地下鉄道

制作 : 谷崎 由依 
  • 早川書房
4.07
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本棚登録 : 268
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152097309

作品紹介・あらすじ

アメリカ南部の農園で、苦しい生活を送る奴隷の少女コーラ。あるとき、仲間の少年に誘われて、意を決して逃亡を試みる。地下をひそかに走る鉄道に乗り、ひとに助けられ、また裏切られながら、自由が待つという北をめざす――。世界的ベストセラーついに刊行!

感想・レビュー・書評

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  • 生きるためには逃げることが必要になることもある。
    そして「痛ましくも感傷に落ちない筆致」は重要だ。

    朝日新聞読書欄の”書評委員が選ぶ「今年の3点」”で円城塔が書いていた「これはおそるべきことに、我々が日常目にしている光景そのものである」が、最もこの物語を表しているだろう。

  • 逃げる物語。途中でどんなことがあっても、あきらめない
    あきらめないことはいいことなんだろうか、と考えながら読んだ。犠牲が大きすぎる。自分も他人も。
    これを書いて出版して賞が取れるアメリカってすごい。
    日本で、例えばアイヌ人とか大陸の人とかが、虐待されて差別されて逃げたという小説書いて、きちんと評価されるだろうかとちょっと考えた。日本ってこういうのあまり表に出さない気がする。

  • 解説を読んで、なるほどこの作品自体があの博物館の展示なのかと納得をした。
    物語から数歩下がって全体を見ると、構想も構成も非常に理性的で、胸の痛む展開が続いて凄惨な場面も多かったのに、案外綺麗にまとまってしまったように思う。
    物語作家としての力量は相当なのだろうとも思うのだけど。

  • 奴隷の苦しみ、自由へのかつえ、逃亡の恐怖――。幾重にも織りこまれ、沈みこんでいくこうした心理の深みへは、私たちは書物(ことば)という素材を使って造船した潜水艦に想像力を載せ、私たちの未来と可能性を託することでしかたどり着けないのかもしれない。その意味で、世界の至るところで書物や想像に禁止の刻印がちらつく今、地下鉄道という空想は、卓越した比喩には違いない。そればかりか想像を新たに紡ぎ出し絆のもとに繋ぎ留め直すために私たちがこれから必要とする装置になるのかもしれない。その意味で本書の試みは評価されるべきである。

    だがそうであったにせよ、読んでいる間中私の心にはローラン・ビネの問いが谺していた。即ち「ナチズムに関して何らかの創作をして、どんな意味があるのだ!」(『HHhH』)。人類が犯した拭い難い罪の記録は、フィクションという尾鰭をつけると決定的に信頼を損なってしまう。ナチズムも奴隷制も事実として語るだけで充分おぞましいはず。作品が扱うそれぞれのテーマは中途半端な印象は最後まで残った。香り高く巧緻な文学的表現も不自然なまでに整然とした語りも、私には奴隷制における異物のようだった。地下鉄道がその姿を現したときに私が得た子どものような胸の高鳴りも、本書を閉じる時には萎れてしまっていた。改めて小説の技法の困難を思った。

  • 逃げることについての小説。

    19世紀後半、ジョージアのプランテーションにすむ15歳の少女コーラは奴隷。
    おなじく奴隷の青年シーザーにある時逃亡を持ちかけられる。
    奴隷州から自由州へ。
    州境を越えて北へ逃げれば自由になれる決まりだつた。
    いつまでも追いかけてくる奴隷狩人リッジウェイ。
    こんな時代があったのかとも思うけど、差別はいろんなところに残っている。

  • タイトルから奇想天外な内容かと思っていたが違った。リアリティのある物語であった。読んでいて、展開はある程度、予想できるが、なんでこうなるんだ!、えぇ!などと、心を締め付けられながら一気に読み終わった。悲しく残酷なテーマだが、アメリカらしくもあり、面白い小説だ。

  • 「地下鉄道」(コルソン・ホワイトヘッド : 谷崎由依 訳)を読んだ。
    これは何小説と言うんだろうか。
    黒人迫害という史実の中に『地下鉄道』というフィクションをぶち込んでとてつもない物語に仕上げている。
    「面白い」という言葉を使うのは躊躇われるが、間違いなく一気読みです。
    驚いた。

  • ほぼ一気読み。奴隷制時代の米国、人名と州が交互に来る章(米国の週に土地勘がないので地図で確認)、特に州のパートが当時の社会の様子や奴隷の状況を綴っているのだが、子どもの頃「ルーツ」を見ていて覚悟していたつもりでも、時にはそれ以上に辛い描写に本を閉じ、でも目をそらしてはいけないと読み続けた。人物のエピソードがどれも意外で驚きに満ちていて効果的。フィクションだが現実にこれくらい劣悪な環境だったのだろう。とても人間を扱っているとは思えない。逃げ出した女主人公がたびたび奴隷狩りにつかまり、助かるのだろうかとひやひやしながらページをめくる。こうした背景を持って米国は発展し、その背後には英国を中心とした奴隷貿易があり、そしていまだにその問題を抱えているのだとてきたのだと、読了して少しばかり違った目で彼の国々に思いをはせる自分がいた。見事な構成・内容だった。ここに扱われている問題が黒人問題だけでなく他の差別問題や、現代の米国で起こっている不法移民やイスラム教徒のへの国の対応だったとしても通じるような、とても普遍的な内容を持っていろんなことを示唆している一冊だと思う。ピュリッツァー賞納得。原文もこうしたリズムだろうか。ぐいぐい引き込まれた。何か所か今は使用が控えられる所謂"差別用語"的な言葉が出てくるが、それが効果的。良い訳だった。ただ1箇所だけ疑問。115ページの17行目、「勘定」は「感情」ではないだろうか。
    映画化されるそうだが黒人が残酷に扱われる様子を見る自信がない。

  • 時間があっても、恐ろしくて、なかなか先へ読み進めるのが困難だった。
    先日観たドキュメンタリー映画にあった画像が思い起こされた。
    そんな確かさとともに、コーラと地下鉄道の物語の描写は心をうち迫ってくる。読みごたえのある作品。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=11968

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