本の書籍とは一線を画す。日本的な手取り足取りのHow toを求める人は、目次を見るだけで十分。MITメディアラボのラディカルな姿勢が窺えて、面白い。

  • 訳がおかしくて理解できず、結局、洋書で読んだ方がわかりやすかった。
    MIT Media Laboのジョイイトウによる、イノベーションを起こすには、スピードが求められる現代における大事なプリンシパルとは。
    マップよりコンパスを。これが最もいい言葉だ。細かく計画していったとしても、結局修正修正。それであれば、コンパス、つまりは方向性をしっかり決めて、あとは全力で進む。途中、色々困難もあろうけど、それをその場で臨機応変に対応する。MBAホルダーが計画して、そこから金を集めて、デザイナー、エンジニアに作らせるのはBIつまりインターネット以前の話。インターネットが登場したあとは、イノベーションコストは限りなくゼロに近い。その環境下では、デザイナーやエンジニアがドリブンとなったイノベーションモデルが登場する。学生であっても、何かを生み出せるし、そのあとで金を集めて、最後にビジネスプランを立てるためにMBAを雇えばいい。ジョイさんは本当に面白い。シリコンバレーではもはやイノベーションが起きない、ファンドが集まっていてお金はあるが、人はグーグルに持って行かれて誰もいない。よって、大学のそばでイノベーションの卵を見つけて、お金はシリコンバレーで集める。そんなモデルもありじゃないか。自分の子供は小学校にはいれたくない。子供は、何かを作ったりするときに成長する。覚えることに時間を費やす意味なく、Wikipediaがあれば十分じゃないか。それより、質問すること、そしてそれをメンターとしてファシリテーターとして見守り進めてやる大人の存在、そして世代の違う人たちが交わることが大事。それは全て、日本の小学校ではできないと感じている。

  • ・教育よりも学習を

    ・創発民主主義
    アラブの春としての成功
    同時にイスラム国も生んだ
    トランプもサンダースも、率いたのではなく、乗った

    ・中心から周縁へのpushではなく、
    周縁で起こるイノベーションにあわせて
    資源をpullすること。(人材然り)
    ストックではなくフローになる時代
    個人の心の持ちようとして、オープンネス

    ・想像プロセスにおける標準化の重要性
    ねじの形を標準化することで効率化

    ・MIT「デモするか死ね」「液体のようになりたい」

    ・子供は、学習意欲がある。
    それを伸ばすのが大人の仕事

    ・良心的な不服従
    そこから生まれる新しいアイデア

    ・理論体系で考えていると、理論上は正しいが直観的には間違っていることが起こる。
    ex)ペストに関する解釈

    ・共感の輪をいかに拡大させるか

    ・強さより、回復力。
    生物的なシステム多様性。
    「予想できない」ということを予想すること

    ・ものよりも、システムを

  • 伊藤穰一とジェフ・ハウの共著を山形浩生が訳しているというのだから、読みたくなるではないか。全体的に(まあ、Joi にとってはいつもの通り)リベラルに寄り過ぎているので慎重に読まなくてはいけないが、社会全体がそちら方向に倒れてきつつあるというのもまた事実だ。我々の世界は確かにランニングシューズから超音速ジェットに乗り替えつつあり、このペースチェンジは、硬直化しやすく変化への対応が苦手な日本にとって特に深刻なダメージを与えかねない。ここ2、3年が勝負どころだろう。

  • MITのメディア・ラボが肌感覚で捉えている、変化の激しい時代に生き残っていくために必要なものごとへの向き合い方を感じることができた。

    変化が加速度的に進む時代においては、これまでの枠組みの延長上で将来像を予測することはできない。その際に、より抽象度の高いレベルで社会の仕組みや技術構造の変化を読み解く推論の力も必要だが、実際に変化を起こしながらリアルタイムで社会とやりとりをしつつ、新しいパラダイムを作り出していくような力も求められている。

    生物学は技術だと喝破したトム・ナイトや、「実配備せよ」というメディア・ラボのスローガンに、そのような姿勢が表れているように感じた。

    パラダイムの変化は、全体像を先に作ったうえでシステマチックに起こるのではなく、部分の突然変異がその周辺、やがては全体に影響し、結果的にまったく新しいシステムへと変容していくといった形で起こってくると考える方が自然である。そうであれば、その突然変異の最先端にいることが、進むべき道を切り開くために必要である。

    一方で、メディア・ラボは時代の最先端にいることだけを至上の価値としているわけではなく、その変化が社会のあり方をどのように変えていくのかという、どちらかというと意味や価値の領域をも重視しているという点も、非常に大切なポイントであると感じた。

    「責任あるイノベーションは速度と効率性以上のものを必要とする」という発想に、その姿勢が表れていると感じた。しかし、メディア・ラボでは、それはある特定の価値観を前提に新しいシステムを「設計する」という発想につながるものではなく、あくまで社会のシステムのとの「関係性」の中で、イノベーションがどのような影響を与えるかを常に考えるという姿勢につながっていく。

    ネットワークのノードとしてのラボとして、モノづくりだけではなく、慈善財団、篤志家、コミュニティといった様々な主体との関係性を作り上げていく姿勢は、オープンなシステムに変革を起こそうとする組織のあり方として、非常に大切なものであると思う。

    大学のラボという枠組みを超えて、これからイノベーションに関わる全ての組織に必要な要素を教えてくれる本だったと思う。

  • 刺激に満ち溢れた1冊だった。要素還元主義に基づく科学的な手法では環境問題や複雑な生物の機構などの解決・解明に至らないと日頃感じていたが、本著の9つの考えに従えばそれらの解決に繋がるかもしれない。

  • ジャンルとしては経営、テックなのか分類が難しいが、シンプルな人生訓である。
    この本(原題Whiplash: How to survive our faster future)の大前提として、ネットによる無数のコネクションと処理テクノロジーの発展により現代は変化のスピードが加速しており、予測は不可能だしトレンドに乗って安泰となることもない。その環境下を生き抜くすべがトップダウン、例えば一つの技能、権威、理論、方法論、ではなく、各人がやりたい方向を向いて、失敗を繰り返し、そこから学びながらやり抜くことである。
    9つの原則は、権威より創発、プッシュよりプル、地図よりコンパス、安全よりリスク、従うより不服従、理論より実践、能力より多様性、強さより回復力、モノよりシステム。

  • 9個の原則自体はとても参考になるが、冗長で読みにくい点と、具体例が難しかったり長かったりで集中し続けて読みにくかった。


  • 日本語訳が非常に読みずらい点においてマイナス1をつけざるを得ない。

    冒頭にインターネットが登場するまで、株式市場は史上最高の情報システムだったとある。現在起きている市場経済と民主主義が「価値主義」に転換している状況は、この考察からしても必然だと感じた。
    オープンソース・ソフトウェアが発展したように、研究の分野でも、閉じた活動から開かれた共同作業により機能を成すようになった。これも創発だという。
    グローバリゼーションで、あらゆる物事や情報の取引コストが下がってくることに対して、これまでの偏った社会に対する既得権を持った人たちは脅威を感じるかもしれない。
    文字や暗号などの情報伝達の手段が無かった時代にも同様に既得権を持った人間がいたはずだが、今となっては、そんなものにしがみつくのは誰の目から見てもバカらしい

    キーワードである「反分野的なアプローチ」は、まさに技術分野だけではなく、これからは、何を切り拓くのにも必要になってくるだろう。
    原題はWhiplash「むち打ち症」で、乗っているぼくたちがむち打ち症になってしまうほどの急速度で変化する社会、というスピード感の表現だ。
    それに従って、これまでの社会、経済、ビジネス、技術開発の常識は全く通用しなくなっている。こうした新しい時代に通用する理念、哲学、行動原理とはどんなものか?それを9つのプリンシプルとしてまとめたのが本書だ。

    ・自然発生的な動きを大事にしよう
    ・自主性と柔軟性に任せてみよう
    ・先のことはわからないから、おおざっぱな方向性で動こう
    ・ルールは変わるものだから、過度にしばられないようにしよう
    ・むしろ敢えてルールから外れてみることも重要
    ・あれこれ考えるより、まずやってみよう
    ・ピンポイントで総力戦やっても外れるから、取り組みもメンバーも多様性を持たせよう
    ・ガチガチに防御をかためるより回復力を重視しよう
    ・単純な製品よりはもっと広い社会的な影響を考えよう

    挙げられている各種の事例について、著者たちはなぜおもしろいと考えたのか、そのどこに注目したのか、もちろんそれは、収益性や経済効率だけではない。もっと原理的なものがほとんどだ。これまで使われているのとは全然ちがう原理がそこに作用しているとか、これまでの常識を覆しかねないとか。何かを見ておもしろいと思わない人に、そのおもしろさを説明するのかなりつらいことだ。でも本書はがんばってそれを実践して見せてくれる。

  • MITメディアラボ所長の伊藤穣一が中心になってメディアラボの行動規範をまとめたものである。

    その行動規範と言える9つのプリンシプルは次のようなものである。

    1. 権威より創発
    2. プッシュよりプル
    3. 地図よりコンパス
    4. 安全よりリスク
    5. 従うより不服従
    6. 理論より実践
    7. 能力より多様性
    8. 強さより回復力
    9. モノよりシステム

    伊藤穣一がメディアラボ所長就任のときに「独自性、インパクト、魔法」の3つを重視すると言ったときにラボの方向性は決まったのかもしれない。9つのプリンシプルズは、「独自性、インパクト、魔法」を実現するために必要な指針を示してくれるもののように思う。ここで挙げられたプリンシプルはすべて、「XXより○○」という形で表現されているが、「XX」で表現されるような思考形式はこれまでの社会において深く根を張っているもので、意識的に捨て去ることが重要であるということだ。それは現在から未来において、捨て去ってみれば、なぜ今までそうだったのだろうと思うような類のことなのかもしれない。

    アカデミーでの学位を持たない伊藤穣一がニコラス・ングロポンテの後を継いでメディアラボの所長になったのは意外な選択で驚きを持って受け取られた。それでも、意外ではあったが愚かであるとはとらえらなかったようだ。メディアラボとしても彼のような人材を必要としていて、収まってみるとこれだというところにきちんと収まっているように感じるような類の選択であったようだ。

    「教育ではなく学習」といった表現に出会うたびに、先日読んだ『名門校「武蔵」で教える東大合格より大事なこと』に書かれていることにとても近いような気がした。
    「人々はしばしば何が「正解」か、何を要求されているのか、「合格」するために何を満たすべきかを知る必要がある状態からプログラム解除されねばならない」ー やはりいまだ自分に足りていないところだ。

    「絶対に未来に関するわれわれのビジョンを信じ込ませようとなんかしていない。というのもそんなビジョンは持ち合わせていないからで、単に未来がいまの関跡はとてもとてもちがったものになるという下たい信念しかない」という。なので、ここに書かれたものは、未来を考える上では具体的なアイデアというよりも、あるべき姿勢というものを示したもになっている。その方が大事で有効なのだ。

    「成功への鍵はルールや、果ては戦略ではなく文化」だという。未来はどのような形になっているのだろうか。この本を読んでもその答えは書かれていないが、何かが起こることと、それに備えておくことが大切であることはわかる。

    読む前に身につけておかなければならない内容。読んだからといって身につく内容ではない。でも、読んでおいた方よい。そういう内容。


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    『名門校「武蔵」で教える 東大合格より大事なこと』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4087208974

著者プロフィール

伊藤穰一(いとう・じょういち)
マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長
1966年、京都府生まれ。少年時代をアメリカで過ごし、シカゴ大学などで物理学を学ぶ。日本でのインターネット技術の普及に尽力。インターネット事業への投資に携わり、これまでに Twitterなどネットベンチャー企業の事業展開、事業育成を支援している。米国Foreign Policy誌にて、「世界の思想家100人」に選出。2011年、日本人として初めてマサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボの所長に就任。

「2016年 『「プレゼン」力 ~未来を変える「伝える」技術~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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