遺伝子‐親密なる人類史‐ 下

制作 : 仲野 徹  田中 文 
  • 早川書房
4.24
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本棚登録 : 216
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152097323

作品紹介・あらすじ

「科学史上、最も強力かつ危険な概念のひとつ」――ピュリッツァー賞を受けた医師が描く「遺伝子科学」の全貌とは? メンデルのエンドウマメは、いかにダーウィンに出会い、優生学の暗黒の歴史をへてゲノム編集へと発展したのか? 我々の未来を占う必読書。

感想・レビュー・書評

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  • 文句なしの名作。僕は『がん』のほうが好きですけど(『がん』が良すぎる)。ゲイ遺伝子や発達障害,生命倫理などへの言及もあり倫理の教員として知りたいことほとんど知れました。ちなみにES細胞や山中教授は出てくるけどiPS細胞は出てきません。

  • 長かった...。

    本書は、本読みでも有名な中野徹さんが監修し、解説も書いてくれている。
    ということで下巻のレビューとしては、長めの解説について書いてみよう。

    メンデルから始まり「遺伝子の伝記はたかだか一世紀半の長さでしかない。しかし、その間に、遺伝子の概念は変遷し、物質基盤や制御機構が次々と明らかになり、自在に操ることすら可能になってきた」と語る。本書はこの歴史を描いたものなのだけれども、いかにも長い。
    もしかしたら、この解説を読めばその筋はおおよそわかるかもしれない。

    仲野さんは、現在の遺伝子工学の発展の先に、「新優生学」- 個人の要望により、遺伝子を選別し、操作する - が始まることを想像する。そのことの是非を、われわれは判断することができるのかどうか、出生前診断が広く行われている状況において、どこに線を引くべきなのだろうか。

    仲野さんは、人類はいずれ遺伝子操作によって幸福を求めるようになるのではと書く『ホモ・デウス』からその最後の言葉を引用する。

    「私たちが直面している真の疑問は、『私たちは何になりたいのか?』ではなく、『私たちは何を望みたいのか?』かもしれない」

    仲野さんは「私たちは何を望みたいのか?」について考えてもらいたいと、書く。さて、欲望を私たちは望み通りに持つことができるのだろうか。自分にはユヴァル・ノラ・ハラリの言葉は未来の希望や期待というよりも、さらに深い問いのように思われる。

  • p.26
    変異とは基準からの逸脱によってのみ定義されている(変異型の対義語は正常型ではなく野生型)。変異とは絶対的な概念というよりもむしろ、統計学的な概念なんだ。
    変異隊も変異も、それ自体は病気や体の不調についての真の情報を何ひとつ提供することはできない。病気というのは、むしろ、遺伝的に受け継がれた個人の特質全体と、その個人の周りの環境との間の不調和によって引き起こされる特定の不具合として定義される。最終的に病気を引き起こすのは変異ではなく、ミスマッチなのだ。

  • メンデルから始まる遺伝の謎をめぐる歴史をたぐる。著者の家族に潜む統合失調症の遺伝的要素もエピソードに混じる。遺伝、遺伝子、DNAの二重らせん、そしてDNAを操作する技術。

  • ,

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:467.02||M||下
    資料ID:95180258

  • 請求記号 467.02/Mu 25

  • 「病の皇帝がん」の著者の続作。
    今回は、遺伝子を巡る壮大な物語。遺伝子の科学的な解説や遺伝子が解明されてきた歴史、優生学などの悲惨な過去。そして遺伝子操作や出生前診断など現在の科学と倫理の課題。
    前作もそうであったが、これだけの内容をひとつの物語として綴る著者の力量は只者ではない。
    遺伝子は親から受け継ぎ、自らを形作るものではあるが、どのように発現するのかは、環境や体験、偶然との織り合わせによるものであるという。自らの運命が決して定まっているものではないことにホッとする。
    上下巻でそれぞれ400ページほどの大部だが苦も無く読み通せたのは巧みな翻訳のお蔭。

  • 下巻はヒトDNAプロジェクト、遺伝子編集など今世紀に入ってからの技術革新とその意味が語られる。

    著者は病気とは絶対的な障害ではなく、遺伝型と環境との相対的なミスマッチであるというのだが、そりゃないんじゃないかと思う。いわゆる「疾患」がある環境においては適応的である例は多々あるだろうけど、それを「嫌だ」「除きたい」と思っている人がいる以上、疾患は疾患なのではないだろうか。全体を通じて、昨今の分子生物学の発展によるネオ優生学ともいうべき風潮の芽生えに対する懸念は感じられるし、多様性が重要であることにも異論はない。が、環境の多くがコントロールされるようになった現代社会において、疾患を個性、と呼び替えるのは欺瞞に過ぎないんじゃないかと思う。

    ・アフリカにいる様々な遺伝子多型を含む母集団から、その一部が他地域に移り住む場合、その集団は多型の度合いが小さな集団になる。このように、集団内の多型の度合いを調べることでその集団が新しく分岐したグループなのかそうでないのかが分かる。

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著者プロフィール

シッダールタ・ムカジー(Siddhartha Mukherjee)
がん専門の内科医、研究者。著書は本書のほかに『病の皇帝「がん」に挑む——人類4000年の苦闘』(田中文訳、早川書房)がある。同書は2011年にピュリツァー賞一般ノンフィクション部門を受賞。
コロンビア大学助教授(医学)で、同メディカルセンターにがん専門内科医として勤務している。
ローズ奨学金を得て、スタンフォード大学、オックスフォード大学、ハーバード・メディカルスクールを卒業・修了。
『ネイチャー』『Cell』『The New England Journal of Medicine』『ニューヨーク・タイムズ』などに論文や記事を発表している。
2015年にはケン・バーンズと協力して、がんのこれまでの歴史と将来の見通しをテーマに、アメリカPBSで全3回6時間にわたるドキュメンタリーを制作した。
ムカジーの研究はがんと幹細胞に関するもので、彼の研究室は幹細胞研究の新局面を開く発見(骨や軟骨を形成する幹細胞の分離など)で知られている。
ニューヨークで妻と2人の娘とともに暮らしている。

「2018年 『不確かな医学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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