- 本 ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152097019
作品紹介・あらすじ
「君を殺す」。虐殺の季節と復讐の誓いと訣別から半世紀が経った。ソリヤは理想とする〈ゲームの王国〉を実現すべく、権力の頂点を目指す。一方でムイタックは自身の渇望を完遂するため、脳波振動を利用したゲームの開発を早熟な少年アルンと共に進めていた――。
感想・レビュー・書評
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ドギャーン!ガラガラガッシャーン!
下巻のあらすじを簡単にまとめてみました(伝わるか!)
もうすごいのよ!
SF、下巻はもう冒頭からSFよ
表紙からしてちがうもんね、上巻はなんかこうルポルタージュ的な感じだったけど、下巻は表紙からしてSFチック
あ、そうか冒頭からじゃなくて表紙からSFもうSFだったんだな
上巻は下巻よりページ数多かったんですが、まるまる全部プロローグに使って来やがった!って感じです
本編より長いプロローグって、おい!
読んでる最中から凄い気になってことは、カンボジアって最初にきたのか、後から来たのかってことです
カンボジアって国の特異な状況を解決するためにゲームの王国という設定を思いついたのか、ゲームの王国を表現する舞台としてカンボジアが適していたのか
答えは…「わかりません」です
当たり前ですがわかりません
小川哲さんに聞けば分かるのかもしれないけど、わからなくていいのだ
考えるのが楽しいのだ!
パスカルは言った「人参はカンガルーの餌である」(それはオーストラリアの動物園の飼育員が言ったやつ)
とりあえず「ゲームの王国」は正解ではなかったっぽい -
上巻からかなり時間が経過した設定で、脳科学のかなり詳しい展開もあり、上巻とは別物の作品のようだった。特殊な能力を持つ人々がかなりの確率で登場し、羨ましいやら勿体無いやら。
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カンボジアを舞台にした群像劇。上巻はクメール・ルージュ時代でしたが、下巻はいきなり2023年。
上巻ではSF感があまり無かったのですが、下巻は「サイエンス感」が出てきました。ただ、サイエンスが本当の意味でストーリーに影響していたのかは、読んでいて確信が得られませんでした。
(本著、いくらでも深い解釈ができそうなのが難しいですが…)
まず読了した感想としては、フィクションとリアリティのバランスが独特だなぁと。そして、穿った見方をするなら、それこそ「ゲーム」なのか…とも思いました。
謎の性癖を持つ登場人物たちはどうにもフィクションなのですが、話の展開はなんだかシビアで、下巻でも人は亡くなり、結末に至っては「『君の名は』よりも前の新海誠監督作品」を思い起こすような。。
著者の美学としてはこの展開以外無かったんだろうなぁとは思いつつ、読了感としては切なさが残ります。
※主人公たちにそこそこ感情移入していたので、「トゥルーエンド」が読みたかったなぁ。。
その上で、本著のテクノロジー要素と言えるブラクション・ゲーム「チャンドゥク」ですが、表層的には「記憶への影響が観測されました」というくらいの書きぶりだったものの、本当にそうだったのか。
物語の進行に大きな影響を与えたんじゃないと意味がないようにも思ったのですが、終盤の疾走感のあるストーリー展開の中で見落としてしまったかもしれません。
本著からどんなメッセージを受け取るべきなのか。うーん、もう少し読解力を積まないと、このゲームはクリアできないのかもしれません。 -
下巻にはいると、時代が進んでいるからか話の進みが早いのか読みなれてきたのかわからないがさくさく読めた。面白かった。
ゲームとは目標が設定されていて、その目標を達成するために行うのだが、ルールがあり違反できないようにシステムが作られている。
自分ではどうにもできないことを何とかひっくり返したくて生きていく。ゲームのような世界を作りたいソリア。楽しいと感じられるゲームを作りたいムイタック。忘れたくても忘れられない過去の経験が重い。 -
むしゃくしゃすると本屋で散財する癖がある。普段はわりとじっくり立ち読みをするのだが、そういう時に買う本というのはほとんど中身を見ない。せいぜい帯と、最初の数ページ。装丁と文体がなんとなく好みだったら、それ以上考えることはせずに購入を決める。
この作品もそうして出会ったものだ。ハードカバーはどうしても文庫ほど気軽に買えないから、ちょっぴり冒険だった。
結論から言うなら、ここ最近で読んだものの中ではダントツの大正解だった。週末の楽しみにとっておこうと思ったのに、結局翌日の夜中3時までかけて上下巻を一気に読破してしまった。一旦上巻だけを買って、読んでから下巻を買うか判断しようかとも一瞬考えたのだが、思い切っていっぺんに購入して正解だった。自分の野生の勘を褒めたい気分だ。
上巻と下巻で、表紙の印象が統一されていないことにまず興味を惹かれた。上巻は赤い円で縁取られた、歳を重ねた男女のモノクロ写真なのに対し、下巻は青い枠に水彩画のように無秩序な色たち。その水彩画が実は上巻の写真を加工したものであったことは、購入後帰宅してから気が付いた。統一感がない、というのはぱっと見の印象だけの話で、実は同じものだったのだ。この時点でまずやられた、と思った。そしてこの印象の違いは、上下巻の内容そのものと重なるところもあるように思う。
装丁もさることながら、帯にポル・ポトとSFという単語が並んでいる時点で、もう購入することは決まっていたようなものだった。伊藤計劃の『虐殺器官』然り、現実とフィクションの境目が曖昧な作品に目がないのだ。とはいえ、学生時代から歴史はからきしの私には、ポル・ポトが過激な共産主義者だという朧げな記憶こそあれど、その舞台がカンボジアであったことすら、恥ずかしながら知らなかった。
それだけに、史実をみっちりと細部まで描きこんだ緻密な筆致に、自分の無知をこれでもかと突きつけられ、知識でたこ殴りされているかのような快感に、ただ息を飲んだ。
嗜好のストライクゾーンど真ん中の作品というのは、一文、いや一文字読み進めるごとに、さながら真夏に飲むビールのごとく「くう〜、これだよ!」などと叫びたくなるものだが、この作品はまさにこれだった。カンボジアに生きる人々を描きつつ、その範囲は歴史、政治に留まらない。細かい描写まで含めるならば、性的マイノリティに関する記述や科学、貧困、メディアなどなどなど、おそらく筆者がこれまでに感じてきた社会に対する違和感がこの作品にこれでもかというほどに詰め込まれている。それでいて、嫌味ではないし、説教くさくもない。ただ淡々と、「そういう人もいる/いた」という観点で描き出されていて、それらは物語を進めるための要素という以上の意味を持たない。だから重いテーマを扱ってはいるけれど、胸焼けはしない。それってたぶん凄いことだ。
多くの小説にありがちな、エンディングにむけて急加速する展開はこの作品にもやはり感じてしまったけれど、とにかく読んでいる間の幸福感をこれほどに感じたのはいつ以来だろうかと思う。
余談だけど、帯に「カンボジアもポル・ポトも関係ない。これは少年と少女の物語だ」とあったのは、個人的には違和感を覚えた。むろん、私は筆者ではないから、彼が何にかきたてられてこれを書いたのか、正解などわかりようもない。でもこれは、紛れもなくカンボジアの物語だと。そうでなければ、上巻をめいっぱい使ってあそこまで書くことはしなかったと思う。ただの少年と少女の物語なんかじゃない。
これはフィクションだ。フィクションだけど、まぎれもなく過去に実在した人間たちが、鮮やかに息を吹き込まれて生きている。すごい作品に出会ってしまった。『ユートロニカのこちらがわ』も近いうちに手に入れようと心に決めている。 -
読みました。続きが気になってしまって。
設定も興味深かった。ポル・ポト、カンボジア、紐解いてみたいけどハードルが高すぎた題材を、テンポよく謎をちりばめながら道案内してもらってた。さながら、遠心力に頼ったアトラクション、まさにゲーム、な感じであった。 -
読み終わっちゃう寂しさと闘ったけど
ゲームと政治を合わせてここまで読後感を高められるのはすごい -
2人だけのゲーム
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ポルポト時代終焉を丁寧に読めると期待していた。もう終わってからの話だった。気を取り直し、政治の世界でバチバチやる2人が読めると期待した。ぜんぜん違った。脳波か〜。そっち行っちゃう?
著者プロフィール
小川哲の作品






もっと感覚を研ぎ澄まします!
ドギャーン!
おっ…
ガラガラガッシャーン!
おおっ…
何か感じていましたぁ〜
もっと感覚を研ぎ澄まします!
ドギャーン!
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人は時に無意識に感じ取っていたものにつまらない常識や固定観念で蓋をしてしまうものなんですよ
ブルース・リーも言って...
人は時に無意識に感じ取っていたものにつまらない常識や固定観念で蓋をしてしまうものなんですよ
ブルース・リーも言ってます「Don't think.Feel!」
考えるな!感じろ!ですねw
考えるな!感じろ!ですねw